個人事業主の外国人が日本の永住権を取得することはできる?
永住権を取得したい外国人の方の中には、
「個人事業主でも永住権は取得できる?」
「取得の条件は?」
「提出する書類の種類は?」
「手続きの手順は?」
といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。
この記事では、外国人の個人事業主の方の永住権について詳しく解説します。
ぜひ、最後までお読みください。
個人事業主の外国人が永住権を申請するためには
ここでは、外国人の個人事業主の方が永住権を申請するための条件などについて見ていきましょう。
外国人は個人事業主になれるのか?
外国人の方でも適切なビザを取得すれば、日本で個人事業主になることは可能です。
個人事業主として働けるビザとして代表的な種類に、経営管理ビザ・技人国ビザ・身分系ビザが挙げられます。
個人事業主の在留資格について
個人事業主の在留資格(ビザ)として代表的な「経営・管理」の概要は、以下のとおりです。
経営管理ビザとは
経営管理ビザとは、外国人の方が日本で企業を経営したり、事業の管理をしたりするための査証です。
在留期間は、5年・3年・1年・6カ月・4カ月・3カ月のいずれかが付与されます。
許可される活動の範囲は、以下のとおりです。
- ● 新たに事業を経営、または事業を管理する
- ● 日本ですでに営まれている事業に参画し、経営・管理に従事する
- ● すでに経営を行っている者に代わって経営・管理に従事する
経営管理ビザを取得する条件とは
経営管理ビザの条件は、以下のとおりです。
● 事業を行う事業所が日本にある
経営する事務所や店舗は、日本国内に所在している必要があります。
● 資本金500万円以上、または従業員2人以上である
会社の規模は、一定以上でなければなりません。
● 各種届出を完了し、営業許可などを得ている
営業許可や税金の届出など、必要な手続きを完了している必要があります。
● 事業計画書で会社の安定性および継続性を証明する
経営管理ビザの申請において、最も重要なのが事業計画書です。
会社の安定性や継続性を証明しなければなりません。
日本の永住権取得の要件とは
日本の永住権を取得するには、主に以下の5つの要件をクリアしなければなりません。
- 1. 10年以上日本に在留している
- 2. 5年間は就労ビザを保有している
- 3. 年収が基準を超えている
- 4. 犯罪歴がない
- 5. そのほかの要件
各要件について、以下で解説します。
1. 10年以上日本に在留している
原則として、継続して日本に10年以上滞在していなければなりません。
在留期間については、特例措置もあります。
以下に該当する場合は、10年よりも短い期間で永住権の申請が可能です。
- ● 日本人・永住者・特別永住者の配偶者の場合、実体をともなった婚姻生活が3年以上継続し、1年以上滞在している
- ● 在留資格「定住者」で継続して5年以上滞在している
- ● 難民または補完的保護対象者の認定を受けた場合、認定後に継続して5年以上滞在している
- ● 外交・社会・経済・文化などの分野において日本に貢献があると認められる者で、5年以上滞在している
- ● 地域再生計画において該当する活動を行い、日本に貢献があると認められる者で、継続して3年以上滞在している
- ● 高度専門職の規定ポイント以上(70点以上または80点以上)の者
- ● 特別高度人材の基準に該当し、継続して1年以上滞在している
2. 5年間は就労ビザを保有している
上記で挙げた10年以上の滞在のうち、5年以上は就労系ビザもしくは居住資格を保有して滞在していなければなりません。
「技能実習」や「特定技能1号」は対象外のため、注意しましょう。
3. 年収が基準を超えている(確定申告の所得金額)
年収が基準を超えていなければなりません。
年収の基準の目安は、最低300万円以上とされています。
加えて、5年間連続で300万円以上の年収が求められます。
1年でも300万円を下回る年収がある場合、永住権の取得は難しくなるので、注意しましょう。
判断される年収は、確定申告の所得金額です。
個人事業主の方が永住権を申請するには、毎年正確な確定申告をしなければなりません。
確定申告については後述するので、ぜひ参考にしてください。
4. 犯罪歴がない
罰金刑や懲役刑などを受けていない必要があります。
加えて、以下の公的義務を果たしていなければなりません。
- ● 納税
- ● 公的年金および公的医療保険の保険料の納付
- ● 出入国在留管理および難民認定法に定める届出
納税・年金・保険料納付については後述するので、ぜひ参考にしてください。
5.その他
- ● 素行が善良である
- ● 現に有している在留資格の最長の在留期間で在留している
- ● 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがない
納税についても審査されるので注意!
