日系3世が日本で永住権を得るには?申請に必要な書類も解説
日本にずっと住んでいたい!でも、永住権を取る方法がわからない。
日本に住んでいると、そう思う方もいらっしゃいますよね。そこで今回は、日系3世が日本で永住権を得る方法について解説します。
申請時のポイントや在留資格別の必要書類までご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
日本の永住権を取得するための審査は厳しい!
一般的に日本の永住権を取得するのは、難しいと言われています。その理由は、取得の条件や書類の多さにあります。
長期間の日本での活動や、安定した生活を維持するための収入が必要なため、申請までの条件を満たすことが難しいのです。
書類についても種類が多く、専門知識を要するため、書類集めはとても労力がかかる作業になります。
また、申請人によって集める書類も異なるので、不安な方は行政書士などの専門家と相談しながら進めましょう。
永住権は条件を満たすことで取得することが可能です。審査で不利になることがないように、しっかりと準備をして申請に臨みましょう。
永住権とは
永住権とは、外国人が本国の国籍のまま日本に永住するための権利です。まずは永住権の内容を確認していきましょう。
永住権を取得したらできること
永住権を取得すると、在留期間の定めがなくなります。他の在留資格と違って、定期的に更新をしなくてもすみます。ただし、日本に在留する資格はあるけれど、お手持ちの在留カードそのものは、交付から最長7年の有効期限がありますので、入国管理局で更新をする必要があります。
また、永住権を取得できたということは、日本に長期間住んでいるということになります。日本に定着していると判断され、住宅ローンや融資の申し込みが受けられる可能性が高くなります。
他にも、就労制限がなくなるので自由に職を選ぶことができますが、日系3世の方が永住権を取得する場合、定住ビザから変更する方が多いかと思いますので大きなメリットとは言えません。就労ビザから変更する場合は、在留資格に活動範囲が該当しているかを確認しなくても済むため、自由になることは大きなメリットと言えるでしょう。
帰化・定住者ビザとの違い
【永住権と帰化の違い】
永住権 |
帰化 |
|
---|---|---|
国籍 |
申請人の母国 |
日本 |
在留カードの更新 |
必要 |
不要 |
永住権と帰化の違いは、帰化が国籍を日本に変更することに対して、永住権は外国国籍のまま日本に永住することです。日本は二重国籍が認められていないため、帰化をすると母国の国籍を喪失することになります。
日本人として今後生活を営むことを強く決めた方は、永住権ではなく、帰化を選択することをおすすめします。
【永住権と定住者ビザの違い】
永住権 |
定住者 |
|
---|---|---|
在留期間 |
無期限 |
下記のいずれか ・5年 ・3年 ・1年 ・6ヶ月 ・日本の法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲) |
在留資格の更新 |
不要 |
必要 |
在留カードの更新 |
必要 |
必要 |
在留カードの有効期限 |
交付から7年 |
在留期間の満了日 |
就労制限 |
無 |
無 |
永住権と定住者ビザの違いは、定住者ビザが在留期間があることに対して、永住権は在留期間がないことです。定住者ビザは定められた期間で在留資格の有効性を失ってしまうので、期限が来る前に入国管理局にて更新を行う必要があります。
永住権は定住者ビザとは違い、在留カードの更新は必要ですが、在留資格の更新はありません。在留資格の更新に比べ、在留カードの更新は必要な書類も少なく、簡単に済みますので永住権のメリットと言えるでしょう。
日系3世が永住権を認められるポイント
永住権は取得するのが難しい在留資格ですが、条件さえ満たしていれば取得することは可能です。しっかりとポイントを押さえ、審査をスムーズに進められるようにしましょう。
現に有する在留資格の最長の在留期限を取得していること
申請者が現在取得している在留資格が、在留期限の最長期限で取得できていることが条件です。在留資格の最長年数は5年に設定されているものが多いため、在留期限が5年の在留資格を持っていれば認められる可能性が高くなります。
素行が善良であること
素行が善良であることも、永住権を認められるポイントの1つです。暴力団やテロリストなどの集団に参加していたり、参加する可能性がある場合は許可されません。
日常生活や社会生活においても、繰り返し迷惑をかける行為を行っていると審査によくない影響を与えます。軽い交通違反も、重なることで不許可の対象になるので気をつけましょう。
生計が維持できる収入があること
世帯単位で、生計を維持できる収入がなければいけません。今後、生活保護などの公的扶助を受けなければ生計を安定することができない、と判断された場合は審査が難しくなります。
家族構成や地域でも異なりますが、目安として日本人の平均年収相当(およそ420~440万円程度)あれば認められる可能性が高くなります。
おおむね10年以上引き続き在留していること
永住権の許可を得るためには、原則として10年以上引き続き日本に在留していることが条件になっています。10年のうち5年は、就労ビザや居住ビザで就労していることが必須事項です。
「定住者」の在留資格から永住権を取得する場合は異なり、5年以上継続して在留していることで申請が可能です。
永住権の申請は「引き続き」日本に在留していることが条件なので、居住期間に間がある場合は合計して数えません。新しく在留資格で居住を始めてからの年数になりますので、注意してください。
日系3世が永住権を取得するために必要な書類
