経営状況が芳しく無く、資金繰りが厳しい場合や、新たに融資を受けられない場合に検討すべき事項としてリスケジュールがあります。
しかし、よく挙げられるデメリットとして、リスケジュール中の融資が受けられなく成るというものがあります。
実際の所、リスケジュール中である、ということだけをもって融資を受けることは不可能なのでしょうか?
結論としては、ほぼほぼ不可能です。
では早速中身について見ていきましょう。
リスケジュールとは返済計画の見直し
そもそも、リスケジュールとは、毎月の返済が厳しくなった場合に、金融機関に依頼をすることで、一定期間の元金の返済を止めててもらうなどして、返済計画の見直しをすることです。
特に創業して間もない企業や、予測不能の災害のような外部要因に影響された企業など、様々な要因で返済が困難になる可能性があります。
なぜリスケジュール中は新規融資を受けられないと言われるかというと、そもそものスタート地点が、新規融資を受けられない状態であるからリスケジュールをする、もしくは資金繰りが正常でないからリスケジュールをするというネガティブな状態にあるからです。
リスケジュール中でも新規融資を受けられる可能性
リスケジュール中に融資を受けることはほぼ不可能という事実に変わりはありませんが、業績改善や返済額増加の実績等によって融資を受けられる場合もあるにはあります。
例えば、複数の銀行で借入を行なっており、それぞれ同一条件でリスケジュールをしていた会社がありました。各銀行に経営改善計画を提出し、その計画を徹底して実行、利益も着実に増えたため、リスケジュール更新のたびに返済金額を元々の返済金額まで近づけていきました。また、各銀行への定期的な現状報告によるコミュニケーションも欠かさず行い、信用の維持に務めました。
そして、新規融資による借り換えによって全ての銀行の融資を返済し、正常な返済に戻す計画を銀行に持ち込みました。その結果、新規融資を受けることに成功し、全ての融資のリスケジュール状態も解消となりました。
もちろん、正常な返済状況に戻って、実績を積めば、その後も違う銀行からも新規の融資を受けることが期待できます。
このように、リスケジュール中だと全くもって新規融資を受けることが出来ないということはありませんが、やはりそのためには、入念な計画策定やその実行、業績・資金繰りの回復、その他元の融資額に対する現在残高等、色々な要素がプラスに働いていないと厳しいでしょう。
新型コロナウイルス感染症特別貸付はまだ可能性あり
ここまでで、リスケ中の新規借入は難しいとお伝えしました。しかし、新型コロナウイルス感染症特別貸付においては、リスケ中の企業でも借りることができる可能性は十分にあります。
確実な基準では有りませんが、一つの目安として、新しく融資をした後の返済額が、リスケ中の返済額と同額以下であれることがあります。
例えば以下のようなパターンです。
(現在リスケ中)
当初借入額:2,000万円
現在残高:1,000万円
リスケ中の毎月返済額:12万円
↓
新規融資額:2,000万円
新規融資の返済期間:15年(300回返済)
新規融資の毎月返済額:11.1万円
この場合、新規融資後の毎月の返済額は現在(リスケ中)の返済額より低くなっています。
このような結果になることと、プラスして返済可能である根拠を説明することによって、金融機関側に返済可能性を認めてもらえる可能性が高まります。
融資は水物であり、この新型コロナウイルス感染症特別貸付においては、多くの企業が否応なくコロナウイルスに振り回されている状態ですので、公庫も救済可能な企業は出来るだけ助けるというスタンスを取っているようです。
さて、ここまでいかがだったでしょうか?
リスケジュールをすることで、資金繰りに苦しむ企業は、一時的に経営が楽になり、経営改善に集中できるようになります。
しかし、一方でリスケジュール中は新規融資を受けることが困難になるといったデメリットも生じ、これを覆すことは至難の業です。
ここであげた、リスケ中でも融資が受けられるといった例はあくまで例外的なものであると認識し、しっかりと、必要不可欠である場合にのみリスケジュールを実施し、リスケジュールを実行する際には、綿密で合理的、実現可能な計画書を策定し、事業の再建に本腰を入れなければいけません。