永住権の申請では、納税についても審査がされるため、注意が必要です。
納税に関する審査のポイントについて、以下で解説します。
毎年正確な確定申告が必須
個人事業主の方が永住権を申請するには、確定申告をしなければなりません。
確定申告をしていない場合は、永住権の申請はできないため、注意しましょう。
必ず、毎年の規定の期日までに確定申告を行ってください。
加えて、永住権の申請では、税金を納付したことを証明する資料を提出しなければなりません。
特に、税金の支払いの遅れには注意しましょう。
例えば、住民税には特別徴収と普通徴収の2種類の支払い方法があります。
会社員などの場合は給与から天引きされる特別徴収ですが、個人事業主の場合は納付書で直接支払う普通徴収です。
個人事業主の場合、自分で手続きをして住民税を支払う必要があります。
支払いを忘れたり、遅れたりしないように、十分に注意しましょう。
各種税金について提出する納税証明書は、過去5年分の情報がわかるものです。
提出資料については後述するので、ぜひ参考にしてください。
年金や保険料納付の証明が必要となる
永住権の申請では、年金や保険料を納付したことを証明する資料を提出しなければなりません。
個人事業主の場合、国民年金と国民健康保険への加入が必要です。
税金の納付と同様に、支払いの遅れに注意しましょう。
提出する証明書は、直近2年分の情報がわかるものです。
提出資料については後述するので、ぜひ参考にしてください。
申請が許可されない例とは?
永住権の申請が許可されない例として、以下のようなケースが挙げられます。
- ● 確定申告をしていない
- ● 年収が300万円以下
- ● 税金・年金・保険料の未納や支払いの遅れがある
- ● 許認可が必要な業種で許可を取っていない
- ● 経営が赤字である
- ● 要件を満たしていない
- ● 提出書類に不備や矛盾がある
- ● 軽微な交通違反が多い
外国人の個人事業主が永住権申請する際に必要な書類
ここでは、外国人の個人事業主の方が永住権を申請する際に必要な書類について見ていきましょう。
永住権申請に必要な書類
必要書類は、以下のとおりです。
● 永住権許可申請書
● 写真
規格を満たした写真を、上記の申請書に貼り付けてください。
● 理由書
永住許可を必要とする理由を書いた文書です。
書き方に決まりはありませんが、日本語以外で書く場合は、翻訳文も必要です。
● 申請者を含む家族全員(世帯)の住民票
マイナンバーの部分は、省略してください。
● 申請者または申請者を扶養する方の職業を示す以下のいずれかの書類
1. 会社に勤務している方
在職証明書を用意しましょう。
2. 自営業などの方
※自営業の方は、自分の職業について示さなければなりません。
・ 確定申告書の控えのコピー
・ 営業許可書のコピー
3. そのほか
・職業に係る説明書および立証できる書類を用意しましょう。
・申請者および配偶者の2人ともが無職の場合は、その旨を書いた説明書を用意しましょう。
● 申請者または申請者を扶養する方の資産を示す以下のいずれかの書類
1. 預貯金通帳のコピー
Web通帳の取引履歴がわかる画面のスクリーンショットなどでもOKです。
ただし、加工などができない状態でコピーされたもののみ有効です。
Excelファイルなどは受け付けてもらえないため、注意しましょう。
2. 不動産の登記事項証明書
3. 上記に準ずるもの
● 申請者のパスポートまたは在留資格証明書
手続き時に窓口で提示します。
提示ができない場合は、その理由を書いた理由書を用意しましょう。
● 申請者の在留カード
手続き時に窓口で提示します。
資格外活動許可を取得している方は、あわせて提示してください。
● 身元保証に関する書類
1. 身元保証書
2. 身元保証人の身分事項を示す書類
運転免許証などのコピーを用意しましょう
● 日本への貢献にかかる書類
以下の書類がある場合は、用意しましょう。
1. 表彰状・感謝状・叙勲書などのコピー
2. 所属会社・大学・団体などの代表者が作成した推薦状
3. そのほか、各分野において貢献があることに関する資料
● 身分を示す文書など
申請者本人以外の方が手続きをする場合は、代行者の身分証明書などを用意してください。
● 了解書
2021年10月1日より、了解書の提出が義務付けられています。
● 手数料納付書
許可される場合は、8,000円の手数料がかかります。
手数料は収入印紙で納付してください。
税金納付の証明書類について
直近の申請者および申請者を扶養する方の所得と納税状況を示す書類は、以下のとおりです。
※過去5年分の情報がわかる書類を用意してください。
● 住民税の納付状況を示す書類
1. 住民税の課税または非課税証明書、および納税証明書(直近5年分)
1年間の総所得および納税状況の両方が書かれている証明書であれば、どちらか一方のみの提出でOKです。
市区町村において直近5年分の証明書が発行されない場合は、発行できる最長期間分を用意しましょう。
