建設業は、様々な場所や用途によって利用されることが多く、建設業を営む方はたくさんいらっしゃいます。その中でも塗装業は、単に外壁や家の内装をきれいにする業者さんと感じる方が多いでしょう。
しかしながら塗装業は、その他にも工場や病院、実験室など様々な場所で利用されているのです。許可を取得することができれば請け負う金額も高くなり、公共工事等にも参入することもできます。会社としての事業の幅も広がるチャンスとも言えるでしょう。
そこで今回は、塗床工事で許可を取る方法を解説していきます。
そもそも塗床工事とは?
まずは工事の内容を理解していきましょう。
塗床工事とは、単にペンキを塗るだけの工事とは異なります。
必要とする現場としては、主にフォークリフトや台車などを頻繁に扱う物流倉庫の床などは、おうとつなく平らな床であることが求められます。
身近なものでいうと飲食店の厨房の床なども該当します。
また製薬会社の研究室や食品工場等では、その空間が清潔かつ衛生的にも良くなければなりません。その上、ほこり等をできるだけ防止して薬品等にも強く、耐久性がなければなりません。
このような清潔で綺麗な床を作るには、床塗工事が必須となります。
環境や用途別に作られた、床の専門塗料を職人が塗装していく工事の事です。
この工事で許可を取得するには、関連する業種がいくつかありますが“塗装工事業”で取る方が多いです。
それでは次項で、許可を取る方法について詳しくご説明します。
要件について
まず許可を取得する前に、必ず必要なことが下記の“5つの要件”です。
ここでは下記のすべてを満たす必要があります。
1.経営の管理を行う責任者を置くこと
2.許可を受けたい業種の技術者が営業所ごとにいる
3.契約に関して誠実性があること
4.財産的信用の基準を満たしている
5.欠格要件
それでは一つずつ、内容を見ていきましょう。
➀ 経営を行う管理責任者がいる
ここでは経営の管理を行う責任者を置くことが必要です。
2020年10月に要件が改正され、今までは許可を受ける業種で“経営”の経験者でなければ認められませんでした。しかし現在は、下記のどちらかの経験があれば認められるようになりました。また管理責任者になる者は、必ず常勤である必要があります。
・建設業の会社で5年以上の経営経験者(許可を取る業種以外でも可)
・建設業で経営の補助として6年以上の経験者
※ここでの“経営の補助”とは、工事の施工に必要な資金調達や技術者・技能者の配置を行う
または契約の締結など、経営に関する業務に携わっていた者は、6年以上の経験があれば認められるようになりました。
➁ 資格を持っている技術者がいる
ここでは国家資格を持っている者や実務経験者が、専任技術者として認められます。
下記のうちどれか一つでも満たす者を営業所ごとに置き、常勤であることが必須です。
(資格所有者の場合)
・1級土木施工管理技士
・2級土木施工管理技士(鋼構造物塗装)
・1級建築施工管理技士などの資格所有者
(指定の学科卒業者)
・建築学や土木工学の卒業者で、その後の経験年数が下記の場合
高卒後5年以上の実務経験者
専門高等学校または大卒後、3年以上の実務経験者
(経験がある者)
・塗装工事業での経験が10年以上ある者
いずれかの資格所有者、または経験者が認められます。
➂ 契約に関して誠実性がある
ここでの誠実性とは請負の契約を行う中で、その代表や役員の中に法律に反する行為を行うものがいないということが必須です。
➃ 財産的信用の基準を満たしている
自己資本金が500万円以上ある事、もしくは通帳に500万円以上の残高が残っていれば認められます。
➄ 欠格要件
欠格要件とは、申請内容に虚偽の記載や成年被後見人、破産者などに該当しないことです。
会社の代表や事業主、すべての役員(支店長なども含む)が対象となります。
この他にも欠格要件となる事項はたくさんあり、自治体によっても要件の内容は異なる場合がございます。
事前に本店所在地の管轄窓口で手引き等をもらい、要件をしっかりと確認することをお勧めします。
申請について
それでは申請を行うまでの流れについてご説明します。
1.事前に担当窓口へ行き詳細を尋ねる(手引きの内容を確認しましょう)
※東京都の場合は事前相談が必須です。
2.必要な書類を収集する
3.添付書類の作成を行う
4.申請を行う(申請先は本店所在地を管轄している担当窓口です)
5.申請手数料を支払う
知事許可の場合は90,000円
大臣許可の場合は150,000円必要
【期間について】
知事許可の場合は1ヶ月程度、大臣許可だと3ヶ月ほどかかります。
この期間は書類等に問題がない場合ですので、万が一不備等が生じた場合は、更に時間がかかります。日数には余裕を持って申請しましょう。
まとめ
今回は塗床工事で許可を取る方法を解説いたしました。
塗装工事業での方法でしたが、中には関連性のある防水工事や左官工事業の許可を一緒に取得される業者様も多くいらっしゃいます。
自社にとって、どの業種で申請するのがベストか把握してから手続きを進めることが大切です。
しかしながら専門的なことは分からない。取得したいが準備する時間がない。という方もいらっしゃるでしょう。そのような場合は、専門家である行政書士までお気軽にご相談ください。