発注者から請け負って建設工事を行いたいと思ったときは、建設業の許可が必要な場合があります。
さらに、その許可には、「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の2種類があります。
ここでは、一般建設業許可と特定建設業許可の違いについて解説していきます。
許可が不要な工事は?
そもそも、一般建設業許可、特定建設業許可のいずれも不要な建設工事もあります。
それは、「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合です。
ここでいう、「軽微な建設工事」とは、次の①または②に該当するような場合です。
①建築一式工事の場合
工事1件の請負代金の額が1500万円未満の工事
または
延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
②建築一式工事以外の場合
工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事
※①②の金額は消費税を含めた額です。
建設工事は、土木一式工事と建築一式工事の2つの一式工事のほか、27の専門工事があり、合計29種類に分類されています。
建築一式工事とは、マンションを建築する場合や、一軒家を新築・増改築するような場合です。
たとえば、一軒家の増築(①のケース)を請け負って代金が1500万円未満であるときや、塗装工事(②のケース)を請け負って代金が500万円未満のときは、建設業の許可は不要となりますが、①②のいずれにも該当しない建設工事は、「軽微な建設工事」とは言えませんので、一般建設業許可または特定建設業許可が必要となります。
一般建設業許可とは?
まずは、一般建設業許可について見ていきましょう。
一般建設業許可は、次のような場合に取得することになります。
①下請として建設工事を行う場合
②元請として建設工事を行うが、下請に出さずにすべて自社で建設工事を行う場合
③元請として建設工事を行うが、下請に出す建設工事は4000万円以下の場合(建築一式工事の場合は、6000万円以下)
元請とは、発注者から直接受注する場合のことをいいます。
特定建設業許可とは?
これに対し、一般建設業許可の①②③に該当しない建設工事の場合は、特定建設業の許可を受ける必要があります。
つまり、元請として受注して、下請に出す建設工事の請負額が4000万円以上(建築一式工事の場合は、6000万円以下)になるような場合です。
これは、一社あたりの金額ではなく合計額です。そのため、3社に下請に出した場合、それぞれの請負金額が1500万円ずつだったとしても、合計で4500万円になりますので、特定建設業許可が必要になります。
特定建設業許可は、元請として受注する場合の許認可ですので、下請として建設工事を請け負ったときは、たとえ金額が4000万円以上だったとしても一般建設業許可のみでよく、特定建設業許可は不要です。
特定建設業許可の要件は?
特定建設業許可は、下請業者の保護を目的として、元請業者となる会社には厳しい要件が課されます。
具体的には、「専任技術者の要件」「財産の要件」が一般建設業よりも厳しくなっています。
①専任技術者の要件
特定建設業は、次のいずれかを満たす専任技術者が必要になります。
・建設業の種類に応じた国家資格者
例 土木工事業:1級土木施工管理技士、技術士
建築工事業:1級建築施工管理技士、1級建築士
・元請として4500万円以上の工事を2年以上、指導監督をした実務経験
②財産的基礎の要件
財産の要件として次の4つのすべてを満たす必要があります。
・資本金2000万円以上
・自己資本4000万円以上
・欠損額が資本金の20%以下
・流動比率が75%以上
この点、一般建設業許可を取得するための財産要件は、自己資本が500万円以上、または500万円以上の残高証明書を用意できればOKとなっていますので、特定建設業許可の要件がいかに厳しく設定されているかがわかるかと思います。
さらに、この財産要件は新しく許認可を取得するときのみならず、5年ごとの更新の際にも求められます。一般建設業許可の場合は新規取得のときだけの要件となっていますので、この点でも厳しくなっていることがわかります。
更新時に財産要件を満たしていないと更新ができませんので、注意が必要です。
いかがでしたでしょうか。
建設業の許認可についてお悩みの方は、専門家に相談してみるとよいでしょう。申請代行を依頼するための費用はかかりますが、自分でやる場合よりも許可可能性が高くなり、かかる時間、手間等も短縮が可能です。これらの要素を比較しながら、利用を検討してみてください。