日本政策金融公庫で、無利子で融資を受けられるという話を聞いたことがあるでしょうか?
実は、現在日本政策金融公庫では「新型コロナウイルス感染症特別貸付」と政府指定機関の「特別利子補給制度」を一緒に利用することで3年間であれば一定額まで実質的に無利子で融資を受けることが可能になっています。
コロナで売上低下に苦しむ企業のためにこのような制度が出来ており、実際多くの申込みが殺到しているようです。
ここではこれらの制度の説明をおこない、どのような条件で実質無利子化が実現するのか、について解説をしていきます。
新型コロナウイルス感染症特別貸付は業歴3ヶ月と売上低下が条件
新型コロナウイルス感染症特別貸付は、新型コロナウイルス感染症の影響により業績が悪化した、個人事業主を含む企業向けに無担保、低金利で融資を行うものです。
対象者は小規模事業者と中小企業となっており、こちらの特別貸付に申し込みをするには次のどちらかの要件を満たす必要があります。
- 最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比べて5%以上減少している
- 業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合等は、最近1ヵ月の売上高が、次のどれかと比べて5%以上減少している
ポイント
(1)過去3ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高
(2)令和元年12月の売上高
(3)令和元年10月から12月の平均売上高
気をつける点としては、まず業歴が3ヶ月以上ない企業については、この特別貸付の対象にはならないことです。その場合には、残念ながらこの制度は利用できませんので、創業して間もない方向けの女性、若者/シニア起業家支援資金などの別の融資を検討しましょう。
また、業歴が3年以上あるからといって必ず貸付が実行されるというわけでもないので、その点も注意が必要です。あくまで返済できることが大前提ですので、審査の中で返済の見込みが無いと判断されてしまえば、融資が断られるケースもあります。そうならないためにも、しっかりと事業計画を作り込んで審査に挑みましょう。
新型コロナウイルス感染症特別貸付の金利低減は3年間
さて、新型コロナウイルス感染症特別貸付は実質無利子で借りられると謳われていますが、返済期間の全てにおいて無利子になる訳では有りません。さらに、少しややこしいのは、最初から無利子で融資を実行してもらえるわけではなくて、当初3年間は金利が低減されて、さらにその3年分については、別の特別利子補給制度という別の制度を利用することで支払った利子額を補填してもらえる、つまり「実質」3年間は無利子、ということになっているのです。
つまり、当初の3年間以降は金利も元通りで、補填もなくなるので注意が必要です。
まず新型コロナウイルス感染症特別貸付の金利低減のみを解説しておくと、
新型コロナウイルス感染症特別貸付では、低減された利率(基準利率-0.9%)が適用になるのは、当初3年間となっております。
国民生活事業部では、制度上の融資限度額は8000万円のうち4000万円が金利低減の適用を受ける限度額ことになっており、
中小企業事業部では、6億円のうち2億円までが融資後3年まで引き下げの適用を受けます。
なお、4年目からは災害時の基準利率で利子を払う必要が発生します。
特別利子補給制度で実質無利子化を達成
そして、2つ目の制度、特別利子補給制度を利用して、支払った新型コロナウイルス感染症特別貸付の利子を補給することになります。
こちらも、適用を受けるには要件を満たしている必要があるので、確認をしておきましょう。
- 1.個人事業主:要件なし
- 2.小規模事業者(法人、製造業・建設業・運輸業・その他業種は従業員20名以下 、卸売業・小売業・サービス業は従業員5名以下):売上高15%減少
- 3.中小企業者(①②以外):売上高20%減少
これらの要件を満たせば、政府指定の実施機関にて当初3年間、国民生活事業部では4000万円までの部分、中小企業事業部については2億円以下の部分について、一旦日本政策金融公庫に返済後、支払い済の利子額が支給されることになります。
さて、ここまでいかがだったでしょうか?
抑えておくべきポイントとしては、
まず、無利子で融資を受けるためには、新型コロナウイルス感染症特別貸付と特別利子補給制度の両方において、売上減少等の要件を満たすことが必要となっています。
そして、無利子というのは、一旦は公庫に低減された金利を払った上で、補給制度によりお支払った利子額が補給されて、実質的に無利子になるという意味合いになります。そのため、利子はとりあえずは払う必要はあります。
また、適用期間としても当初3年間という決まりもあることも理解しておきましょう。