日系3世の方が、永住権を取得するために必要な書類をご紹介します。在留資格に共通して必要になる書類は下記の通りです。
- 1.申請書
- 2.写真(1葉、指定の規格を満たした写真を用意し、申請書に添付して提出)
※16歳未満の方は、写真の提出は不要
- 3.立証資料
- 4.在留カードを提示
- 5.資格外活動許可書を提示(同許可書の交付を受けている者に限る)
- 6.旅券又は在留資格証明書を提示
- 7.旅券又は在留資格証明書を提示することができないときは、その理由を記載した理由書
- 8.身分を証する文書等の提示(申請取次者が申請を提出する場合)
- 9.了解書
立証資料は在留資格によって必要な書類が異なります。
3つのうち、どのビザから永住権を得ようとしているのかで分かれています。
・就労ビザ
・定住者ビザ
・日本人の配偶者等の方のビザ
あなたが当てはまるものの必要書類を準備しましょう。
就労ビザから永住権を得たい場合の書類
- ●申請人を含む家族全員(世帯)の住民票
- ●申請人又は申請人を扶養する方の職業を証明する次のいずれかの資料
- 〇会社等に勤務している場合
- ■在職証明書
- 〇自営業等である場合
- ■確定申告書控えの写し
- ■営業許可書の写し(ある場合)
- 〇その他の場合
- 〇会社等に勤務している場合
- ■職業に係る説明書(書式自由)及びその立証資料
- ●直近(過去5年分)の申請人及び申請人を扶養する方の所得及び納税状況を証明する資料
- 〇住民税の納付状況を証明する資料
- ■直近5年分の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)
- 〇国税の納付状況を証明する資料
- ■源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税に係る納税証明書(その3)
- 〇その他
- ■次のいずれかで、所得を証明するもの
- 〇住民税の納付状況を証明する資料
-
-
-
- □預貯金通帳の写し
- □上記に準ずるもの
-
-
- ●申請人及び申請人を扶養する方の公的年金及び公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
- 〇直近(過去2年間)の公的年金の保険料の納付状況を証明する資料
- ■「ねんきん定期便」(全期間の年金記録情報が表示されているもの)
- ■ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面
- ■国民年金保険料領収証書(写し)
- 〇直近(過去2年間)の公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
- ■健康保険被保険者証(写し)
- ■国民健康保険被保険者証(写し)
- ■国民健康保険料(税)納付証明書
- ■国民健康保険料(税)領収証書(写し)
- 〇直近(過去2年間)の公的年金の保険料の納付状況を証明する資料
- ●申請される方が申請時に社会保険適用事業所の事業主である場合
- 〇健康保険・厚生年金保険料領収証書(写し)
- 〇社会保険料納入証明書又は社会保険料納入確認(申請)書(いずれも未納の有無を証明・確認する場合)
- ●申請人又は申請人を扶養する方の資産を証明する次のいずれかの資料
- 〇預貯金通帳の写し
- 〇不動産の登記事項証明書
- 〇上記に準ずるもの
定住者ビザから永住権を得たい場合の書類
- ●身分関係を証明する次のいずれかの資料
- 〇戸籍謄本(全部事項証明書)
- 〇出生証明書
- 〇婚姻証明書
- 〇認知届の記載事項証明書
- 〇上記に準ずるもの
- ●申請人を含む家族全員(世帯)の住民票
- ●申請人又は申請人を扶養する方の職業を証明する次のいずれかの資料
- 〇会社等に勤務している場合
- ■在職証明書
- 〇自営業等である場合
- ■確定申告書控えの写し
- ■営業許可書の写し(ある場合)
- 〇その他の場合
- ■職業に係る説明書(書式自由)及びその立資料
- 〇会社等に勤務している場合
- ●直近(過去5年分)の申請人及び申請人を扶養する方の所得及び納税状況を証明する資料
- 〇住民税の納付状況を証明する資料
- ■直近5年分の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)
- 〇国税の納付状況を確認する資料
- ■源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税に係る納税証明書(その3)
- 〇その他
- ■次のいずれかで、所得を証明するもの
□預貯金通帳の写し
□上記に準ずるもの
- ■次のいずれかで、所得を証明するもの
- 〇住民税の納付状況を証明する資料
-
-
- ●申請人及び申請人を扶養する方の公的年金及び公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
- 〇直近(過去2年間)の公的年金の保険料の納付状況を証明する資料
- ■「ねんきん定期便」(全期間の年金記録情報が表示されているもの)
- ■ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面
- ■国民年金保険料領収証書(写し)
- 〇直近(過去2年間)の公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
- ■健康保険被保険者証(写し)
- ■国民健康保険被保険者証(写し)
- ■国民健康保険料(税)納付証明書
- ■国民健康保険料(税)領収証書(写し)
