小売・卸売を行うにあたっての大きな特徴としては、まず小売業は、売上の回収方法に特徴があります。小売業者は、仕入れた商品を、最終消費者に販売します。そのため、クレジット払いでなければ売上金回収は現金ですぐに行われます。
これに加えて仕入れを掛買いできれば、入金が先、支払いが後、という、とても良い状態にすることが可能です。
一方の卸売業の特徴は、小売の逆で、仕入れた商品を売って初めて売上が発生するので、先に仕入れの支払いをしてから売上金の回収が遅れてくることになります。これらの特徴から、融資を受ける目的としては、小売業ではお金の流れが良いので開業や新店オープンの為の設備投資、卸売業では日々の運転資金となることが多いでしょう。
これらの目的のために融資を検討する際には、毎月の返済で経営を圧迫しないよう、低金利・固定金利で融資を受けられる日本政策金融公庫での融資がオススメです。ここでは特に開業~開業して間もない段階で受けられる日本政策金融公庫の融資制度を中心に紹介をしていきます。
新創業融資制度
新創業融資とは、その名のとおり、これから創業する、もしくは創業して間もない事業者が利用できる制度になります。つまり、既に事業を開始していても事業開始してから2期までであれば対象となります。これは原則無担保・無保証で借りられる日本政策金融公庫の制度になります。
① 利用条件は以下のすべてを満たす方になります。
・新たに事業を始める、または事業開始後、税務申告が2期以内の方
・事業の成長にかけて雇用を生む可能性があること
※なお、本制度の貸付金残高が1,000万円以内(今回のご融資分も含みます。)の方については、本要件を満たすものとします。
・自己資金が、必要としている資金の10分の1以上もっていることを確認できる方
※ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」等に該当する場合は、本要件を満たすものとします。
② 融資限度額
3000万円(うち運転資金1500万円)
女性、若者/シニア起業家支援資金
女性、若者/シニア起業家支援資金とは、新たに事業を始める人、または、初めてからおおむね7年以内の女性の方、もしくは男性で、35歳未満、または55歳以上の方を対象としている日本政策金融公庫での融資制度になります。女性はなんと年齢制限はありません。
① 利用条件は下記の2つです。
・女性、もしくは男性で35歳未満か55歳以上であること
・新たに事業を始める人、または、事業を始めてからおおむね7年以内の人
② 融資限度額
7200万円(うち運転資金4800万円)
新規開業資金
新規開業資金とは、新たに事業を始める人、または、初めてからおおむね7年以内の方(性別・年齢関係なし)を対象とする日本政策金融公庫での融資制度になります。
① 利用条件は下記になります。
・新たに事業を始める人、または、事業を始めてからおおむね7年以内の人
・事業の成長にかけて雇用を生む可能性があること
※なお、本制度の貸付金残高が1,000万円以内(今回のご融資分も含みます。)の方については、本要件を満たすものとします。
② 融資限度額
7200万円(うち運転資金4800万円)
中小企業経営力強化資金
認定経営革新等支援機関による指導・助言を通じて、新事業分野の開拓や異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓などを行う企業の経営力や資金調達力の強化を目的としたものです。
① 利用条件
・市場の創出・開拓を行おうとする企業
・認定経営革新等支援機関による助言・指導を受けている
② 融資限度額
国民生活事業:7,200万円(うち運転資金4,800万円)
中小企業事業:7億2千万円(うち運転資金2億5千万円)
いかがだったでしょうか?
ここまで小売・卸売を経営しようとしている方や事業拡大を考えている方にオススメの、日本政策金融公庫で利用できる資金繰りの融資制度の一部を紹介しました。
メモ
もしも、日本政策金融公庫を利用したいけどどのようにすればよいかわからないという場合には、行政書士等専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は融資の金額により数%程度かかりますが、自分自身でする場合の時間や手間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。