建設業の種類は、大きく分けると29種類もの業種があり、その内容はさらに細かく分かれています。その中の一つでもある“溶接”は、許可の業種に振り分けられていないので、溶接を専門的に行っている事業者様は、どの業種で許可を申請したらいいのかわからない。と戸惑う声もよく聞こえてきます。
今回はそのような方に向けて、溶接で許可を取得する方法を詳しく解説していきます。
行う内容で業種が異なる
溶接工事は上記でもご説明しましたように、業種が決まっていません。
この場合は“溶接工事をどのような状況で行うか?”で以下の3つの業種に振り分けられます。それでは一つずつご説明します。
➀トビ・土工・工事業
すでに加工済みの鉄骨などを、組み立てるときに溶接する場合
➁鋼構造物工事業
ここでは、鉄骨の作成や加工・組立全てを請け負う工事の場合
➂鉄筋工事業
鋼鉄などを加工して溶接する場合
このように何をどのように溶接するのかで、➀〜➂に分かれます。
自分の会社がどこに該当するか、まずは申請前に確認しておきましょう。
それでは次項で許可を取得するための手続き方法を、ご説明します。
溶接で許可を取る方法
まず許可を申請する前に必ず満たしておかなければならないものが“5つの要件”です。
1.経営を行う管理責任者がいる
2.資格を持っている技術者がいる
3.請け負う契約に、誠実性がある
4.財産的基礎や金銭的な信用がある
5.欠格要件に該当しないこと
この中でも特に“経営に関する責任者を置く”場合と“資格を持っている技術者を置く”場合に関してが、業種ごとに必要な資格や経験が異なります。
最初にご説明しました➀〜➂の業種ごとに、詳しく見ていきましょう。
【要件その1 経営を行う管理責任者がいる】
まずこの要件に関して、溶接に関わる業種3つをそれぞれ見ていきましょう。
必ず“経営業務”に関する経験がある者が必要です。そして必ず常勤でなければ認められません。
下記に該当すれば、責任者として認められます。
➀トビ・土工・工事業の場合
・トビ・土工の工事業で、5年以上経験がある者
・それ以外の建設業で6年以上経験がある者
➁鋼構造物工事業の場合
・鋼構造物工事業で、5年以上経験がある者
・それ以外の建設業で6年以上経験がある者
➂鉄筋工事業の場合
・鋼構造物工事業で、5年以上経験がある者
・それ以外の建設業の6年以上経験がある者
【要件その2 資格を持っている技術者がいる】
ここでは国家資格を持っている者や経験があるものが、技術者として勤務する必要があります。
下記のうち、どれか一つでも満たす者を会社に置き、常勤である必要があります。
➀トビ・土工・工事業の場合
(資格所有者)
・1級土木施工管理技士や1級建築施工管理技士等の資格を持っている者
(指定の学科卒業者)
・土木学科や建築学を卒業した者
高卒後5年以上の実務経験がある者
大卒後3年以上の実務経験がある者
(経験がある者)
・トビ・土工の工事経験が10年以上ある者
資格を持っていなくても、この業種で10年以上の経験があれば認められます。
➁鋼構造物工事業の場合
(資格所有者)
・1級土木施工管理技士や1級建築施工管理技士等の資格を持っている者
(指定の学科卒業者)
・土木学科や建築学または機械工学を卒業した者
高卒後5年以上の実務経験がある者
大卒後3年以上の実務経験がある者
(経験がある者)
・鋼構造物の工事経験が10年以上ある者
➂鉄筋工事業の場合
(資格所有者)
・1級建築施工管理技士や2級建築施工管理技士等の資格を持っている者
(指定の学科卒業者)
・土木学科・建築学または機械工学を卒業した者
高卒後5年以上の実務経験がある者
大卒後3年以上の実務経験がある者
(経験がある者)
・鉄筋の工事経験が10年以上ある者
このように業種ごとに必要な資格や経験が異なりますので、しっかりと確認しておきましょう。
申請の流れ
必要な要件の確認ができたら、次に申請の手続きを行います。
必要な流れとしてはこのようになっています。
➀申請必要書類の収集
➁添付書類の作成
➂担当窓口へ必要書類等も一緒に提出して、事前審査をお願いする
※東京都は事前審査が必須です
➃正式に申請したら、手数料をその場で支払う
➄審査結果が届く
このような流れで、手続きを行います。
【許可が下りる期間】
許可が下りるまでに、知事許可の場合は約1ヶ月程度で、大臣許可だと3ヶ月ほどかかります。
これは書類に不備がなかった場合なので、余裕を持って申請しておきましょう。
【費用】
許可の区分で異なります。
知事許可の場合は90,000円 大臣許可の場合は150,000円
【有効期限】
許可の有効期限は5年間となります。
まとめ
今回は、溶接工事で許可を取る方法を解説しました。
溶接工事は許可の中に特定の業種がないので、どの業種で許可を取るか事前に決めておくことが大切です。
また、自治体によっても必要な書類等も異なりますので、必ず担当窓口で確認しておきましょう。申請に必要な手続きを行うにあたって、何かお困りの際は専門家である行政書士までお問い合わせください。