日本政策金融公庫から初めて融資を受ける際に、担当者から企業概要書を提出してください、といわれてお困りの方もいらっしゃると思います。企業概要書をどのように書いたらいいのかと困惑している方も多いのではないでしょうか。
今回は、企業概要書の書き方ガイド!満額融資を日本政策金融公庫から!と題して、企業概要書の書き方をご説明していきたいと思います。
企業概要書とは、日本政策金融公庫から初めて融資を受ける際に作成する書類になります。創業計画書を提出する方は不要なものとなりますので、両方作成するなどのことは、意味がりませんのでやめたほうが良いでしょう(創業計画書には企業概要書に記載する内容が網羅されております)。つまり、すでに事業を始めていて、決算を1期でも終えている方が初めて日本政策金融公庫から融資を受けたい場合には作成・提出する書類が、企業概要書になります。
企業概要書の書き方
企業概要書は、下記の項目で書き方が分かれています。
- 企業の沿革・経営者の略歴等
- 従業員
- 関連企業
- 借入の状況
- 取扱商品・サービス
- 取引先・取引関係等
それでは具体的に見ていきましょう。
①企業の沿革・経営者の略歴等
企業の沿革の箇所
会社の設立や支店を開設した時期などを記載していき、会社の実績がアピールできるように記載していくと良いでしょう。支店を開設していなくとも、例えば月商売上〇〇万円達成!などでも構いません。会社が少しずつでも成長していることがアピールできることが大切です。
経営者の略歴
会社を経営している経営者の略歴を記載していきます。ここでのポイントは、経営者としての実績や、会社員時代の実績をアピールすることを意識していきましょう。アピールできる学歴もあれば記載したほうが良いでしょう。経営している事業に関係するような資格があるならば、その資格も記載していきましょう。
過去の事業経験
事業経験の有無を、該当する箇所にチェックを入れていきましょう。
取得資格
事業に関わる資格を持っている場合には、資格の名前を記載していきましょう。
たとえば、美容師・調理師・整体師などなどです。
実際の経営者
融資の申込者が実際の経営者であることが1番望ましくあります。
融資の担当者は、実際の経営者にはよく確認しています。なぜならば、たとえば過去に破産経験があり、自分自身で融資を申し込むのが厳しいとみて、配偶者(妻や夫)を会社の代表者にして融資を申し込んだりすることがあるのです。したがって、融資の担当者側も実際の経営者=融資の申込者なのかを注視しています。
後継予定者
後継者の有無にチャックをつけましょう。
許認可等
飲食業や建設業・不動産業など、許認可が必要になる業種があります。融資を受ける前に、必要な許認可を取得していないと融資は受けられませんので、許認可が必要な業種であれば、融資の申し込み前に必ず取得しておきましょう。
知的財産等
特許や商標など、アピールができる知的財産権がある場合には必ず記入していきましょう。
②従業員
常勤役員の人数や3ヶ月以上雇用している従業員数を正確に記入していきましょう。融資を申し込む際に、確定申告書一式を提出することになりますが、その中に法人事業概況説明書というものがあります。この書類と、企業概要書に記載した人数に大きなズレがあると印象が悪くなりますので、正確に記入していきましょう。
人件費は事業をしていくうえでの1番の固定費となります。融資の担当者は会社の規模や固定費をおおまかに予測するために、従業員数を記載する箇所を設けているのです。
③関連企業
経営者や配偶者が経営している企業の情報を記載していきます。関連企業を記載する目的としては、迂回融資や関連企業に問題ないかどうかを確認したいためになります。
経営者がいくつか会社を経営していて、関連企業としてある場合には、関連企業とあわせて借入限度額が判断されてしまいます。
④借入の状況
経営者個人としての借り入れ状況を記載していきます。たとえば、住宅ローン・自動車ローンなどです。正確に記載していきましょう。
⑤取扱商品・サービス
1番重要な箇所になりますので、充分にアピールしていきましょう。
取扱商品、サービスの内容
欄が小さいので、別紙で資料を添付したり、補足説明をすると良いでしょう。飲食店なんかで、メニュー表がある場合には積極的に添付していきましょう。
客単価(飲食・小売等)
飲食業や小売業の場合には平均客単価を、建設業などの場合には、1件ごとの平均単価を記載していきましょう。
売り上げの季節変動
時期や季節によって売り上げに変動がある場合には、有にチェックをつけます。
どのような業態であっても、売り上げのピークとボトムがあるものと思いますので、ピークとボトムを記載していきます。たとえば、飲食業などは歓送迎会シーズンや年末年始は売り上げが上がるなどの傾向があるものと思います。
セールスポイント
取り扱っているサービスや商品の強み、お客様から好評な点等を丁寧にアピールしていきましょう。書籍の出版や雑誌やテレビ取材などで取り上げられたことがある場合には、その雑誌の切り抜きや、テレビ番組のスクリーンショットなども印刷して提出すると良いでしょう。
販売ターゲット、販売戦略
顧客ターゲットとその見込み顧客にリーチしていく販売戦略を記載していきましょう。
競合、市場など企業を取り巻く状況
業界全体としての状況や地域での競合はどうなのかを記載していきましょう。競合などとの差別化を図るための取り組みも説明すると良いでしょう。
悩みや苦労している点、欲しいアドバイス等
融資を受ける目的に繋がる形で記載していきましょう。こうした悩みがあり、それを解決するために融資を受けたい、などなどです
⑥取引先・取引関係等
販売先や仕入れ先、外注先などを、シェアが高い順に記載していきましょう。一般個人が顧客対象となっている場合には、一般個人と記載すれば大丈夫です。
固定または顧問の取引先が複数あったり、長年取引している会社などがあり、売り上げが見込める場合にはアピールになります。
メモ
いかがでしたでしょうか。今回は、企業概要書の書き方ガイド!満額融資を日本政策金融公庫から!と題して、企業概要書の書き方をご説明させていただきました。
企業概要書を簡単に書いてしまって融資が受けられなかった方もいらっしゃいます。日本政策金融公庫から融資を受ける際にはとても大事に書類になりますので、丁寧にアピールしていきながら作成していきましょう。
もし企業概要書の作成が難しいと感じるような場合には、行政書士等専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は融資を受けたい内容により数万円~数%程度かかりますが、自分自身でする場合の時間や手間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。