「経営力向上計画とは」なにか?名前だけは聞いたことのある事業者さんもおみえになると思いますが、内容は分からない・・・。
「経営力向上計画」について解説をしていきます。
まず「経営力向上計画」とは、日本の企業のなかでもその大多数を占める中小企業、零細企業のような小規模な会社が、より生産性の高い事業環境を整えることができるようにすることを目的に平成28年から始まった制度です。
条件に該当する中小零細企業が事業計画書を作成し、国から認定を受けることで税の優遇や、金融支援など特典を受けることができるようになります。
「優遇税制?」「金融支援?」 中小企業の経営者の方なら飛びつきたくなるようなキーワードですよね。
「経営力向上計画」が認定された場合のメリット
①優遇税制の適用がされる。
設備や機械装置、一定の工具や機器備品、ソフトウエアなどの設備投資を行う際に、その投資の規模や効果についてまとめた経営力向上計画の認定を受けた場合、その設備について「即時償却」や「税額控除」の優遇税制を受けることができます。
・即時償却
設備導入と同時に、その費用の全額を経費として計上することができます。
・税額控除
取得金額の10%相当額の税額控除を受けることができます。(ただし、税額控除は、資本金3000万円以下が10%で、それ以上の企業は7%になります)
②所得拡大促進税制の上乗せの対象になる。
「所得拡大促進税制」というのは、従業員に支払う給与の賃上げをした企業は、その増加量に応じて法人税を軽減するというものです。
企業で働く従業員の方の給与水準を引き上げることで個人所得の拡大促進を図り、経済の活性化につなげていこうという趣旨の制度になります。
条件としては、前年の支払い給与日比較で1.5%以上上昇させていることが条件になりますが、これを適用すると、通常増加した分のうち15%の法人税控除を受けることができます。
ここに「経営力向上計画」の認定を受けている企業の場合ですと、15%ではなく、25%の税控除を受けることができます。
③政府系金融機関からの制度融資を有利な条件で受けることができる。
「経営力向上計画」の認定をうけると、日本政策金融公庫などの政府系金融機関から有利な条件で融資を受けることができます。
具体的には、新事業の開拓や経営の多角化などの際、通常の日本政策金融公庫などが提示基準金利からさらにマイナス0.9%も低減した超低金利での融資を受けることも可能になります。
また民間企業から融資を受ける際の信用保証協会の信用保証についても、通常とは別枠での信用保証などを受けることもできるようになります。
④経済産業省が行う補助金制度の申請の加点対象になる。
事業者さんの中には、補助金の申請を検討されているかたも多いとおもいますが、「経営力向上計画」の認定を受けると、補助金の採択にも有利に働きます。
具体的には経済産業省が行う、「ものづくり補助金」や「IT導入補助金」「事業承継補助金」などの審査時に加点対象となり、補助金がより採択されやすくなります。
以上が「経営力向上計画」の認定を取得した企業がうけるメリットになります。
全て満たすと数百万から場合により数千万円の価値があると思いませんか?
「経営力向上計画」の認定を受けるための流れ
①申請書内容と申請手引き等の確認
経営力向上計画の申請には、書式が定められています。そのため、書き方や、申請のための手引書の確認をして間違いのないようにします。
記載内容としては、企業の概要や経営力向上の目的や目標値などを記載することになります。
②産業分類と指針を確認
経営力向上計画は、国が認定する制度です。一言で「国」といっても、「国」は人ではありませんから、正確にいうと、事業分野別の大臣が認定する制度になります。
そのため、事業の内容ごとに各省の指針が違う為、まずは自社の事業分野がどの産業分野に
なるか確認する必要があります。「日本標準産業分類」と検索すれば確認だできます。
例えば建設業なら国土交通省が管轄していることが分かります。
③計画書の作成
各省の指針に沿った形で経営力向上計画書を作成するようにします。
④申請
申請窓口に関しては、「中小企業庁」のホームページで確認をして、窓口に持参もしくは郵送、更に電子申請もできます。
※申請からおおむね通常30日程度で審査結果の通知がきます。
以上が「経営力向上計画とは」の解説になります。
メモ
経営力向上計画の認定を受けると各種のメリットがありますし、実際に計画したことをを進めることにより経営力の強化に繋がります。
ご自身での活用が不安な場合は専門家のサポートを受けることも可能ですので、一度ご検討してみてはいかがでしょうか。