経営状況が芳しく無く、資金繰りが厳しい場合や、新たに融資を受けられない場合に頭に浮かぶのは、「リスケジュール」です。
日本政策金融公庫も、
「お客さまの事業の状況を十分にお伺いして返済条件の緩和を行い、経営の立て直しを支援していくことは、新たな融資を行うことと同様に重要と考えており、引き続き柔軟に対応していきます。」
と謳っています。
特に創業して間もない企業や、予測不能の災害のような外部要因に影響された企業など、様々な要因で返済が困難になる可能性があり、
リスケジュールをすることで資金繰りが安定、経営者は経営改善に集中することができます。
しかし、リスケジュールは単なる美味しい話ではありません。メリットがあればデメリットもあります。
ここではリスケジュールのデメリットに焦点を当てて解説をしていきます。
デメリットその1「新規融資が受けられない」
そもそも、リスケジュールは、新規融資を受けられない状態であるから、資金繰りが正常でないから、というスタート地点から利用をするものですので、会社としての経営状態は芳しく無く、リスケジュール適用中に新しい融資を受けるのはむずかしいでしょう。これは日本政策金融公庫でも他の金融機関でも同じことです。
最低でも、リスケジュールの出口までたどり着き、元の返済条件で半年程返済実績を積むまでは新規の融資を受けることは難しいでしょう。
デメリットその2「債務者格付け低下を防げる」
金融機関は、融資先企業に対して独自の査定で10~20段階程度で格付けを行っています。この格付によって取引内容が変わるわけですが、当然、格付けが上にあれば融資を受けやすく、低ければ新規融資を受けにくくなります。格付けでは、要注意融資先に入ってしまうと、今後、融資の申請が通りにくくなります。
格付けは、業績や財務状況、借入金の返済状況によって分けられます。これらに問題がなければ債務者の区分としても「正常先」として取り扱われますが、リスケジュールを行なっている企業は「要管理先」として区分されます。
これにより、将来の新規融資獲得に影響がでる可能性があります。
デメリット3「返済期間が延びる」
これは当たり前と言えば当たり前ですが、リスケジュールは元金の返済を止めたり、返済額を低くして資金繰りを楽にする方法ですので、返済スピードが落ちればその分完済までにかかる期間は延びてしまいます。当面の資金繰りが助けられる一方で、完済までの長い道のりにストレスを感じる経営者の方もいるかもしれません。
デメリット4「社内外への信用低下の恐れがある」
最後に挙げられるデメリットとして、社内外にリスケジュールをしているという情報が漏れた場合の信用低下が挙げられます。気をつける点としては行員からの情報漏えいではなく、会社内部での情報漏えいです。会社の資金繰りが危険な状態にあるということを知ることで、対外的には取引先が取引をやめることが考えられますし、対内的にも社員が倒産の不安を感じ、他企業へ流出してしまう可能性があります。リスケは極秘に進めましょう。
リスケジュールを検討するタイミング
では最後に、リスケジュールを検討すべきタイミングについても解説します。デメリットのみを享受しないで済むように、無用なリスケジュールは避けるべきです。
まず、折返し融資を断られたというように、目の前の資金繰りが危ういということであれば、当然、有無を言わさずリスケジュールの交渉に走ることとなります。
しかし、そうでなくても3ヶ月以内に資金不足が考えられる場合には、リスケジュールの交渉を行いましょう。常に資金繰りが厳しい状態ですと、新たに融資を受けることは現実的ではありませんので、返済額を減らすことで資金繰りを改善することに注力すべきです。また、リスケジュールがされるまでには1~2ヶ月を要することも念頭に入れておきましょう。
さて、ここまでいかがだったでしょうか?
リスケジュールをすることで、資金繰りに苦しむ企業は、一時的に経営が楽になり、経営改善に集中できるようになります。
しかし、一方でリスケジュール中は新規融資を受けることが困難になったり、格付けの低下といったデメリットも生じます。
しっかりと、将来の返済の状況や資金繰りを見極め、リスケジュールの実施を検討する必要があります。