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【フィリピン人の方向け】EUシェンゲンビザの申請方法を解説
ヨーロッパへの渡航を考えている在日フィリピン人の方の中には、
「シェンゲンビザとは?」
「フィリピン国籍は対象?」
「申請方法は?」
といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。
この記事では、フィリピン人の方向けにシェンゲンビザの申請方法について詳しく解説します。ぜひ、最後までお読みください。
シェンゲンビザ(短期滞在ビザ)とは?
シェンゲンビザとは、主にヨーロッパ諸国に短期滞在できる査証です。
ビザの概要について、以下で見ていきましょう。
シェンゲン協定加盟国内に渡航する際の短期滞在ビザ
「シェンゲン協定」は、欧州連合(EU)域内での人々の自由な移動を実現するために、1985年に制定されました。
「シェンゲンビザ」は、協定に基づき、加盟国の国境管理の撤廃と出入国管理に関する共通のルールとして導入された査証です。
シェンゲン協定加盟国
シェンゲンビザを利用して滞在できる国は、シェンゲン協定に加盟している以下の29カ国です。
- オーストリア
- ベルギー
- チェコ
- デンマーク
- エストニア
- フィンランド
- フランス
- ドイツ
- ギリシャ
- クロアチア
- ハンガリー
- イタリア
- アイスランド
- ラトビア
- リヒテンシュタイン
- リトアニア
- ルクセンブルク
- マルタ
- オランダ
- ノルウェー
- ポーランド
- ポルトガル
- スロバキア
- スロベニア
- スペイン
- スイス
- スウェーデン
- ブルガリア
- ルーマニア
EU欧州委員会は2024年3月30日に、東欧のブルガリアとルーマニアが同月31日にシェンゲン協定に加盟すると声明を出しています。
ただし、上記2カ国については、一部の加盟国が不法移民の増加を懸念しており、陸路での国境審査は続けられる方針です。
180日間で最大90日間、シェンゲン協定加盟国の間を行き来できる
シェンゲンビザを所有すれば、短期滞在を目的とした、すべての加盟国間への自由な移動ができます。
ここでいう「短期滞在」とは、「180日間のうち最長90日」です。
「180日間のうち最長90日」とは、シェンゲンビザの滞在期間における要件で、厳守しなければなりません。
シェンゲンビザの種類
シェンゲンビザは、目的や滞在期間によって3タイプに分類されます。
各タイプの特徴について、以下で詳しく解説します。
シェンゲンビザ Aビザ
Aビザの特徴は、以下の表のとおりです。
種類 |
Aタイプ |
---|---|
目的 |
トランジット(乗り継ぎ) |
特徴 |
・シェンゲン圏内の空港の国際線乗り継ぎエリアを通過できる ・シェンゲン圏内に入国はできない |
シェンゲンビザ Cビザ
Cタイプの特徴は、以下の表のとおりです。
種類 |
Cタイプ |
---|---|
目的 |
短期滞在(90日以内) |
概要 |
・シェンゲン圏内に入国・滞在ができる(180日のうち90日) ・最も一般的なシェンゲンビザの種類 |
シェンゲンビザ Dビザ
Dビザの特徴は、以下の表のとおりです。
種類 |
Dタイプ |
---|---|
目的 |
長期滞在(90日以上) |
概要 |
・入国、滞在できるのは1カ国のみ(シェンゲン圏内を自由に往来できない) ・留学や就労目的で滞在する方向けのビザ ・国によっては、ナショナルビザに分類される |
シェンゲンビザを申請する際の条件
シェンゲンビザを取得するには、対象国の国籍かつ申請条件を満たさなければなりません。
対象の国籍・申請条件について、以下で詳しく解説します。
シェンゲンビザが必要な国
ビザ免除(日本など)の対象国以外の国籍の方は、シェンゲンビザを取得する必要があります。
フィリピン国籍の方も、シェンゲンビザの対象です。
以下は、シェンゲンビザが必要な国籍です。
- フィリピン
- アフガニスタン
- アルジェリア
- アンゴラ
- アルメニア
- アゼルバイジャン
- バーレーン
- バングラデシュ
- ベラルーシ
- ベリーズ
- ベナン
- ブータン
- ボリビア
- ボツワナ
- ブルキナファソ
- ブルンジ
- カンボジア
- 中央アフリカ共和国
- 中国
- コモロ
- コンゴ
- キューバ
- コンゴ民主共和国
- ジブチ
- ドミニカ共和国
- エクアドル
- エジプト
- 赤道ギニア
- エリトリア
- エスワティニ
- エチオピア
- フィジー
- ガボン
- ガンビア
- ガーナ
- ギニア
- ギニアビサウ
- ガイアナ
- ハイチ
- インド
- インドネシア
- イラク
- イラン
- コートジボワール
- ジャマイカ
- イエメン
- ヨルダン
- カボベルデ
- カメルーン
- カザフスタン
- ケニア
- キルギス
- クウェート
- ラオス
- レソト
- レバノン
