経営状況が芳しく無く、資金繰りが厳しい場合や、新たに融資を受けられない場合に検討すべき事項としてリスケジュール(略して「リスケ」と呼びます)があります。
リスケジュールとは、毎月の返済が厳しくなった場合に、金融機関(ここでいう日本政策金融公庫)に依頼をすることで、一定期間の元金の返済猶予してもらうなどして、返済計画の見直しをすることです。
特に創業して間もない企業や、予測不能の災害のような外部要因に影響された企業など、様々な要因で返済が困難になる可能性があります。
日本政策金融公庫も、
「お客さまの事業の状況を十分にお伺いして返済条件の緩和を行い、経営の立て直しを支援していくことは、新たな融資を行うことと同様に重要と考えており、引き続き柔軟に対応していきます。」
と謳っており、リスケ自体珍しいことではないと伺い知れます。
ではここから、実際にリスケを進めていくにあたって抑えておくべきポイントや、実際の交渉の際に、社長が気をつけるべきポイントについてもご説明します。
合理的な経営改善計画書を持参する
リスケをする際には、必ず「資金繰り表」や「経営改善計画書」といった書類を作成します。
これによって「短期的には資金が足りなくなるが、一時的にリスケジュールをしてもらえれば、中長期的には返済が可能である」ことを説明することになります。
また、改善計画の中で、なぜそのような売上増加が見込めるのか、といったことやコストカットの根拠を答えられるようにしておくことで、担当者とも計画的かつ合理的な返済計画に変更することが出来ます。
この経営改善計画というのは単にリスケジュール交渉用資料ではなく、企業の改善の道標となるものです。これを適当に作成する上に、交渉もうまく行かずリスケをしても返済が厳しいとなっては意味がありません。
経営改善計画書の作り込みは必須と言えます。
リスケジュールは一時的な猶予を貰うだけ、という姿勢
リスケジュールをすると、企業側としては資金繰りが楽になるためメリットがあることは言うまでもありません。
他方、日本政策金融公庫としても、資金繰りが苦しい会社に無理に返済を求めるよりも、現在の財務状況や今後の返済計画を検討することで会社の建て直しを図り、資金繰りを改善したほうが、貸したお金が返ってくる可能性が残ります。
つまり、銀行側としては、計画書の内容や経営者の話から、この企業であれば猶予を与えれば経営改善の見込みがあると思うことができれば、十分リスケに応じる意味があることになります。
これらのことから、リスケ交渉で重要になるのは「返済が苦しいから助けてください」というスタンスではなく、「一時的に猶予を貰えれば経営改善の見込め、将来的には残債の返済も再開することが出来る」という姿勢で臨むことです。
この交渉姿勢で、説得力のある計画書を用意することで、返済期間などの条件緩和の交渉も、企業側のペースで、計画・希望に沿ったリスケになるかと思います。
リスケは早めのタイミングで
最後に、リスケジュールを検討すべきタイミングについても解説します。
当然、折返し融資を断られたというように、目の前の資金繰りが危ういということであれば有無を言わさずリスケジュールの交渉に走ることとなります。
しかし、そうでなくても3ヶ月以内に資金不足が考えられる場合には、リスケジュールの交渉を行いましょう。資金ショートギリギリまで引っ張って泣く泣くリスケの相談に行くようでは交渉は上手くいきません。
数カ月先の資金ショートが予想されるのであれば、ここを凌ぐことで経営改善がなされ、将来的にも通常の返済条件に戻すことが出来る、と資料を持って説明することで、行きあたりばったりでない企業側のペースでのリスケ交渉が出来ることでしょう。
さて、ここまでいかがだったでしょうか?
リスケジュールとは、資金繰りが厳しく返済が困難である場合に、金融機関(ここでいう日本政策金融公庫)と交渉し返済条件を変更・調整するものです。
出来れば早め早めに手をうち、追加融資を受けられればそれが良いですが、そうでなくても、資金繰りを見極め早めのリスケ交渉で手を打てられればいいでしょう。
その際には、根拠のある計画書と経営改善及び借金完済の為のリスケであるという姿勢を忘れずに交渉に挑んで下さい。