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【プロが解説】帰化申請とは|基礎知識から申請のコツまで網羅解説
帰化申請とは、外国籍の方が日本国籍を取得するために行う、手続きのことを指します。
お住まいのエリアを管轄する法務局にあてて、複数の書類を提出し面接を行うことで、日本国籍を取れるかどうかの審査が行われます。
「帰化申請って難しそうだけれど、どんな準備をしたらいいんだろう?」
「帰化申請に関心があるけれど、日本国籍って誰でも取れるものなの?」
日本国籍の取得を検討している多くの外国籍の方は、このように迷われている方も多いでしょう。
結論からお伝えすると、帰化申請をするには、以下7つの要件を満たす必要があります。
【帰化に必要な7つの条件】
上記の7つの要件は、一見シンプルで簡単そうに見えますが、実は細かい規定が多く設けられているため、申請者の状況によっては定められた要件に届かないケースも多々あります。
しかし、この点が素人ではなかなか判断しにくいため、日本国籍を取得したい場合は、帰化申請を専門とする業者(行政書士や弁護士)に、始めから相談・依頼することをお勧めします。
専門業者に依頼すると具体的にどのようなメリットがあるのか、さらに、そもそも帰化申請をすることで、普段の生活がどのように変わるのかなど、帰化申請のあらゆる疑問について、この記事では、以下の通り詳しくお伝えしていきます。
この記事でわかること |
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●帰化申請にかかる時間・費用 ●帰化申請することのメリットおよびデメリット ●帰化申請する際に必要となる7つの条件 ●帰化申請の許可が下りないケース ●帰化申請をプロに依頼すべき理由 ●帰化申請を依頼できる相談先とその費用 など |
この記事をお読みいただければ、帰化申請の内容や申請者に必要とされる条件、さらに許可が下りにくい事例を知ることができ、さらに専門業者に依頼した際のメリットや費用などについても、十分におわかりいただけるでしょう。
最小限の労力と時間で帰化申請の許可を得るためにも、ぜひ最後までお読みください!
1.帰化申請とは
さっそく「帰化申請」とはどういうものなのか、具体的な内容を見ていきましょう。
1-1.帰化申請とは
帰化申請とは外国籍の方が母国の国籍を喪失して、代わりに日本国籍を取得するために行う手続きを指します。
そもそも外国籍の方が日本に帰化するには、下記のように3種類のタイプがあり、それぞれ求められる要件が異なります。「普通帰化」に比べて、「簡易帰化」「大帰化」の取得要件は多少緩和されています。
この3種類の帰化を比べると、違いは下記の通りです。
1-1-1.普通帰化
一般的な帰化を指します。日本への帰化を希望する外国人の多くは、この「普通帰化」を選択することになります。「普通帰化」を申請するためには、「7つの条件」が必要となります。
詳しい解説は「3.帰化申請するには7つの条件を満たす必要がある」でご紹介していきます。
1-1-2.簡易帰化
普通帰化に比べて、必要条件が一部緩和・免除される帰化制度です。
日本生まれであったり、日本人の配偶者であるなど、もともと日本と深い関わりがある申請者に適用されます。
簡易帰化の詳しい対象者は、下記の9つのパターンに分けられます。
簡易帰化の対象者は9タイプ |
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①日本国民であった者の子(養子を除く)で、引き続き3年以上日本に住所・居所を有する人 ②日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所・居所を有し、またはその父か母(養父母を除く)が日本で生まれた人 ③引き続き10年以上日本に居所を有する人 ④日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所・居所を有し、かつ、現に日本に住所を有する人 ⑤日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有する人 ⑥日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有する人 ⑦日本国民の養子で、引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ縁組み時未成年であった人 ⑧日本の国籍を失った人(日本に帰化した後日本の国籍を失った人を除く)で日本に住所を有する人 ⑨日本で生まれ、かつ、出生時から国籍を有しない人で、引き続き3年以上日本に住所を有する人 |
この「簡易帰化」を利用する方で多いのは、在日韓国人・朝鮮人・台湾出身者(1945年以前から日本に居住した外国籍の方。本人およびその子孫は「特別永住権」という特殊な滞在資格を持ち、日本に定住している)の方や、日本人と結婚した外国籍の方です。