- リベリア
- リビア
- マダガスカル
- マラウイ
- モルディブ
- マリ
- モロッコ
- モーリタニア
- モンゴル
- モザンビーク
- ミャンマー/ビルマ
- ナミビア
- ナウル
- ネパール
- ニジェール
- ナイジェリア
- 北朝鮮
- ウガンダ
- ウズベキスタン
- オマーン
- パキスタン
- パプアニューギニア
- カタール
- ロシア
- ルワンダ
- サントメプリンシペ
- サウジアラビア
- セネガル
- シエラレオネ
- ソマリア
- スリランカ
- スーダン
- スリナム
- スワジランド
- シリア
- タジキスタン
- タンザニア
- タイ
- トーゴ
- チャド
- チュニジア
- トルコ
- トルクメニスタン
- バヌアツ
- ベトナム
- ザンビア
- ジンバブエ
- 南アフリカ
- 南スーダン
シェンゲンビザの申請条件
申請条件は、以下のとおりです。
1.有効なパスポート
以下の要件を満たしているパスポートが必要です。
- シェンゲンエリア出国予定日より3カ月以上の有効期限が残っている
- 発行から10年以内である
- 少なくとも2ページの未使用ページが残っている
2.十分な資金がある
滞在中に必要な資金があると、証明しなければなりません。
例えば、オランダの場合は、1人につき1日あたり55ユーロが基準です。
3.海外旅行保険
以下の要件を満たしている保険に加入する必要があります。
- シェンゲン圏内すべてで有効
- 滞在期間のすべてをカバーする
- 補償は3万ユーロ以上
4.滞在期間
定められた滞在期間を厳守しなければなりません。
Cタイプの場合は、「180日間のうち最長90日」です。
シェンゲンビザの申請方法
シェンゲンビザの申請は、主な滞在国の大使館・領事館で行います。
具体的な申請の流れについて、以下で見ていきましょう。
1.必要書類を準備
申請をするには、シェンゲンビザに必要な書類を準備しなければなりません。
国によっては、ビザが必要か不要かをチェックするツールを用いて、申請前に必要なビザの種類を確認します。
流れは、以下のとおりです。
- チェックツールを用いてビザの必要・不要を確認する
- 必要書類を確認する
- 申請書の作成・書類の準備
2.加盟国の大使館や領事館で審査&面接後にビザが発給
シェンゲンビザの申請は、申請先の国の大使館・領事館で行います。
日本に居住しているフィリピン人の方は、各国の駐日大使館・領事館が申請先です。
申請の流れは、以下のとおりです。
- 大使館・領事館の予約
- 来館
- 書類提出
- 生体認証(写真・指紋)データの提出
- 申請料の支払い
- 審査
- ビザ発給
フィリピン人がシェンゲンビザを申請する際の必要書類
ここでは、フィリピン人がシェンゲンビザを申請する際の必要書類について見ていきましょう。
シェンゲンビザ申請に必要な書類
必要書類は、以下の表のとおりです。
申請する国によって、必要な書類が異なるケースがあります。
書類の不備が出ないように、大使館・領事館のホームページなどで個別に確認しましょう。
書類 |
概要 |
---|---|
申請書 |
申請先の国の大使館・領事館のホームページからダウンロードできます。 |
パスポート |
有効なパスポートを用意しましょう。 |
写真 |
パスポートサイズの写真です。 |
在留カード |
日本に居住しているフィリピン人の方は必要です。 |
資金証明資料 |
・銀行口座の預金通帳のコピー ・給与の明細書 |
滞在目的の資料 |
・旅行の日程表 ・航空会社や旅行会社発行の予約確認書 |
宿泊先の資料 |
・ホテルの予約確認書 ・招待状 ・招へい者の身分証明書 |
職業の資料 |
・在職証明書 ・雇用契約書 ・在学証明書 |
海外旅行保険の資料 |
・加入の契約書 |
申請料 |
・80ユーロ |
申請書類の記入例
申請書は、各シェンゲン協定加盟国の大使館・領事館のホームページからダウンロードできます。
申請書の内容は、基本的に各国共通です。
以下に記入内容をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
1.姓
名字を記入
2.出生時の姓
旧姓を記入
3.名
名前を記入
4.生年月日
日→月→年の順に記入
5.出生地
省・県など
6.出生国
生まれた国を記入
7.現在の国籍・出生時の国籍
現在の国籍を記入
8.性別
男性・女性のいずれかを選択
9.婚姻状況
独身・結婚・別居・離婚・死別・その他のいずれかを選択
10.両親や法定後見人の姓名・住所・電話番号
申請者が未成年者の場合
11.公的な身分証明番号
該当する場合
12.旅券の種類
一般・外交・サービス・公用・特別・その他のいずれかを選択
13.旅券番号
パスポートナンバーを記入
14.旅券の発行日
日→月→年の順で記入
15.旅券の有効期限
日→月→年の順で記入
16.旅券を発行した国
パスポートを発行した機関(国)を記入