2. 住民税を適正な時期に納めていることを示す書類(直近5年間)
通帳のコピー・領収書などを用意しましょう。
直近5年間で住民税が特別徴収されていない期間がある方は、提出は不要です。
● 国税の納付状況を示す書類
以下の5つの税目すべてにかかる納税証明書を用意しましょう。
証明書は、住所地を管轄する税務署で発行できます。
1. 源泉所得税および復興特別所得税
2. 申告所得税および復興特別所得税
3. 消費税および地方消費税
4. 相続税
5. 贈与税
● そのほか
以下のいずれかで、所得を示す書類を用意しましょう。
1. 預貯金通帳のコピー
2. 上記に準ずるもの
年金や保険料納付の証明書類について
申請者および申請者を扶養する方の公的年金と、公的医療保険の保険料の納付状況を示す書類は、以下のとおりです。
● 公的年金の保険料の納付状況を示す書類(直近2年間)
加入状況に応じて、提出する書類が異なります。
|
加入状況 |
提出書類 |
|---|---|
|
国民年金以外に加入している方 |
1または2 |
|
直近2年間で国民年金に加入していた期間がある方 |
1または2、加えて3 |
|
直近2年間のすべての期間で国民年金に加入している方 |
3 |
- 1. ねんきん定期便
- 2. 年金ネットの「各月の年金記録」の画面のコピー
- 3. 国民年金保険料領収証書のコピー
● 公的医療保険の保険料の納付状況を示す書類(直近2年間)
- 1. 健康保険被保険者証のコピー
- 2. 国民健康保険被保険者証のコピー
- 3. 国民健康保険料の納付証明書
- 4. 国民健康保険料の領収証書のコピー
● 申請者の方が申請時に社会保険適用事業所の事業主である場合
- 1. 健康保険・厚生年金保険料の領収証書のコピー
- 2. 社会保険料納入証明書または社会保険料納入確認書
※以下の番号が書かれている書類を提出する場合は、当該番号を黒塗りにするなど、見えない状態にしてください。
- ● 基礎年金番号
- ● 医療保険の保険者番号
- ● 医療保険の被保険者等記号・番号
外国人の個人事業主が永住権を申請する流れ
ここでは、外国人の個人事業主の方が永住権を申請する流れについて見ていきましょう。
申請の流れ
手続きの手順は、以下のとおりです。
- 1. 手続きの準備
提出書類の作成と収集をします。
- 2. 永住許可の申請
書類の提出先は、居住地を管轄する地方出入国在留管理局です。
- 3. 審査
提出した書類や申請内容が審査されます。
- 4. 永住許可
問題がなければ、永住権の許可がおります。
永住権の審査手続きにはどれくらいかかる?
出入国在留管理庁は、永住許可の標準処理期間について4カ月と公表しています。
ただし、申請者の状況によって、審査にかかる期間には個人差があります。
目安としては、6カ月〜1年ほどかかると想定しておきましょう。
申請者の状況によっては、1年〜1年半以上かかるケースもあります。
時間にゆとりを持って、手続きに進みましょう。
家族全員分の永住権を申請する場合
永住権の申請は、永住しようとする方1人での手続きも、家族全員での手続きも可能です。
ただし、家族全員で手続きをする場合、メンバーの誰か1人に不許可となる原因があると、家族全員が不許可となるリスクがあります。
手続きの際は、入念な準備が必要です。
必要な書類
必要書類は、基本的に前述した「永住権申請に必要な書類」と同じです。
家族(配偶者と子ども)の方の在留資格が「家族滞在」の場合は、身分関係を示す以下のいずれかの書類も提出してください。
- ● 戸籍謄本(全部事項証明書)
- ● 出生証明書
- ● 婚姻証明書
- ● 認知届の記載事項証明書
- ● 上記に準ずるもの
手続きの流れ
家族全員分の永住権の手続きの手順は、以下のとおりです。
- 1. 手続きの準備
提出書類の作成と収集をします。
- 2. 永住許可の申請
手続きの場所は、居住地を管轄する地方出入国在留管理局です。
- 3. 審査
提出した書類や申請内容が審査されます。
- 4. 永住許可
問題がなければ、永住権の許可がおります。
まとめ
この記事では、個人事業主の方の永住権について解説しました。
個人事業主の方でも要件を満たせば、永住権の申請が可能です。
審査では、年収に加え、各種税金の納税状況や年金・保険の加入状況が重視されます。
個人事業主で永住権を取得したい場合は、毎年正確な確定申告をしなければなりません。
手続きは自力でも行えますが、個人事業主の永住権取得の難易度は高いと言えます。
加えて、永住権の手続きには時間もかかります。
手続きに関して不安のある方は、行政書士などの専門家に相談するのがおすすめです。
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
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