日本政策金融公庫からの融資を検討されている方で色々と調べていくと、「据置期間」という言葉を目にすることがあると思います。
据置期間とは何のことなのか、日本政策金融公庫の場合は据置期間がどれくらいになるのかについて説明していきたいと思います。
据置期間とは?
据置(すえおき)期間とは、元金返済を猶予された期間のことを言います。
融資とは簡単に言えば借金です。ですから、融資を受けた場合には指定された返済日に元金と利息を合わせて支払わなければなりません。
しかし、開業したばかりで融資を受けた場合には、すぐに利益を上げるのが難しい場合もありますよね。
そういった事情がある方のために、元金返済を猶予し、利息だけを支払えばよいという期間を設けることができます。
この期間を「据置期間」と呼びます。
注意点① 据置期間後の月々支払う額が多くなる
据置期間は元金の返済をしなくてよいので、融資を受ける方は絶対使った方がいいんじゃないの?と思われる方もいると思いますが、注意点もあります。
気を付けなければならないのは、据置期間も返済期間に含まれるという点です。
つまり、据置期間が終わった後に支払わなければいけない額が多くなります。
例えば、返済期間5年(60か月)で540万円の融資を受ける場合で考えてみましょう。
(ここではわかりやすくするため、元金の返済が毎月同じになる元金均等返済の場合で説明します。)
据置期間を設けなければ、月々540万÷60=9万円プラス利息を支払っていくことになります。
一方据置期間を6か月設けた場合はどうでしょうか。
最初の6か月は据置期間で利息のみ支払えばいいですが、その後は残りの54か月(60-6)で元金をすべて返済しなければなりませんので、月々の返済額は540万÷54で月々10万円+利息を支払わなければなりません。
このように、据置期間を設けることで後々苦しむということもありますので、注意が必要です。
注意点② 利息総額が高くなる
もう一つ気を付けなければならないのが、据置期間を設けることで利息の総額が大きくなり、よって支払総額も大きくなるということです。
1000万円の融資を返済期間5年、年利2%で受けるとします。
(ここではわかりやすくするため、月々の返済ではなく1年に1回の元金均等返済と仮定して説明します。)
据置期間を設けない場合、1000万円を200万ずつ返済していくことになりますので、利息は次の通りになります。
年数 | 残高 | 利息(残金×年利) |
---|---|---|
1年目 | 1000万円 | 20万円(1000×0.02) |
2年目 | 800万円 | 16万円(800×0.02) |
3年目 | 600万円 | 12万円(600×0.02) |
4年目 | 400万円 | 8万円(400×0.02) |
5年目 | 200万円
毎年200万円の返済 |
4万円(200×0.02) |
したがって、1年目から5年目までの利息の総額は60万円になります。
では、据置期間を1年間設けた場合はどうなるでしょうか。
年数 | 残高 | 利息(残金×年利) |
---|---|---|
1年目 | 1000万円 | 20万円(1000×0.02) |
2年目 | 1000万円 | 20万円(1000×0.02) |
3年目 | 750万円 | 15万円(750×0.02) |
4年目 | 500万円 | 10万円(500×0.02) |
5年目 | 250万円
2年目以降毎年250万円の返済 |
5万円(250×0.02) |
したがって1年目から5年目までの総額は70万円になります。
先ほどの据置期間を設けない場合と比較すると10万円の差がでます。
このように、据置期間を設けることで、支払わなければならない総額が大きくなります。
これは、据置期間が長ければ長いほど、また借入額が大きければ大きいほど差が広がっていきます。
据置期間を設けたい場合は合理的な説明が必要
日本政策金融公庫で設けることができる据置期間は最長2年となりますが、希望すればだれでも2年の据え置き期間をもらえるわけではありません。
例えば、いつ利益が上がるかわからないし、念のため2年にしておこう!というようなことはできません。
事業開始から〇か月はこういった理由で十分な利益が得られないので〇か月の据置期間を設けたい等といった、希望する据置期間の根拠を用意しなければなりません。
いかがでしたでしょうか。
据置期間とは何か、据置期間を設ける場合の注意点等について説明してきました。
メモ
もし、据置期間についてわからないことがあったり、自分で日本政策金融公庫への融資申し込みの準備をするのが難しいと感じた場合には、まずは専門家に相談してみてください。