建設業の中には様々な技術者がいて、職務内容も技術者によってそれぞれ異なります。
要件の1つでもある専任技術者に、よく似ていると思われてしまう“主任技術者”ですが、内容は全く違ってきます。
主任技術者って一体どのような仕事を行うの?どのような状況の時に技術者が必要なの?と疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
そこでこちらでは、建設業許可に出てくる“主任技術者”について詳しく解説致します。
主任技術者とは?
まず初めに建設業の許可を持っている事業者は、元請けや下請け関係なく、様々な視点から管理することのできる責任者(技術者)を工事現場に置いてください。という義務があります。
このように、工事現場で管理することのできる人が“主任技術者”です。
しかしながら、なぜ現場ごとに技術者を配置するのでしょうか?
建設業現場では請負金額が大きくなる事が多く、工事の内容をしっかりと把握して、状況を見ながら工程を管理する人が必要です。
また、現場は平坦で安全な場所とは限りません。山を切り開いて行う工事や、河川や橋を作るなど、かなり大規模な工事も行われます。
その上、様々な重機等を扱う工事も多く安全性が高く求められる業種でもあります。
よって建設業の現場には、必ず管理能力のある技術者を、配置することが義務付けられています。
それでは一体、どのような人が“主任技術者”になれるのでしょうか?
次項で詳しく見ていきましょう。
主任技術者になるには?
“主任技術者”と言われるだけあって、もちろんですが誰でもなれるわけではありません。
対象となる人は、下記の条件を満たしている者に限ります。(※専任技術者の要件と同じです)
➀指定された学科を卒業して、現場での経験がある者
・指定学科の高卒後、5年以上経験がある者
・指定学科の専門学校・大学を卒業後、3年以上経験がある者
※行う工事によって必要な学科は異なります。
➁1級または2級の国家資格を持っている者
※工事を行う業種に、関わりのある資格が必要です。
➂資格や指定学歴はないが、工事を行う業種で10年以上経験がある者
このように➀〜➂のいずれか1つでも該当する者であれば、主任技術者になることができます。
仕事内容は?
それでは主任技術者がどのような仕事を行うのか、その内容についてご説明します。
内容としては、以下の3つの管理を主に行います。
1.工程管理
まずは工事を行う上で、最も大切なものと言えるのが計画を立てることです。
ただ計画を立てるだけでなく、これまでの経験に基づいて工事の工程を管理しながら、その後の計画や進行状況を調整する大切な仕事です。
2.品質管理
工事を行う中で必要な資材や品質は大丈夫か、不具合が無いかを管理します。
3.安全管理
建設業では、安全第一とよく言いますが様々な重機を用いて行うことが多く、それゆえ危険を伴う工事に繋がらないとは言い切れません。
また、行う工事の内容によっては大規模なものもあり、周囲の環境や状況を把握することのできる、専門的な知識がある主任技術者だからこそできる管理と言えるでしょう。
このように、主任技術者は“現場で様々な管理”を行う責任者でもあります。
それでは次に、よく似ていると言われる“専任技術者”との違いについてご説明します。
専任と主任の違いとは?
同じ技術者である“専任技術者”と“主任技術者”は要件が同じだから、1人でどちらも兼任することができるのでは?と感じてしまいますが、実は全く仕事内容が違うのです。
専任の技術者は、事務所に必ず必要な人です。
一方で主任技術者は、工事を行う現場に必ず必要な人です。業務内容も異なります。
ということは、専任技術者は主任技術者として働くことは原則として認められません。
しかしある条件を満たす場合においては、兼任が認められる場合があります。
兼任が認められる条件
【一人親方の場合】
一人親方または個人事業主で、完全に1人で工事を行う場合に、専任技術者である一人親方が事務所に常勤することは必須です。しかしそれでは現場で工事を行うことができません。
このような場合は例外として、“工事現場と営業所が近い距離にあり、常時連絡を取れる状況”に限っては、1人で専任技術者・主任技術者として兼任することができるのです。
【2つの現場を1人で管理できる?】
次に主任技術者は、現場を掛け持ちすることができるのでしょうか?
同じ企業の工事で、なおかつその工事内容が関連性のあるものであれば可能です。
また現場と現場の距離が、10キロ以内で近接していないと不可です。
そして請け負う金額が3,500万円以下(税込み)の場合に限ります。
しかし大規模な工事や公共工事に関しては、1人で兼任することは認められませんので注意しておきましょう。
まとめ
今回は主任技術者とはどのような者なのかを、詳しく解説いたしました。
必ず現場に必要な大切な役割の技術者なので、配置することを覚えておきましょう。
しかしながら人手が足りず、どうにか兼任できないかな?とお悩みの方もいらっしゃると思います。そのような際は、専門家である行政書士までお気軽にご相談ください。