経営革新計画

ものづくり補助金と経営革新計画の関係

 

ものづくり補助金と経営革新計画ってなにか関連しているのだろうか?と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。ものづくり補助金のために経営革新計画を策定しよう!という謳い文句をよく目にするけど、いったいどういう意味だろう、と思っている方もいらっしゃると思います。今回は、ものづくり補助金と経営革新計画の関係についてご説明していきたいと思います。

 

結論からいいますと、経営革新計画が認定されているとものづくり補助金の申請において加点されて採択がうけやすくなる、という関係になります。

 

ものづくり補助金

ものづくり補助金とは、正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。略して「もの補助」という人もいらっしゃいます。ものづくり補助金は、新しいものづくり等に取り組もうとする中小企業に対して交付される補助金であり、設備投資や設備開発に取り組む中小企業は活用を検討してみてください。

 

ものづくり補助金には、「一般型」「グローバル展開型」「ビジネスモデル構築型」と3種類あります。それぞれの説明は下記になります。

 

令和2年実施のものづくり補助金(応募する時期によって若干異なることがありますので、必ずご自身で応募する時期の最新の公募要領等を確認するようにしてください)。

 

一般型

概要:経営革新(新商品、新サービスの開発、生産プロセスの開発)や、生産性の大幅向上に資する取り組みのもの

補助上限額:1000万円(下限は100万円)

補助率:補助対象経費の2分の1(小規模事業者は3分の2)

 

グローバル展開型

概要:海外事業の拡大・強化等目的とした設備投資等を支援するもの

補助上限額:3000万円(下限は100万円)

補助率:補助対象経費の2分の1(小規模事業者は3分の2)

 

ビジネスモデル構築型

概要:中小企業30者以上のビジネスモデル構築・事業計画策定のための面的支援プログラムを補助するもの

補助上限額:1億円

補助率:補助対象経費の2分の1

 

ものづくり補助金に応募するための一般的な要件は下記になります(応募要領等は毎回若干違いますので、必ずご自身で応募する時期の最新の応募要領を確認するようにしてください)。

 

経営革新計画とは

簡単にいいますと、経営革新計画とは新しいことに挑戦し、実現性のある数値目標を設定している3~5年の事業計画のことをいいます。ここでいう新しいこととは下記のことになります。

  • 新商品の開発または生産
  • 新サービスの開発または提供
  • 商品の新たな生産または販売方式の導入
  • サービスの新たな提供の方式の導入

そして、実現性のある数値目標とは、下記のことになります。

 

①付加価値額(企業全体または1人あたり)が年率3%以上向上すること

※付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費

 

②経常利益が年率1%以上向上すること

※経常利益=営業利益-営業外費用(営業外収益は含まない)

 

この経営革新計画が認定を受けますと様々な支援を受けられるようになります。

保証・融資

信用保証の特例、日本政策金融公庫の特別利率による融資、高度化融資制度、食品流通構造改善促進機構による債務保証

 

海外展開に伴う資金調達

スタンドバイ・クレジット制度、中小企業信用保険法の特例、日本貿易保険による支援措置

 

投資・補助金

企業支援ファンドからの投資、中小企業投資育成会社からの投資、ものづくり補助金などの優遇措置

 

販路開拓

販路開拓コーディネート事業、新価値創造展への出展優遇

 

特許関係

特許関係料金減免制度

 

※「経営革新計画進め方ガイドブック」より

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/pamphlet/2020/download/200325Keieikakushingb.pdf 

 

3、ものづくり補助金と経営革新計画の関係

ものづくり補助金の審査では、提出する申請書(補助事業計画を中心として記載)の内容に基づいて審査されていきます。ただし、審査の結果としては、申請書の内容+加点項目によるポイントで決まっていきます。要するに、申請書の内容だけで結果が決まるわけではなく、加点項目をどれだけ獲得しているかも重要になるということです。

ものづくり補助金の公募要領では明確に「加点項目」が記載されていますので、それらに該当する方にはポイントが加算されます。つまり、ものづくり補助金の採択率を上げるためには、多くの加点項目を積み上げることも重要になります。

 

そして、その加点項目のなかに経営革新計画の認定が含まれているのです。つまり、有効な期間の経営革新計画の承認(申請中を含む)を取得した企業は加点が得られます。

経営革新計画の認定という項目は、2019年までは「経営革新計画」だけでなく、「経営力向上計画」、「地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画」のいずれかひとつを取得すれば加点が認められるものでしたが、2020年からは経営力向上計画・地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画がなくなり、経営革新計画だけに限定されましたので、この経営革新計画の認定を受けることがものづくり補助金において重要となっております。

 

 

いかがでしたでしょうか。今回は、ものづくり補助金と経営革新計画の関係についてご説明させていただきました。中小企業の事業主の方にとって、経営判断をする際には補助金というのはとても重要な判断材料になるものと思います。補助金を活用することで事業を発展させていくこともできますので、活用することをお勧めいたします。もし補助金について難しいと感じるような場合には、行政書士等専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は補助金の内容により数万円~十数%程度かかりますが、自分自身でする場合の時間や手間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。

この記事の監修

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

行政書士/財務コンサルタント

吉野 智成(よしの ともなり)

プロフィール

大学卒業後、税理士事務所で中小企業の会計を支援。
2019年 行政書士登録、個人事務所を開設
2021年 補助金・融資部門を法人化。「株式会社Gunshi」を設立
専門分野:事業者向け補助金、融資申請支援

書籍

中小会社で活用できる「補助金」のことがわかる本』(セルバ出版)

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