いずれにしても、上記9つのパターンのいずれかにあてはまる方は、「簡易帰化」という方法で帰化申請を行うことができます。
【普通帰化と簡易帰化はメリットは同じ?】 |
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【同じ点】 「普通帰化」であっても「簡易帰化」であっても、帰化して日本国籍を取得する意味では、両者ともまったく違いはありません。 帰化することで享受できるメリットも、まったく同じです。
【異なる点】 3章の囲み記事【簡易帰化は条件の一部緩和があります!】にて後述しますが、「簡易帰化」の方は帰化申請に必要な7つの条件のうち、緩和される項目があります。
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1-1-3.大帰化
「大帰化」とは、「日本に特別の功労のある外国人については、法務大臣は、第五条第一項の規定にかかわらず、国会の承認を得て、その帰化を許可することができる」(国籍法第9条)と定められているものです。
つまり日本に対して特別に活躍し、立派な功績を残した外国人に限り、日本国籍を与えることを認めてくれます。
ただし、過去にこの「大帰化」を活用して、日本国籍を取得した事例は、まだありません。
1-2.帰化申請してから審査が通るまでにかかる時間
帰化申請を受け付けてから、審査で許可が下りるまでの時間は、平均的に10か月~1年ぐらいとなっています。これは、「普通帰化」「簡易帰化」のどちらにもあてはまります。
「簡易帰化」をする外国人の場合は、必要条件が緩和(「簡易帰化は条件の一部緩和があります!」を参照してください)されるため、「審査時間が短いのでは?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
「普通帰化」の場合と同じく、帰化申請までの手続きは同一になりますので、かかる期間も10か月~1年ぐらいです。
ただし「簡易帰化」の場合は、必要条件が緩和されている分、申請がきちんと受理されれば、よほどのことがない限り、不許可になるケースはほとんどないでしょう。
1-3.帰化申請にかかる費用
帰化申請にかかる費用は、自力で申請作業を進めるのか、それとも帰化申請の専門業者(行政書士や弁護士)に任せるのかで、大きく変わってきます。
両者をざっと比較すると、以下の通りです。
【帰化申請にかかる費用比較】
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費用 |
---|---|
自分で帰化申請の準備をした場合 |
約2~3万円 |
プロ(行政書士)に依頼した場合 |
約10~25万円 |
帰化申請を自力で行う場合、2万~3万円ほどになります。
費用としてかかるのは、文書収集代・翻訳料・交通費等があてはまります。
一方、専門業者(この表では行政書士の場合となっています)に帰化申請をお任せした場合は、10~25万円ほどの費用がかかります。
自力で申請準備を進める方に比べると、大きな金額がかかるように見えますが、実際の申請作業が始まってから、その煩雑さに辟易してしまい、途中から専門業者に依頼する申請者も多くいます。
そのため、膨大な量の書類を抜け漏れなく準備できる自信のある方や、十分な時間を取れる方を除いては、帰化専門の業者を活用した方がいいかもしれません。
【自力で帰化申請を行った場合の費用内訳は?】 |
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●証明書類の取得代(1通300~1,000円程度) 申請者の属性にもよりますが、帰化申請に必要な証明書類は一般的に5~10種類くらいとなりますので、合計で3,000~10,000円ぐらいだと予想されます。
●文書の日本語への翻訳料(1通1,000~10,000円程度) 書類の種類や言語、依頼枚数などにより変動します。
●交通費(法務局や役所窓口、その他書類取得のために交通機関を利用した場合) など |
【プロ(行政書士)に依頼して帰化申請を行った場合の費用は?】(一例です) |
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会社員(給与所得者):185,000円(税抜き) 社長・役員(事業所得者):225,000円(税抜き)
【依頼できる内容】 ●個人に合わせた必要書類のリストアップ ●帰化申請の書類一式作成 ●必要添付書類の収集(日本の役所関係書類を代理収集) ※区(市)役所、法務局、法務省、運転免許センター、税務署、都県民税事務所が可 ●本国書類の日本語翻訳(中国語・韓国語・英語対応) ※翻訳者署名付き ●「帰化動機書」の作成 ●法務局への同行(帰化申請時) ※同行不要の場合は10,000円割引 ●帰化申請手続き全般に関する総合サポート&相談無制限 ●副本の作成
など |
2.帰化申請のメリット・デメリット
帰化申請は、申請作業が煩雑で大変なものですが、いざ日本国籍を取得した場合、どんなメリットがあるのでしょうか?
