ものづくり補助金の申請をしたけど不採択になってしまったらどうしたらいいのだろうか、とお困りの方は多いのではないでしょうか。不採択のなった理由がわからない、という方もいらっしゃると思います。
今回は、ものづくり補助金の不採択理由3選と題して、不採択になる理由として多いものを3つご紹介していきたいと思います。
ものづくり補助金とは、正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。略して「もの補助」という人もいらっしゃいます。ものづくり補助金は、新しいものづくり等に取り組もうとする中小企業や小規模事業者に対して交付される補助金であり、設備投資や設備開発に取り組む事業主を対象とされています。
ものづくり補助金の1番のポイントは、「革新性」になります。なぜならば、成長が期待できる分野や収益が見込める分野に対して、本事業の名前のとおりに生産性向上を目的とした革新的な取り組みに対して、補助金を交付するものになるからです。
そこで、不採択になる理由として多いものを下記に紹介していきます。
1、単なる設備投資
不採択になる理由として多いのは、単なる設備投資による生産性の向上にしか思えないものになります。
たとえば、15年以上前の設備では加工の精度が低く顧客の要求にこたえることが難しく、熟練した加工技術が必要になるので、最新の設備を導入したい、といった補助事業です。
これは簡単にいいますと、既存の設備が古いから最新設備を導入したいといった設備投資といったものになります。
2、具体的な取り組み内容が記載されていない
具体的な取り組みが記載されていない補助事業計画書も不採択となります。
たとえば、今まで外注していた測定検査業務を自社で内製化することによって時間のロスを低減して、短納期の要求に応える体制を構築するという補助事業での申請です。
これの問題点としては、ターゲットとする市場・具体的な課題の解決方法、どのような素材や加工に対する検査を行うかなど、具体的な記載が一切ありません。したがって、事業計画の内容が不明確であり不採択になったというものになります。
3、補助対象要件の趣旨に合致していない
ものづくり補助金の事業目的とは、公募要領にも記載がありますが下記のものになります。
「中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者 保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援する。」
つまり、革新的な事業展開をもって、稼ぐことで、雇用の拡大と給料の賃上げといった国の政策に貢献してほしい。そして、他の事業主のロールモデルとなって日本経済を活性化してほしい、というのが補助金を交付する側の意図になるのです。
そして、令和2年の要件として事業計画策定の要件というものができました。
ポイントとしては下記になります。
- 給与支給の総額を年率1.5%以上増加すること(特例1%以上)
- 事業場内の最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること
- 付加価値を年率3%以上増加させること
- この①~③を踏まえた3~5年の事業計画を策定すること
これらの要件に合致しており、実現可能性が高い補助事業である必要があります。書面だけ合致していたとしても、実現可能性がないものに対して採択はされないでしょう。
たとえば、単なる設備投資の場合では、一過性の生産性向上にしかならず、「付加価値額を年率3%以上」という要件を満たさないと判断がされます。また、当然ながら事業の成長が見込めないのであればその他の要件である事業計画3~5年間にわたって「給与⽀給総額が年率1.5%以上増加すること」というものや「事業場内の最低賃⾦が地域別最低賃⾦プラス30円以上の水準」という要件を満たすことも不可能と判断されます。
いかがでしたでしょうか。今回は、ものづくり補助金の不採択理由3選と題して、不採択になる理由として多いものを3つご紹介させていただきました。不採択になったものを次の募集時に採択に持っていくことも可能な場合があります。中小企業の事業主の方にとって、経営判断をする際には補助金というのはとても重要な判断材料になるものと思います。補助金を活用することで事業を発展させていくこともできますので、活用することをお勧めいたします。もし、ものづくり補助金の申請について難しいと感じるような場合には、行政書士等専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は補助金の内容により数万円~十数%程度かかりますが、自分自身でする場合の時間や手間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。