補助金活用ガイド

補助金で設備投資も可能


補助金は中小企業や小規模事業者の「積極的な投資活動」を応援する制度と言えます。積極的な投資活動は、会社を大きくすることに繋がり、それは将来的に国に納めてもらう税金に形を変えることになります。その税収が翌年以降の補助金制度の財源になり、また他の会社や個人事業主が補助金を活用して売上を上げて利益を出す。このいい循環こそ補助金制度が成り立つゆえんでもあるんです。

ところで、「節税」という言葉は経営をされている方にとって耳障りのいい言葉かもしれません。

ですが、過度な節税の結果、会社が赤字では意味がありません。赤字は会社の企業価値を下げ、会社がお金を確保する手段でもある「融資」が受けにくいなどのデメリットを作り出してしまいます。補助金によっては融資を併せて実行することで効果がある補助金も存在します。

せっかく補助金が採択(合格)されても、「融資が受けられないので補助金は断念する」というのは、本来の補助金制度の姿とは言えません。

節税できる部分はきちんとして、「適切な納税を行う事」。これは、補助金制度を支える大事な行動であるとも言えます。要するに、「節税」と「積極投資」のバランスがとても大切ということです。

新規設備を補助金で買える

会社を大きく発展させていく為には、業種によって規模は違いますが、「設備投資」が必要になります。

・工場であれば、最新の製造ライン設備や最新の作業用ロボットの導入。
・建設業であれば、ショベルカーなどの現場作業車などを導入。

このように設備投資をすることで、事業を拡大したいと考える事でしょう。その時には多額の投資が必要になります。

投資とはつまり、会社の「現金」を使ってモノを購入することです。投資をすると、会社は現金という「流動資産」が減ることになります。流動資産が減ることというのは何を意味するのかというと、「資金繰りの悪化」です。会社の経営にとってとにかく大事なのは、「手元にどれだけすぐに使えるお金があるか?」ということです。

どんなに売上が大きい会社でも掛売り上げなどで売り上げの入金が2か月先であるなどの場合は、その2か月間は自由に使えるお金が手元にないことを意味します。

その2か月の間に何か突発的な支払いなどが生じてしまい、お金を用意できなければ会社は継続できません。いわゆる「黒字倒産」というものです。

一般的に会社が余裕をもって経営ができるようにするためには、その会社の売上3ケ月程度の現預金が必要だと言われます。ですが、3か月分の現預金を持っている会社はあまり多くなく、現実的には売り上げの1ケ月分程度である会社が多数を占めます。

その会社のいわば「血管」ともいえる「資金繰り」を助けてくれるのが、「補助金」です。補助金は、設備投資に通常多額のお金が必要なのに対して一部を補助してくれます。そうすると、その補助金を受け取った年の会社の決算は「資金繰り」が改善することになります。補助金のおかげで手元に残ったお金をさらに別の投資に回して売り上げを伸ばすといったことも可能になります。

補助金は会社の血管である「資金繰り」をサラサラにする効果が大きい制度と言えます。しかも、設備投資に補助金を活用することにより、融資を受けやすくなるという副次的な効果も持っています。

例えば、補助額が上限1,000万円の「ものづくり補助金」。補助額が上限1,000万円ということはなにを意味するかというと、補助金の補助率は一般的に2/3ですので、「1,500万円」の現金(キャッシュ)が会社から無くなることを意味します。

補助金は、「後払い」の制度ですから、会社は一時的に1,500万円という多額のお金を支払わなければならなくなります。会社内部にそれだけのお金があったとしても、その他会社経営には従業員のお給料の支払いや買掛金の支払いなど様々なお金の支払いが必要な場面があります。

そこで、補助金が採択(合格)した際に、金融機関に相談して融資を受けるということが現実的にあり得ます。そのようなときに「補助金採択」といういわば免罪符的なものがあることが融資に通過しやすいポイントにもなり、メリットと言えるわけです。

つまり、会社の「資金繰り」とのバランスを取って補助金を申請していけば、大規模な投資によって会社経営を拡大することが可能なとてもいいアイテムが「補助金」なのです。

1億円もらえる補助金も!?

国の補助金の正体は何か?と聞かれると、おそらく多くの方は分かるはずです。

「税金」

その通りです。

毎年春先になると、その年の新しい補助金が出てくるのですが、国はその年ごとに重点におく国としての政策があります。その政策によってどのような分野に補助金を出すかなどを決めていくことになります。

昨今では、「新型コロナウイルス感染症」の感染拡大によって補助金はよりフォーカスされました。

コロナに関連する補助金制度なども登場し、補助してくれる金額も高めに設定されるなど、国としてもコロナ支援に補助金を活用しようという表れでもあります。

コロナが無い時期の補助金へ充てられる税金の金額は「おおよそ2000億円」です。この数字を聞いても、すごい金額だなと思うのではないでしょうか?

ですが、最近のコロナの影響を踏まえて、なんと充てられる税金が「1兆円を超え」、「1社で最大1億円」を補助するような補助金まで登場しています。その補助金は「事業再構築補助金」です。

この補助金は令和3年度に大きな目玉となる補助金だと言われています。この補助金は、新型コロナウイルスの影響などで、今までの事業をこのまま継続するよりは、「思い切った業態転換」や「思い切った業種転換」などを行う事で、経営を立て直していこうという中小企業などの取り組みを支援する補助金です。令和3年に国会で可決され春先に登場すると見込まれています。

詳細は募集要項にゆずるとして、国は毎年様々な課題に対して補助金を活用して、中小企業や小規模事業者を支援しようと積極的な取り組みを行っていることがこれでお分かりいただけたのではないでしょうか?

補助金制度は毎年変化が激しく、情報を入手して理解することが難しい制度だと言われます。ですが、基本の条件は毎年の補助金制度を見る限り変わっていません。補助金制度は素晴らしい制度ですが、補助金は使い方を間違えると会社が倒産しかねないくらい危ない制度とも言えます。制度の基礎をまずは理解しましょう。

 

この記事の監修

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

行政書士/財務コンサルタント

吉野 智成(よしの ともなり)

プロフィール

大学卒業後、税理士事務所で中小企業の会計を支援。
2019年 行政書士登録、個人事務所を開設
2021年 補助金・融資部門を法人化。「株式会社Gunshi」を設立
専門分野:事業者向け補助金、融資申請支援

書籍

中小会社で活用できる「補助金」のことがわかる本』(セルバ出版)

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