この章では、帰化申請して日本国籍を得た場合のメリットおよびデメリットについて、詳しく見ていくことにしましょう。
2-1.帰化申請することで得られる8つのメリット
帰化申請をして日本国籍を取得することで、8つのメリットを期待することができます。
1つずつ見ていきましょう。
2-1-1.日本の政治に参加することができる
もっとも大きなメリットは、日本の政治に参加できるようになることです。
選挙権を持てるようになるので、選挙のたびに自由に投票(選挙権)できるようになります。
もちろん、選挙に立候補する(被選挙権)ことも可能です。
2-1-2.住宅ローンや仕事上の融資などを利用しやすくなる
住宅ローンや自動車ローン、仕事上の融資などを利用しやすくなることも、帰化のメリットと言えるでしょう。
たとえば、外国籍の方が住宅ローンを組む場合は、申請者本人が永住許可を持っているか、それが難しければ、永住許可を持つ配偶者が連帯保証人となる必要がありました。
しかし、日本人に帰化することでこうした決まりを気にしなくてもよくなり、日本の方と同じ権利やルールのもと、このような制度を活用することが可能になります。
2-1-3.就職の選択肢が増える
就職の選択肢が増えることもメリットの1つです。
なぜなら、外国籍を保有したままでは、以下に挙げる職業には就けないからです。
外国籍のままでは就職できない職業 |
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国家公務員、地方公務員、政治家、裁判官、検察官、都道府県公安委員会委員、教育委員会委員、公証人、民生委員など |
そのため、日本に住みながら外国籍を持ち続けることは、希望の職に就けるチャンスを逃していることにつながります。
上記のように、国造りに直接関係してくるような職業に将来就きたいと考えている場合は、帰化を検討することになります。
2-1-4.海外渡航しやすくなる
日本国籍を持つと、海外渡航しやすくなるのも魅力の1つです。
下記の図をご覧ください。
こちらは、日本国籍であればビザなしで入国できる国の数を表したものです。
順位 |
国籍名 |
ビザなしで入国できる国数 |
---|---|---|
1 |
日本 |
192か国 |
1 |
シンガポール |
192か国 |
2 |
韓国 |
190か国 |
3 |
ドイツ |
190か国 |
4 |
イタリア |
189か国 |
こちらをご覧いただくとわかるように、日本国籍であれば、ビザなしで入国できる国が192カ国もあります。
世界的に見ても、日本人の海外渡航のしやすさはナンバーワンなのです。
このような意味でも、日本に帰化することで海外へのアクセスがよくなるのは、大きなメリットだと言えるでしょう。
2-1-5.社会保障において日本人と同様の権利を持つことができる
社会保障面においても、日本人として十分なサービスを受けることができます。
社会保障とは、教育や年金、保険、医療、生活保護などの福祉面を指します。
現在、こうした制度を日本在住の外国人が受けられるのは、一部に限られています。
特別永住者や永住者、日本人や永住者の配偶者など、日本に長期間定住することが決まっている在留資格の方のみ、社会保障面で日本人と同様のサービスを受けることができますが、それ以外の外国人は制度利用が制限されいます。
日本へ帰化することで、こうした制度の恩恵を100%受けることが可能となります。
2-1-6.強制送還される心配がなくなる
犯罪を起こしてしまっても、自国へ強制送還される心配がなくなるのもメリットの1つです。
帰化することで日本人になるのですから、万が一法に触れるようなトラブルを引き起こしても、母国へ引き渡されるのではなく、日本国内に収監されることになります。
2-1-7.就職や引越しの家探しがしやすくなる
外国籍が原因となる、就職や家探し面での差別から解放されることもあります。
企業や不動産会社、大家さんなどの多くは、外国籍であっても平等な対応を心がけているところもありますが、やはりいまだに「日本に定住する資格のない外国人と関わるのが心配だ」と懸念しているところも存在します。
このような中、外国人が就職しようとしたり、新しい住居に引っ越したくても、日本人とは同じ扱いをしてもらえず、戸惑う場面が少なくありません。
しかし日本国籍を取得すれば、このような目に遭わずに済み、自分の就職したい会社に堂々とチャレンジし、住みたい場所に安心して申し込むことができるようになります。
2-1-8.面倒な在留期間更新の手続きが不要になる