- 〇申請される方が申請時に社会保険適用事業所の事業主である場合
- ■健康保険・厚生年金保険料領収証書(写し)
- ■社会保険料納入証明書又は社会保険料納入確認(申請)書(いずれも未納の有無を証明・確認する場合)
- 〇直近(過去2年間)の公的年金の保険料の納付状況を証明する資料
- ●申請人又は申請人を扶養する方の資産を証明する次のいずれかの資料
- 〇預貯金通帳の写し
- 〇不動産の登記事項証明書
- 〇上記に準ずるもの
日本人の配偶者等の方が永住権を得たい場合の書類
- ●身分関係を証明する次のいずれかの資料
- 〇申請人の方が日本人の配偶者である場合
- ■配偶者の方の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 〇申請人の方が日本人の子である場合
- ■日本人親の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 〇申請人の方が永住者の配偶者である場合
- ■次のいずれかで、婚姻関係を証明するもの
- 〇申請人の方が日本人の配偶者である場合
-
-
-
- □配偶者との婚姻証明書
- □上記に準ずる文書(申請人と配偶者の方との身分関係を証するもの)
-
- 〇申請人の方が永住者又は特別永住者の子である場合
- ■次のいずれかで、親子関係を証明するもの
- □出生証明書
- □上記に準ずる文書(申請人と永住者又は特別永住者との身分関係を証するもの)
- ■次のいずれかで、親子関係を証明するもの
-
- ●申請人を含む家族全員(世帯)の住民票
- ●申請人又は申請人を扶養する方の職業を証明する次のいずれかの資料
- 〇会社等に勤務している場合
- ■在職証明書
- 〇自営業等である場合
- ■確定申告書控えの写し
- ■営業許可書の写し(ある場合)
- 〇その他の場合
- ■職業に係る説明書(書式自由)及びその立証資料
- 〇会社等に勤務している場合
- ●直近(過去3年分)の申請人及び申請人を扶養する方の所得及び納税状況を証明する資料
- 〇住民税の納付状況を証明する資料
- ■直近3年分の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)
- ■直近3年間において住民税を適正な時期に納めていることを証明する資料(通帳の写し、領収証書等)
- 〇国税の納付状況を確認する資料
- ■源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税に係る納税証明書(その3)
- 〇その他
- ■次のいずれかで、所得を証明するもの
□預貯金通帳の写し
□上記に準ずるもの - ●申請人及び申請人を扶養する方の公的年金及び公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
- ■次のいずれかで、所得を証明するもの
- 〇住民税の納付状況を証明する資料
-
- 〇直近(過去2年間)の公的年金の保険料の納付状況を証明する資料
- ■「ねんきん定期便」(全期間の年金記録情報が表示されているもの)
- ■ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面
- ■国民年金保険料領収証書(写し)
- 〇直近(過去2年間)の公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
- ■健康保険被保険者証(写し)
- ■国民健康保険被保険者証(写し)
- ■国民健康保険料(税)納付証明書
- ■国民健康保険料(税)領収証書(写し)
- 〇申請される方が申請時に社会保険適用事業所の事業主である場合
- ■健康保険・厚生年金保険料領収証書(写し)
- ■社会保険料納入証明書又は社会保険料納入確認(申請)書(いずれも未納の有無を証明・確認する場合)
- 〇直近(過去2年間)の公的年金の保険料の納付状況を証明する資料
永住権の申請の流れ
申請の全体の流れを把握しておきましょう。
必要書類の準備,作成
永住権を申請する場合、まず申請の要件を満たしているか出入国管理局へ相談します。要件を満たしている場合、最低限必要な提出書類を出入国管理局から指示されますので必ずすべての書類を集めましょう。
書類は多い上に有効期限(日本で発行される証明書はすべて発行日から3ヶ月以内)日本の役所でが決まっていますので、専門的な知識がある方でなければ行政書士などの専門家に相談しながら申請書類を作成した方が良いでしょう。
出入管理局へ書類を提出
申請のため、出入国管理局へ書類を提出します。出入国管理局は混雑していることが多く、ほぼ一日かかって申請を行うパターンも少なくないため、余裕をもって訪れましょう。
審査結果が通知される
審査結果が出るまで、通常4ヶ月程かかります。出入国管理局が混雑している場合は結果が出るまでに6ヵ月〜1年かかることもあります。
許可の場合、入国管理局で永住の在留カードを受け取れます。不許可の場合は、不許可になった理由を払拭した上で再申請をしなければいけません。
まとめ
今回は、日系3世の方が日本で永住権を得る方法についてご説明しました。審査が厳しい上に時間がかかってしまいますので、不許可になるととても負担になります。許可の可能性を高めるためにも、専門の知識を持った行政書士などの専門家に相談し、申請を進めていくことをおすすめします。
日本の永住権を取得して、在留期間に縛られない生活を楽しみましょう。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
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