近年のコンプライアンス意識の高まりによって建設業許可取得への関心も高まっていることと思います。
ここでは、建設業許可とはどのようなものか、というところから、
もしその取得をしなかった場合にはどのようなリスクがあるのかといった内容の解説をしていきます。
建設業許可とは、ちゃんとした施工ができる業者である証明
建設工事を発注する側としては、ちゃんと工事をできるだけの業者かどうかを事前に判断することができれば、手抜き工事等を未然に防ぐことが可能となります。
そこで、ある程度大きい規模の工事を請け負うためには、許可を受けていないとその工事を請け負うことができない、という風にしており、これを建設業許可といいます。
要件を満たした上で許可を受けているので、経営面、技術面、管理体制面で、国の「お墨付き」を貰っているということです。
なお、ある程度大きい規模とはどのくらいかと言うと、次の範囲を超える規模を指します。
①建築一式工事:請負代金額1,500万円未満/1件
150㎡未満の木造住宅工事
②その他工事:請負代金額500万円未満
中にはこの数字を見て、「なんだ、うちは500万未満の工事しか請け負わないから大丈夫」と思った方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、最近のトレンドとしては工事規模に関わらず建設業許可を取得している会社に仕事を発注しよう、といったコンプライアンス遵守を徹底する姿勢が強まっています。
そのため、許可が必要になる基準以下の業務を請け負う業者においてもこのような許可取得をとることは珍しくありません。
ただし、もちろん基準以下の規模の工事を建設業許可未取得で行うことは全く問題ありません。
建設業許可の未取得で罰則を受ける可能性も
各地域の建設業者の監督部署では、定期的に建設業法の違反がないかをチェックしています。
もし、仮にあなたが本来であれば建設業許可を取得する必要がある規模の業務を許可未取得で請け負った場合、次のような罰則を受ける可能性があります。
•3年以下の懲役
•300万円以下の罰金
•3日以上の営業停止
そして、建設業法違反で罰金刑を課された場合、将来建設業許可を取得しようと思っても5年間は欠格事由に該当し、許可をもらうことが出来ません。
というのも、建設業許可の要件となる項目は大きく5つあり、まず「欠格事由」に当てはまらないないことが必要であり、さらに4つの「許可要件」を備えていることが必要になります。
欠格事由とは、これに当てはまっている人は絶対許可を受けられませんということです。
具体的には次のような事情です。
1.復権していない破産者
2.建設業許可を取り消されて5年経過していない
3.営業禁止・停止の期間を経過していない
4.禁錮以上の刑に受け、その刑の執行を終えてから5年経っていない
5.建設業法、刑法等により罰金の刑を受けて、執行を終えてから5年経っていない
6.5年以内に暴力団員だったこと
7.精神の機能の障害によって建設業を適正に営むための能力が足りない
このうち、建設業許可未取得での建設業法違反、罰金刑、となると上記5に該当しますので刑の執行を終えてから5年間は建設業許可を取得するにあたって問題外、ということになります。
許可取得は保険であり、事業拡大のために必要なもの
うちは500万円未満の工事しか受けないから、と高をくくって本当に大丈夫でしょうか?
もしかすると、含まれていないと思っていた材料費も請負金額に含まれていて、実は建設業法違反になっていた、なんてこともありえます。
また、1つの工事を2つの工事と偽って契約を締結したり、なんてこともあるかもしれません。
ここで建設業許可を取得していれば、なんの問題もありません。
しかし、建設業許可の取得をしていない、それだけで短期的に営業停止や罰金刑のリスクにさらされることとなり、更には罰金刑となった場合には5年間建設業許可を取得できない、というリスクも抱えることになります。つまりこれは事業拡大の機会損失でもあります。
許可を取得しておくか、しておかないかでこれだけ安心度や可能性に違いが生まれるということはしっかりと分かっておきましょう。
さてここまでいかがだったでしょうか??
建設業許可未取得であることのリスクを考えると、現時点での工事規模が基準以下であっても取得をしておくメリットはあるかと思います。
確かに、許可取得のためには要件を満たす必要がありますし、申請書や添付書類の提出と行った行政手続きも必要です。しかし、その煩わしさを考慮しても、許可未取得による建設業法違反可能性は排除すべきであると言えます。
もし、自分で建設業許可取得は難しいかも、、とお思いの方はぜひ専門家への相談も考えてみて下さい。