日本国籍を取得することで、在留期間の更新手続きが不要になります。
日本に住む多くの外国人は、「在留カード」(もしくは特別永住者証明書)というカード型の証明書を持っています。
この「在留カード」は、数年ごとに更新する必要があり、更新時期が来たらお住まいの住所を管轄する地方入国管理官署へ、更新手続きのために出向かなければなりません。
帰化をすることで、こうした煩わしい作業をしないで済むようになります。
2-2.帰化申請することで生じる2つのデメリット
帰化申請にはメリットもある一方で、当然デメリットもあります。
ここでは2つご紹介しましょう。
2-2-1.母国の国籍を失う
日本に帰化することで、母国の国籍を失うことになります。
日本では二重国籍は認められていないので、日本国籍を取れた場合は、これまで大切に保持してきた母国の国籍を失います。
2-2-2.母国へ行くのにビザが必要になる
母国へ行くのに、毎回ビザを取得しなければなりません。
ただし前述したように、日本は世界的に見てもビザなしで行ける国がたくさんある国なので、母国がその中に入っていれば、毎回のビザ査証は心配いりません。
その点をよく見極めて、帰化するかどうかの判断材料にされるにもいいでしょう。
3.帰化申請するには7つの条件を満たす必要がある
帰化申請をするためには、以下に挙げる7つの条件を満たす必要があります。
【帰化に必要な7つの条件】
どのような条件なのか、1つずつ確認していきましょう。
3-1.【居住許可】日本に引き続き5年以上住んでいるか
引き続き五年以上日本に住所を有すること 法務省より引用 |
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1つ目の要件として、日本に5年以上住んでいるかどうかが問われます。
この時「引き続き」というワードが、とても重要な要素になります。
「引き続き」、つまり継続して5年以上日本に住んでいなければ要件を満たさないことになります。
たとえば、以下の場合はNGです。
【要件を満たしていません!】 |
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日本に2年間住んだ ↓ その後、海外で1年間住んだ ↓ 日本に帰ってきて3年間住んだ |
上記の例は、累計で5年間日本に住んだことになりますが、「継続して」居住したわけではないので、要件を満たさないケースになります。
この「引き続き」がきちんと満たされていると判断されるのは、1度の出国日数が3か月以内である場合です。だからといって、3か月以内の出国を多く重ねてもいいわけではなく、1年につき約120日間以上日本を離れている場合には、やはり要件を満たさなくなりますので注意しましょう。
もう1点、「引き続き5年以上」の中には、きちんと就労系の在留資格を取って、3年以上働いていることも条件に含まれてきます。そのため、留学生として5年間ずっと日本に住んでいた学生などは、要件を満たしていないとみなされます。
就労期間には例外があります |
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日本に10年以上住んでいる外国人の方には、以下のような例外が適用されます。
就労期間3年以上→就労期間1年以上でOK |
3-2.【能力条件】20歳以上で、本国法で行為能力を有しているか
二十歳以上で本国法によつて行為能力を有すること。 法務省より引用 |
申請者の年齢が20歳以上であり、かつ本国の法律によっても成人年齢に達していることが条件となります。
ただし、20歳未満の子供が両親と一緒に帰化申請をする場合に限り、未成年者であっても帰化申請は可能となります。
3-3.【素行条件】素行が善良か
素行が善良であること。 法務省より引用 |
素行が良いかどうかを判断されます。
具体的に言うと、税金を滞納していないか、犯罪歴はないか、社会に迷惑をかけるような行為をしていないかなどを総合的に見て、社会通念によって審査されることになります。
素行について不許可になってしまった実際の詳しい事例は、「4.7つの条件のうち不許可になるケース」
でご紹介していますので、ぜひ参考になさってくださいね。
3-4.【生計条件】日本で生計を立てられるか
自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。 法務省より引用 |
日本で生活していくのに、十分な収入があるかどうかを確認する項目です。
