「経営改善計画書」って何?少々難しい言葉ですよね?「経営改善計画書」とは簡単に言うと、業績があまりよくない場合に、業績を回復させるための作戦計画といった
ところでしょうか。
日本政策金融公庫に追加融資を申し込む場合や、既に借りている場合でも、自社の業績が悪い場合などに日本政策金融公庫から経営改善計画書の提出を求められる場合があります。
「経営改善計画書」の書き方についてのポイントについて、下記の解説をしていきます。
「経営改善計画書」には大きく分けて2つの種類があります。1つは、5年や10年といった長期的な経営改善計画書で、事業拡大や生産性の向上を図る目的で作成するもので、「事業計画書」とも言われます。
2つ目は、短期の経営改善計画書で、業績が悪化してしまって、追加の融資等を受ける為に経営状況を改善させることが急務な場合に作成するものです。
日本政策金融公庫を始めとする金融機関から「経営改善計画書」を求められる場合は、2つ目の場合が大半です。
「経営改善計画書」を作成する上で必要な情報としては下記になります。
①自社の現状について
自社の現状について、経営方針や、事業の概要やビジネスモデルなどの内容を盛り込んで説明します。
②資金繰表
経営をするうえで、ある一定の期間の現金収入と現金支出を集計し、現金の過不足の状況を把握するために表になります。日々作成することで、現金収支が把握でき、いつまでにいくら必要になるのかが分かる表となります。
③収支計画表
今後の事業の展開により、どの様な収支が予想されるのかを表した表になります。
④経営改善の具体的な取り組み内容
具体的にどのような経営改善を行っていくのか、その行動内容を具体的に表します。
まず経営悪化の原因はどこにあるかを把握したうえで、その対策として何をするのか、その効果はどれくらいあるのかなど目標値をある程度定めて考える必要があります。
大まかですが以上記載した項目が情報記載された経営改善計画を作成する必要があります。
次に、経営改善計画書を作成するうえで注意したいポイントをいくつか挙げてみます。
⑤過度な期待を含んだ売り上げは織り込まないようにする。
経営改善計画書においては、「過度な期待数値」はタブーです。少しでも前向きに売り上げをアピールしたい気持ちは分かりますが、まだ決定もしていない契約による売上の増加を織り込んでしまうと、「見通しの甘さ」を指摘されてマイナス評価になってしまう可能性があります。経営改善計画書を作成するうえでは、極めて保守的な計画にする方がよいと思います。
⑥経営悪化はあくまで自社の責任ということを理解する
経営が悪化した要因はあくまで自社の責任であるということを認識しておくようにしましょう。自社以外の他人の責任にしても、今更経営が改善するわけではありません。自社の中に経営悪化の原因があるとして客観的に状況を判断することで、経営悪化の要因の発見にも繋がりますし、自社の事だからこそ、具体的詳細な改善策を考案できるようにもなります。
⑦経営改善には痛みを伴う事もある。
経営改善の為には、時には自社にも痛みを伴う覚悟をもつことも必要です。例えば、役員の報酬の減額や、人件費抑制の為のリストラなど大ナタを振るわなくてはいけない場合もありますし、融資をする金融機関の側からみれば、覚悟もない経営者の言っていることは信じないと考える場合もあります。「自社の犠牲」を払う覚悟はとても重要な事になります。
以上のポイントを念頭において、経営改善計画を作成していけば、現実味のある計画書が作成できると思います。
なんだか、面倒だし、難しいと思われる方もいるかと思います。ただ経営改善計画書を作成するのは、何も融資を通すだけのためではないのです。
経営改善計画書を作成することで、自社の状況を客観的に把握することで、次の行動の指針になることもあります。
自社の状況を分析することで、売上の増加や無駄なコストの削減を行う事ができ、時には会社で働く従業員のモチベーションを高め、生産性が向上することもありえます。
経営改善計画書に基づいて、行動をすれば業績回復の近道にもなりますし、仮に計画書通りに改善が進めば日本政策金融公庫を始めとした、融資を受ける金融機関や取引先などから信用を得る事もできるようになります。
経営改善計画書は融資の為だけのものではなく、企業の業績回復の羅針盤になるようなものです!
メモ
日本政策金融公庫のホームぺージには「経営改善計画書」の雛形などがダウンロードできる様になっていますし、記載例もありますので、参考にしてみるのが良いとおもいます。
ただ、それらを見てもなかなかイメージがわかないかもしれません。その際は行政書士のような専門家のサポートを受けるのも1つの方法です。