経営状況が芳しく無く、資金繰りが厳しい場合や、新たに融資を受けられない場合に検討すべき事項としてリスケジュールがあります。
日本政策金融公庫も、「お客さまの事業の状況を十分にお伺いして返済条件の緩和を行い、経営の立て直しを支援していくことは、新たな融資を行うことと同様に重要と考えており、引き続き柔軟に対応していきます。」と謳っています。
ここでは、リスケジュールとは何かという疑問から、リスケジュールを行うタイミングについても解説をしていきます。
リスケジュールとは返済計画の見直し
リスケジュールとは、毎月の返済が厳しくなった場合に、金融機関(ここでいう日本政策金融公庫)に依頼をすることで、一定期間の元金の返済を据え置きしてもらうなどして、返済計画の見直しをすることです。
特に創業して間もない企業や、予測不能の災害のような外部要因に影響された企業など、様々な要因で返済が困難になる可能性があります。
実際、リスケジュールを行なっても、それによって全ての企業が建て直しを成功させることは出来ません。むしろ、リスケジュールを行なったとしても結局倒産してしまう企業の方が多いかと思います。
しかし、日本政策金融公庫としても、資金繰りが苦しい会社に無理に返済を求めるよりも、現在の財務状況や今後の返済計画を検討することで会社の建て直しを図り、資金繰りを改善したほうが、貸したお金が返ってくる可能性が残ります。
リスケジュールのメリット
「資金繰りが安定することで、経営改善に集中できる」
リスケジュールをするメリットというよりもそもそもの目的ではありますが、リスケジュールをすると資金繰りが安定します。
例えば、リスケジュールを行うことで、月々100万円ずつ支払っていた返済金が50万円まで下げてもらえたとします。そうすることで月に差額50万円の余裕ができ、資金繰りが改善されます。
また、これにより経営者は経営改善に集中できますし、上記の差額も年間では600万円になりますので、これを経営改善の施策に充てることもできます。
リスケジュールのデメリット
デメリットその1
「新規融資が受けられない」
そもそも、新規融資を受けられない状態であるからリスケジュールをする、もしくは資金繰りが正常でないからリスケジュールをする、というスタート地点ですので、リスケジュールの出口までたどり着き、実績を積むまでは新規の融資を受けることは難しいでしょう。
デメリットその2
「債務者格付け低下を防げる」
金融機関は、融資先企業に対して独自の査定で10~20段階程度で格付けを行っています。この格付によって取引内容が変わるわけですが、当然、格付けが上にあれば融資を受けやすく、低ければ新規融資を受けにくくなります。格付けでは、要注意融資先に入ってしまうと、今後、融資の申請が通りにくくなります。
格付けは、業績や財務状況、借入金の返済状況によって分けられます。これらに問題がなければ債務者の区分としても「正常先」として取り扱われますが、リスケジュールを行なっている企業は「要管理先」として区分されます。
これにより、将来の新規融資獲得に影響がでる可能性があります。
リスケジュールを検討するタイミング
では最後に、リスケジュールを検討すべきタイミングについても解説します。当然、折返し融資を断られたというように、目の前の資金繰りが危ういということであれば有無を言わさずリスケジュールの交渉に走ることとなります。
しかし、そうでなくても3ヶ月以内に資金不足が考えられる場合には、リスケジュールの交渉を行いましょう。常に資金繰りが厳しい状態ですと、新たに融資を受けることは現実的ではありませんので、返済額を減らすことで資金繰りを改善することに注力すべきです。また、リスケジュールがされるまでには1~2ヶ月を要することも念頭に入れておきましょう。
さて、ここまでいかがだったでしょうか?リスケジュールとは、資金繰りが厳しく返済が困難である場合に、金融機関(ここでいう日本政策金融公庫)と交渉し、月々の返済額を減らしたり、元本返済を据置くことで、資金繰りを楽にし、経営改善に集中できるよう調整するものと分かりました。
メモ
会社の存続、再建のためにはとても有効な手段と言えますが、一方で格付けの低下といったデメリットも生じます。しっかりと、将来の返済の状況や資金繰りを見極め、リスケジュールの実施を検討する必要があります。