日本政策金融公庫から融資を受けているものの、売上が思うように伸びなない事や、取引先が倒産をしたり、体調を崩したり、経営上の様々なトラブルが原因で、当初の計画通りに融資の返済が厳しくなった場合どうすればいいのか?
日本政策金融公庫は返済猶予をしてくれるのだろうか?
その様な疑問をお持ちの方も多いと思います。日本政策金融公庫は返済猶予をしてくれるかという質問に対しての答えとしては、「返済猶予をしてくれます!」というのが答えになります。
日本政策金融公庫に返済猶予を求めたい時のノウハウについて解説をしていきます。
日本政策金融公庫に返済猶予を求めることを「リスケジュール」と言います。
「リスケジュール」は返済猶予をしてもらうことで経営改善や経営の安定化を図る事を目的とした財務戦略のひとつの方法といえます。
「リスケジュール」には、「衡平性(こうへいせい)の原則」というものがあります。
「衡平性の原則」とは、簡単に言うと、日本政策金融公庫以外の金融機関からも融資を受けている場合、その金融機関にも同じくリスケジュールを申し入れないとダメということです。日本政策金融公庫も含めて融資を受けている金融機関に対して同じ条件でのリスケジュールをお願いしないといけないということに注意してください。
それを踏まえたうえで、日本政策金融公庫に返済猶予を求める場合のポイントを記載していきます。
リスケジュールを申し入れるタイミングについて
日本政策金融公庫に返済猶予をお願いするタイミングとしては、ずばり言って、「本来の返済計画通りに返済が難しくなることが分かった時点」が返済猶予をお願いするタイミングになると思います。資金がなくなってしまってからでは遅すぎます!返済が難しいということがわかった時点で早急に動くべきです。
どのようにタイミング判断すれば良いのかというと、その判断には毎月の資金繰りの状況を把握しておく必要があります。
毎月の資金繰り、簡単にいうと毎月のキャッシュフロー状況と、将来の予測のキャッシュフローを目安にするということです。
具体的には、過去3から4ヶ月の資金繰状況の実績を確認したうえで、その数字を現時点から3から4ヶ月先に当てはめて考えた場合、ある程度の予測は把握できるようになると思います。当然将来的に変化があることがわかっている場合は、その数字も反映させて予測する必要があります。
常日頃から「資金繰表」を作成して、活用しておくことをお勧め致します。
経営改善計画書を作成する
日本政策金融公庫側としても、融資先の企業が倒産してしまっては元も子もないので、しっかり、経営改善計画書を作成して、説明をすれば、返済猶予には応じてくれます。
経営改善計画を作成するポイントとしては、「現状の計画の返済額では、資金が不足して返済できない状況になるが、返済猶予を認めてもらった場合の返済期間や返済額であれば資金不足も起こらず、ちゃんと返済ができる」という内容にする必要があります。
またその内容についても、具体的数値を記載して、実現性のある内容の計画書にする必要があります。あまりに実現性がない事を記載するとマイナス評価をうけて、返済猶予に応じてもらえないという事態になりかねません。
例えば、経営改善計画の内容を「売上向上」の計画にした場合、適当な数字で計画書を作成すると、「なぜ売り上げがこんなに増加するのか?」理由や根拠の説明を求められて、応戦できず、撃沈することになります。
経営改善計画書には、根拠や理由を明確にしたうえで、具体的な数値を算出し、「返済額をいくらにしたらきちっと返済できるようになるか」を説明できるようにしておくことが肝心です。
以上が日本政策金融公庫に返済猶予を求めたい時のノウハウになります。
まとめると、「申し入れのタイミングとしっかり作りこんだ経営改善計画書の準備」ということになると思います。
実際に日本政策金融公庫に返済融資を認めてもらった方は、タイミングも外さず、経営改善計画書もしっかりと作成し、「短期的に資金繰りが厳しい状態ではあるが、将来的には経営は改善していく見込みがあるので、一時的に返済の猶予をしてほしい」と担当者に熱意をもってお願いをしている方がほとんどです。
また、仮に融資の返済猶予を認められた場合の注意点としては、提出した経営改善計画の進捗具合を少なくとも1年数回は確認を受ける事になるので、計画通りに内容実行をする必要がある点と、返済猶予を受けている間は他の融資を受ける事ができない点に注意が必要です。
メモ
経営改善計画は、自社のみで作成すると客観性に欠ける場合があります。そんな時は行政書士の様な融資の専門家にサポートをお願いするのも1つの方法だと思います。