電気工事業を始める際、「電気工事業の業務の適正化に関する法律」に定められたとおりの登録・通知書を提出しなければなりません。それを電気工事業登録と言います。登録をしなければならないのか、登録しなくてよいのか。よく理解できずにお困りの方も多くいらっしゃるかと思います。
こちらでは、どんな場面で電気工事業登録が必要なのか不要なのか、詳しく解説していきます。
■不要・必要の違い
まずは登録が不要な場合と必要な場合について、ざっくりとまとめていきます。
【登録が不要な場合まとめ】
①元請として、下請け会社に電気工事を依頼する際
②「軽微な電気工事」を施工する際
※ここでいう「軽微な電気工事」というのは、電気工事士法にあたらない電気工事の事を言います。
③家庭用の電化製品を販売するにあたり、サービスとして設置などを行う際
【登録が必要な場合まとめ】
一般用電気工作物もしくは自家用電気工作物を自施工する際
・一般用電気工作物とは
→600V以下の電圧で受電、構外に電線路を持たないもの。
・自家用電気工作物とは
→600Vより大きい電力で受電、構外に電線路を持つもの。
一般用電気工作物なのか自家用電気工作物なのか、また建設業法に則した建設業許可の有無によって登録・通知の種類が変わってきます。
①一般用電気工作物のみもしくは一般用/自家用電気工作物を施工・
建設業許可は無→「登録電気工事業者」
②一般用電気工作物もしくは一般用/自家用電気工作物を施工・
建設業許可は有→「みなし登録電気工事業者」
③自家用電気工作物のみを施工・建設業許可は無→「通知電気工業者」
④自家用電気工作物のみを施工・建設業許可は有→「みなし通知電気工業者」
次はいくつかの例を出して分かりやすく説明していきます。
【例1】元請会社が工事の監督を、実際の電気工事は下請会社に依頼をする場合、元請会社は登録をしていなければいけないでしょうか。
→登録は不要です。
実施工する下請会社は登録の必要がありますが、元請会社は登録なしでも監督として工事を請け負うことは可能です。
※500万円以上の工事を請け負う際は「建設業許可」の取得が必要です。
【例2】電気工事の建設業許可を持っているので、登録なしで電気工事を自施工してもよろしいでしょうか。
→登録は必要です。
建設業許可の所有のみの場合、電気工事業の「営業」は可能ですが、工事を実施工する際には登録が必要です。
【例3】家電量販店で販売したエアコンを引っ越し業者が設置する際、引っ越し業者は登録が必要でしょうか。
→登録は必要です。
家電量販店の社員が直接設置する際には、登録なしでも問題はありませんが、引っ越し業者が設置を行う際には登録をしていなければなりません。
【例4】自社で火災感知器の設置に使用する小型変圧器の二次側の配線工事を行う際、登録は必要でしょうか。
→登録は不要です。
登録不要な「軽微な工事」にあたりますので、登録なしでも問題ございません。
※小型変圧器(二次電圧が36V以下のものに限る。)
【例5】コンセントの取付工事を自施工する際には登録が必要でしょうか。
→登録は必要です。
コンセントの取り付けは一般用電気工作物の工事となり、「登録電気工事業者」もしくは建設業許可をお持ちの際には「みなし登録電気工事業者」の手続きを行わなければなりません。
【例6】ビル、工場などの発電・変電設備を行う際には登録が必要でしょうか。
→登録は必要です。
上記は自家用電気工作物にあたり、「通知電気工事業者」もしくは建設業許可をお持ちの業者様は「みなし通知電気工事業者」の手続きを行わなければなりません。
【例7】請負金額が500万円未満(税込み)の電気工事を行う際には、登録がなくとも自施工ができるでしょうか。
→登録は必要です。
500万円未満(税込み)の電気工事の際、「建設業許可」の取得がなくとも可能な工事になりますが、実施工する際には登録の必要があります。
■まとめ
これを読んで電気工事業登録が不要な場合と、必要な場合の違いがはっきりと理解できたのではないでしょうか。
登録・通知の際には営業所の地域によって書類の提出先も変わって参ります。登録が不要なのか、必要ならばどのように登録・通知を行えばいいのか。業務をやりながら他の許認可に関して調べる時間を作るのは事業主様にとっては難しい話だと思います。電気工事業登録についてお困りの方は是非専門家である行政書士まで、お気軽にご相談ください。