17.EU・EEA・スイス国籍の家族の姓名・生年月日・国籍・旅券番号
該当する場合
18.17の家族との関係性
配偶者・子供・孫・扶養専属のいずれかを選択
19.申請者の住所・メールアドレス・電話番号
申請者本人の情報を記入
20.在留資格・在留資格番号・有効期限
日本に在住のフィリピン人の方は記入
21.現在の職業
会社員・学生など
22.職業の情報
在職の方:企業名・住所・電話番号 / 学生の方:学校名・住所
23.渡航の目的
観光・商用・親族/知人訪問・文化活動・スポーツ・公用・医療・留学・乗り継ぎ・空港内乗り継ぎ・その他のいずれかを選択
24.滞在目的に関する追加情報
該当する場合
25.主要の目的地
目的地が複数国ある場合は主な滞在国を記入
26.最初に入国する国
例:スペインの場合「SPAIN」と記入
27.希望入国回数・入国日・出国日
1回・2回・複数回のいずれかを選択
28.過去のシェンゲンビザ申請時に指紋登録をした日付・ビザ番号
該当する場合
29.最終目的国の入国許可
該当する場合
30.招へい者またはホテルの情報
名前・住所・電話番号・メールアドレスを記入
31.招へい企業または担当者の情報
名前・住所・電番番号・メールアドレスを記入
32.滞在費用
本人負担・スポンサー負担のいずれかを選択
支払い方法は、現金・トラベラーズチェック・クレジットカード・宿泊・交通機関・その他のいずれかを選択
33.日付とサイン
署名と署名をした日付を記入
シェンゲンビザを申請する際に気になる疑問を解決
シェンゲンビザを申請する際に気になるポイントについて、以下で詳しく解説します。
シェンゲンビザの有効期限とは?
シェンゲンビザは、無期限で滞在できる査証ではありません。
滞在期間には、以下のルールが規定されています。
「あらゆる180日における最長90日」
上記のルールに基づくと、180日間のうち、一度の渡航でシェンゲンエリアに滞在できるのは最長90日間です。
以下の例のように、滞在日数は複数回の渡航に分けることも可能です。
30日×3回(渡航回数)=90日
仮に、180日の間ですでに90日間滞在している場合は、向こう90日間はシェンゲンエリアに滞在できません。
シェンゲン協定加盟国に長期間滞在したい場合はどのビザを申請すればいい?
シェンゲン協定加盟国に長期滞在したい場合は、適切なビザを取得しなければなりません。
各加盟国によって、長期滞在のビザの制度は異なります。
例えば、オランダの場合は「MVV」と呼ばれる滞在許可証を申請しなければなりません。
MVVの申請は、通常スポンサーが行います。
スポンサーとなる人物は、以下のとおりです。
- 留学の場合:学校などの教育機関
- 就労の場合:雇用主
長期滞在向けのビザを検討している方は、申請する国の大使館・領事館で個別に確認しましょう。
学生ビザ
学生ビザは、留学を目的として長期滞在する方を対象とした査証です。
入学する学校のタイプ(語学学校・専門学校・大学など)によって、取得するビザが異なるケースもあります。
申請には、入学する教育機関の証明書(入学許可証など)が必要です。
加盟国によって、ビザの種類・条件・必要書類は異なるため、事前に確認しましょう。
就労ビザ
就労ビザは、現地で報酬を得て働く方を対象とした査証です。
働く目的(雇用・ワーキングホリデー・起業など)や申請者の能力(役職など)などによって、取得するビザが異なるケースもあります。
学生ビザと同様に加盟国によって、ビザの種類・条件・必要書類は異なるため、注意しましょう。
ビザ申請は行政書士等の専門家に相談するのがおすすめ
行政書士などの専門家による代理申請はできませんが、書類の書き方や必要書類に関する相談をするのは可能です。
申請に関して不安のある方は、行政書士に相談するとスムーズに準備が進むでしょう。
長期滞在(学生ビザ・就労ビザなど)向けのビザを検討している方も、行政書士に相談しながら準備を進めるのがおすすめです。
ビザの最新情報や必要書類等の専門知識が豊富
ビザの制度は、頻繁に変更されます。
常に最新の情報を収集するのは大変な作業ですが、行政書士は最新情報にも詳しく、専門知識も豊富に持っています。
行政書士に相談すれば、申請者の状況に合わせて、最適な提案をしてくれるでしょう。
情報収集のための時間を節約できる
ビザ申請で大変なのは、情報収集と必要書類の作成・準備です。
行政書士に相談すれば、面倒な準備もサポートしてくれるので、スムーズに申請が進むでしょう。
忙しくて準備に時間を取れない方は、行政書士に相談するのがおすすめです。
まとめ
この記事では、フィリピン人の方が取得できるシェンゲンビザについて解説しました。
シェンゲンビザは、主にEU渡航の際に利用できる査証です。
フィリピン国籍でヨーロッパ旅行を予定している方は、シェンゲンビザを取得しましょう。
申請は原則として本人が行いますが、行政書士などの専門家に相談するのは可能です。
スムーズに申請したい方や不安のある方は、相談サービスなどを利用するのをおすすめします。