建設業を取得された方であれば、事業年度終了届や決算変更届、といった名前の手続きを聞いたことがあると思います。
めんどうな税務申告のような匂いがする、この手続名ですが、その中身はいったいどのようなものなのでしょうか?
ここでは、事業年度終了届とは何かというテーマで解説をしていきます。
事業年度終了届とは建設業版決算報告
建設業許可を受けた建設業者は、毎年毎年、事業年度が終了する度に許可行政庁に報告をしなければなりません。
これを、「事業年度終了届」と呼び、地域によっては「決算変更届」などと呼ばれたりもします。
イメージとしては毎事業年度終了ごとに税務署に行う税務申告のような感じですが、目的としては、税務申告とは違い、許可行政庁が、許可建設業者がしっかりと経営を行えているかどうかを確認することにあります。
それに加えて、発注者保護の観点が強い建設業法らしく、事業年度終了届は一般に公開され、発注者も建設業者の経営状況を確認できるようになっています。
以上がざっくりとした事業年度終了届の概要です。
事項から必要書類などの手続内容を見ていきます。
決算終了4ヶ月後が提出期限
事業年度終了届の提出期限は、決算終了後4ヶ月以内、という風に設定されています。
また後で確認をしますが、建設業法上の事業年度終了届の必要書類の中には財務諸表も入っており、
これは税務申告用の財務諸表とは若干異なりますが、作成手順としては税務申告用財務諸表を書き換えて作成するものです。
つまり、決算期から2か月以内に税務署への申告をし、その後さらに2か月の猶予があるからその間に建設業の届出もしてくださいねというイメージです。
具体的にスケジュール例を挙げると、3月決算の事業者であれば、5月末までに税務申告を終わらし、7月末までに建設業法の事業年度終了届を提出するといった流れになります。
ちなみに、事業年度を自由に決められる法人と違って、個人事業主の場合は、事業年度は必ず毎年1月1日から12月31日ですので、税務申告(確定申告)は2月末まで、事業年度終了届は4月末まで、ということになります。
事業年度終了届の必要書類
事業年度終了届は一年の取りまとめですので、それなりに添付書類も提出しなければなりません。
建設業許可を受けた行政庁の窓口※に、以下のような書類を提出する必要があります。
※知事許可:許可都道府県窓口
大臣許可:管轄交通整備局
※資本金が1億円超or負債合計200億円以上の株式会社のみ
※使用人数に変更があった場合のみ
※従業員数に変更があった場合のみ
※令第3条に規定する使用人の一覧表に変更があった場合のみ
※ 定款に変更があった場合のみ
事業年度終了届を怠ると更新ができなくなる可能性も
事業年度終了届は期限を守って提出しないといけない、建設業者の義務です。
ではこれを怠るとどんな不利益が生じるのでしょうか?
実は、もし事業年度終了届の提出を怠っていた場合、許可の更新申請や追加申請を受付してもらえなくなります。
なお、もしこれまで事業年度終了届を提出してなかったとしても、実務上は提出期限である4カ月を超えても受け付けをしてもらえますが、始末書が必要になる自治体もあります。
しかしここで、なんだまとめて出せるんだと安心しないで下さい。
もしこれが間に合わなければ更新はできないということを肝に銘じておきましょう。
さて、ここまで読んでいかがだったでしょうか?
ここでは説明を省きましたが、
特に「工事経歴書」や「直近3年の各事業年度における工事施工金額」といった書類の作成方法には細かなルールがあり、これをまとめてするとなるとかなり大変になると思います。
許可ありきで工事を請け負っている建設業者にとって許可更新が出来ないという事態になればそれは死活問題です。
本業が忙しいからこういった定期の行政手続きまでなかなか手が回らない、そんなこともあるかとはおもいますが、更新できなくなってからでは遅いです。
毎年毎年しっかりと事業年度終了届を作成・提出できるよう、自社で手配が難しければ行政書士に依頼をするなどして対策を施しましょう。
行政書士とのつながりがあれば、その他の将来の業種追加や法改正の際のフォローアップなど、きっと役に立つでしょう。