建設業には様々な専門工事があり、一つひとつの工事を行う際に、ある一定金額を超える場合は許可が必要となってきます。
ライニング工事を行う場合も、許可が必要なのか?必要な場合は、どのようにして手続きを行う準備を進めていけば良いのか?と、不安や疑問を感じる方もいらっしゃるでしょう。
今回はそのような方に向けて、ライニング工事で許可を取得する方法について解説していきます。
そもそもライニング工事とは?
建設業の中で使われるライニング工事とは、マンションやビル等の建物は、私たちの生活に必要な水を各家庭に給水してくれるための管があり、生活で使った水を外に排水するための管が取り付けられています。
この給排水を行う管が、年月と共に少しずつ劣化してきてしまいます。
一軒家であれば、劣化した管の部分を取り替える工事で済みますが大きな建物の場合、すべての管を取り替えるとなると、かなりの費用がかかってしまいます。
このような場合に、少しでも費用を抑えて復旧の工事を行うために、排水管の内側に専用の塗料を流し込んで、新しい管として使えるようにする為の工事が、ライニング工事です。
建設業の種類の中では“塗装工事”に分類されています。
それではライニング工事を専門工事として行う方で、許可が必要となるのが下記の通りです。
【許可が必要な工事】
通常は許可を持っていない建設業者の方もたくさんいらっしゃるのですが、請け負う金額が一定を超える際に、許可が必要となってきます。
工事の代金が、1件につき税込み500万円以上の場合は必ず許可が必要です。
それではこの金額を超える工事を行う場合に、どのようにして申請の手続きを行っていくのか、次項で詳しくご説明します。
ライニング工事で許可を取るには?
まず許可を取るために必要となるのが、要件についてです。
全部で5つの要件があり、すべて満たす必要があります。一つずつご説明していきます。
【その1 経営を行う管理責任者がいる】
最低1人以上、会社の経営を管理する者が必要です。下記に該当する者が必要です。
・塗装工事業の会社で経営業務を5年以上したことがある者
・塗装工事以外の建設業で、経営業務を6年以上したことがある者
・個人事業主として、塗装業を5年以上行った者
・塗装工事以外の業種で個人事業主として、6年以上営んだことがある者
ここでは必ず常勤でなければ認められません。
法人だと役員から選び、個人事業者だと本人または、支配人が責任者になる必要があります。
外部から非常勤の経験者を雇うという事はできないので、注意しましょう。
【その2 資格を持っている技術者がいる】
ある一定の資格を持っている者が技術者として勤務している必要があります。
下記に該当する者が必要です。
・一級土木施工管理技士や二級建築施工管理技士(仕上げ)等の国家資格者
※その他2種類ほどの資格があります。
・指定されている学科卒業または高卒でその後5年以上の実務経験がある者もしくは、大卒後3年以上の実務経験がある者
・塗装工事の経験が10年以上ある者
この中でどれか一つでも満たす者を会社に置き、常勤である必要があります。
【その3 請け負う契約に、誠実性がある】
契約を行う際に、不正な行為や契約内容を偽造することは認められません。
審査では、詐欺や脅迫など法律に反する行為をしていないかどうか見られます。
【その4 財産的基礎や金銭的な信用がある】
ビルやマンション等の大規模工事を、請け負うことができるような資金や、金銭的な信用が無ければ許可はおりません。
自己資本金が500万円以上ある事、もしくは通帳に500万円残高が残っていれば認められます。
【その5 欠格要件に該当しないこと】
申請内容に虚偽の記載や重要事実を記載しなかった場合や、過去に許可を取り消されてから5年未満の者など、これらに該当する者がいないことが大切です。
他にも様々な欠格要件がありますので、手引き等でしっかりと確認しましょう。
申請の流れ
このように、必要な要件をすべて満たす事ができていると確認できたら、次は申請を行うために必要な、申請必要書類の収集・書類の作成を行っていきます。
すべて整ったら担当窓口へ必要書類等も一緒に提出し、事前審査をお願いしに行きます。
東京都は事前審査が必須ですが、自治体によっては不要な所もありますので確認しておきましょう。
申請を終えると、あとは審査結果が届くのを待ちます。
【結果が届くまでの期間】
期間は申請を行う区分によって異なりますが、知事許可の場合は約1ヶ月程度です。
大臣許可だと3ヶ月ほどかかります。
これは書類に不備がなかった場合なので、余裕を持って申請しておきましょう。
【費用】
申請に必要な費用は許可の区分で異なります。申請時に必要となります。
知事許可の場合は90,000円
大臣許可の場合は150,000円
【有効期限】
許可の有効期限は5年間となります。
更新する場合は満了日の90日前〜30日前までに更新しましょう。
まとめ
ライニング工事で許可を受けるには、工事の業種によって必要な資格等が異なります。
今回得た情報で、どんな準備が必要なのかご理解いただけたかと思います。
建設業の許可を取得するには、時間と手間がかかると言われています。時間がない事業者様や、内容がわからないなど疑問点がある場合は、専門家である行政書士までご連絡ください。