約束手形を振り出した(受け取った)けど、不渡りになったらどうなるのかと疑問に思う方も多いと思います。1度でも約束手形の不渡りをおこしたら倒産してしまうと思っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、約束手形が不渡りになるとどうなるの?という疑問にお答えをしていこうと思います。
約束手形を6ヶ月以内に2度の不渡りをおこしましたら、約束手形の振出人は銀行取引の停止処分となり、事実上の倒産となります。
約束手形とは
約束手形とは、後日に代金を支払うことを約束することで振り出される手形のことになります。
約束した支払期日までに、代金を銀行に入れておき、約束手形を受け取った人がきちんと決済ができるようにしておきます。
もしも、支払期日までに代金分の資金が銀行口座になかった場合には、約束手形を受け取った人は決済ができません。この決済ができない状態を、「不渡り」といいます。
不渡りの種類
約束手形の不渡りにはおもに3つの種類があるのです。
①0号(ゼロゴウ)不渡り
手形の形式(要件)不備の場合には0号不渡りと呼ばれます。
振出人の署名・押印がない、支払地がない、呈示期間を経過している、期日がまだ到来していない(未到来)、裏書不備などなどです。
形式(要件)不備の約束手形は、支払う義務がないものとなりますので、銀行側は不渡届を作成しません。したがって、信用を棄損するわけではありませんので、何度不渡りとなったとしても、銀行取引停止処分になることもありません。
②1号不渡り
資金不足や取引がない状態のものを1号不渡りといいます。
口座に約束手形分の決済資金がない、銀行取引が解約されていて、約束手形を呈示した際には決済口座がない、という状態です。
これらは、通常不渡りといい、信用を大きく棄損するものになりますし、6ヶ月以内に2回の不渡りを出した場合には、銀行取引停止処分となります。
③2号不渡り
契約不履行、偽造や詐欺、盗難、紛失などの場合で、0号不渡りや1号不渡りに該当しない場合に2号不渡りといいます。
上記のような事由で不渡届出をされた場合には、振出人は預託金を積んで異議申し立てをすることができます。そして、それが決着するまでは、不渡り処分を猶予されるのです。
不渡りをおこしたらこうなる!
法律上は、6ヶ月以内に2回の不渡りをおこした場合には銀行取引停止処分とされて、事実上の倒産となります。しかし、それならば1回の不渡りは問題ないのかというと、そんなことはありません。
1回の不渡りが巻き起こす現象
1番被害を被るのは、約束手形を振り出された取引先になるでしょう。約束手形が不渡りとなれば、入るはずのお金が入ってこなかったということになります。資金繰りに余裕がある会社は少ないでしょうから、約束手形が不渡りとなった取引先の資金繰りを圧迫するのは、充分に考えられます。不渡りを起こされた取引先は、今後の取引を見直すことになるでしょう。たとえば、約束手形による取引に応じてもらえなくなったり、現金取引でなければ取引をしてくれなくなったり、取引金額を縮小する形でなければ応じてもらえなくなったりと、不利な条件でしか取引ができなくなります。
さらには、不渡りをおこしたことがなんらかの形で他の取引先に広まったりすると、かなり多くの取引さや会社から警戒されることとなるでしょう。どんな会社であっても、貸し倒れとなることは避けたいでしょうから、取引を縮小したり、やめたり、不利な条件でなければ取引に応じなくなったりとされることも多いでしょう。
法律上は6ヶ月以内に2回とされていますが、1回の不渡りでも、事業が継続できなくなる可能性は多分にあるのです。
次は、各金融機関への影響です。
不渡をおこすと、銀行は不渡届を作成して手形交換所へ届出をし、手形交換所は全国銀行協会に報告をします。つまり、全国のすべての金融機関に不渡りをおこした事実が把握される状態になるのです。
こうなってしまっては、もはや新規や追加の融資を受けることはほぼ不可能であるといえるでしょう。
つまり、資金繰りが圧迫され事業が立ち行かなく可能性は高いです。1回でも不渡りをおこした会社は、2回目の不渡りをおこすのも時間の問題となり、事実上の倒産まで一直線となってしまいます。
約束手形の不渡りを出さない確実な方法としては、約束手形を振り出さないことしかありません。もし、どうしても約束手形を振り出す必要がある場合には、管理を徹底するのと同時に、資金繰りも徹底することが大切です。
いかがでしたでしょうか。今回は、約束手形が不渡りになるとどうなるの?という疑問にお答えをさせていただきました。約束手形を6ヶ月以内に2度の不渡りをおこした場合には、事実上の倒産となります。1回の不渡りでも取引先や各金融機関からの信用棄損は免れないでしょう。キャッシュアウトを防ぐ意味でも、資金繰りを徹底することが大切になります。
メモ
資金繰りについてよくわからないというような場合には、行政書士等専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は資金繰りの内容により数万円~数十万程度かかりますが、自分自身でする場合の時間や手間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。