元請け、下請け、孫請け、、
工事規模が大きくなりやすい建設業界では元請けと下請けの存在がよくあります。
川下に行けば行くほどマージンを取られて安価に仕事をしなくてはならない、という現実があり、問題視されてきました。
ここでは、元請け・下請けとはそもそもどういう関係なのかといったところから、建設業法改正にともない明るい方向にシフトチェンジしていくその関係性について解説をしていきます。
元請け・下請けとは
まず元請けとは、依頼者から仕事の依頼を直接請けた会社を言います。つまりは一番上流のところで仕事を捕まえた会社や人です。
そして下請けとは、その元請けから、仕事の一部や全部をさらに請け負うことを言います。
依頼者→元請け→下請けという風に仕事が流れていき、元請けから下請けに仕事を回す際にはマージンを徴収することになります。
下請けに出して経営の効率化を図る
ではなぜ、元請けは下請けに仕事を回すのでしょうか??手数料で儲けなくても自分で仕事をしてしまえば売上はまるまる自社の売上となります。
もちろん、自社にない技術を外に依頼するということはあるでしょうが、その他にも建設業の特徴として、工事が多い繁忙期とそうでない閑散期があります。
そのため、閑散期においても多くの人を雇うことは経営上リスクであり、繁忙期においては人を雇用するのではなく、下請けに外注することで固定費を抑え、リスク管理ができるようになります。
つまりは、元請けは下請けを人員の調整として経営の効率化を目的に利用しているということになります。
また、元請けは仕事を大元で受ける事のできる規模感の会社ですので、集客した案件の一部を下請け会社に流し、マージンを徴収します。
下請けからすると、マージンを徴収されることから、当然ながら同じ内容の仕事であっても報酬が少なくなります。
下請け業者の立場
下請けのメリットとしては、仕事をとってくる営業に費用がかからないことがあります。大きな仕事を取ってこられる会社の下請業者となることで、業務を確保することが出来ます。
しかし、仕事を取ってきたのは元請け、仕事をもらうのが下請け、という構図になっていますので、立場としては平等とは言いにくいところです。
元請けはやはり下請けに対し安い価格で仕事を請け負ってくれることを求めます。そこで価格競争を強いられ、高単価で仕事が出来ないというデメリットもあります。
下請け業者にとって明るい法改正
本来であれば、下請契約は元請け業者と下請け業者が対等な立場で締結されなければなりません。
しかし、これまでの説明の通り、仕事を取ってくる元請け業者とそれを分けてもらう下請け業者という立場の違い、またそれが重なり段々と下請けに回されていくという現状があり、その強い立場を利用して、元請けは下請に対して不利な契約を押し付けるといったことも問題視されてきました。
その問題の解決として、令和1年、下請契約の締結のために守らなければならないことを規定した改正建設業表が成立しました。
その中では次のような内容が追加されています。
①著しく短い工期での契約締結を禁止(発注者)
②工期に影響を及ぼす事項については事前に情報提供する義務(発注者)
③工程の内容を明らかにして見積もりをする努力義務(建設業者)
④下請代金の労務費相当分を現金で払う義務(元請業者)
⑤請負契約について書面で「工期を施工しない日・時間帯」を追加
⑥下請による違法行為の密告を理由とする下請の不利益な取扱いを禁止(元請業者)
この他にも元請け業者と下請け業者の関係性の適正化のために、国土交通省では「建設業法令遵守ガイドライン」というものを公表しております。
この中には、元請負人と下請負人が対等な立場で建設工事の適正な取引を実現させるための取り組みを、イラストも使いながら分かりやすく説明してくれています。
さて、ここまで読んでいかがだったでしょうか?
簡単にまとめると、元請け業者は発注元から直接仕事を請け負う業者で、そのために大々的に営業活動を行います。
一方の下請け業者は元請業者から仕事をもらうわけですが、仕事を上げる立場と貰う立場という関係上、必ずしも平等とは言えず、下請け業者が不当な契約内容で仕事を受けざるを得ないといった問題を抱えていました。
しかし、近年の法改正により、平等な立場に基づく取引の実現に向かって取り組みが進んでいます。
とはいえこれからも仕事を回す側と貰う側という立場に変わりはありません。ぜひ、一つの強みとして、建設業許可の取得も考えてみて下さい。