自分もしくは家族の収入や資産でもって、きちんと自立して生活していけるかどうかを見られます。
ここで重要なのは、自分一人の収入が不足していても、生計を一つにする家族や親族に資産があったり、安定した収入が得られるような技能を彼らが持っていることです。
それらが十分な収入につながるものであれば、この項目は心配いらないでしょう。
大切なのは、「今いくら資産があるのか」ということよりも、「毎月安定した収入がきちんと得られるのかどうか」という点です。
「安定した収入」とは、およそ月20万円ぐらいあれば問題ありません。
過去に自己破産していても大丈夫です |
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過去に自己破産した経験があっても、その時点から7年以上経っていれば問題ありません。 |
3-5.【重国籍防止条件】日本国籍の取得で、母国の国籍を喪失する
国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。 法務省より引用 |
帰化によって日本国籍を取得する際は、母国の国籍を喪失しなければならないという項目です。
二重国籍を認めていない日本では、帰化する時点で母国の国籍から離脱するよう決めています。
3-6.【思想条件】日本憲法を守って生活できるか
日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。 法務省より引用 |
日本の政府を暴力で破壊することを企画・主張したり、そのような政党や団体を結成・加入していないかどうかを見極める項目です。
こうした活動に関わっているような方は、帰化申請できません。
たとえば、テロリストや暴力団関係者、反社会勢力関係者などがあてはまります。
3-7.【日本語能力条件】日常生活に差し支えのない日本語の読み書きができるか
日常生活に支障のない程度の日本語能力(会話及び読み書き)を有していることが必要です。 法務省より引用 |
日本語能力(読み・書き・会話など)が求められます。
日本で生活していくのに困らないために、申請者が日本語を理解し、駆使できるかどうかを確認します。日本語能力検定3級程度の能力があれば、問題ないでしょう。
簡易帰化は条件の一部緩和があります! |
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簡易帰化の条件にあてはまる方は、上記7つの要件が一部緩和されます。
簡易帰化のうち、次の対象者は【居住許可】日本に引き続き5年以上住んでいるかの要件が緩和されます。
①日本国民であった者の子(養子を除く)で、引き続き3年以上日本に住所・居所を有する人 ②日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所・居所を有し、またはその父か母(養父母を除く)が日本で生まれた人 ③引き続き10年以上日本に居所を有する人
簡易帰化のうち、次の対象者は【居住許可】日本に引き続き5年以上住んでいるか、【能力条件】20歳以上で、本国法で行為能力を有しているかの2点が緩和されます。
④日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所・居所を有し、かつ、現に日本に住所を有する人 ⑤日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有する人
簡易帰化のうち、次の対象者は【居住許可】日本に引き続き5年以上住んでいるか、【能力条件】20歳以上で、本国法で行為能力を有しているか、【生計条件】日本で生計を立てられるかの3点が緩和されます。 ⑥日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有する人 ⑦日本国民の養子で、引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ縁組み時未成年であった人 ⑧日本の国籍を失った人(日本に帰化した後日本の国籍を失った人を除く)で日本に住所を有する人 ⑨日本で生まれ、かつ、出生時から国籍を有しない人で、引き続き3年以上日本に住所を有する人
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4.7つの条件のうち不許可になるケース
帰化申請をする際に求められる7つの条件は、一見簡単で多くの人がクリアできそうに思えますが、実はそうではありません。
シンプルな文言の中には、多くの規制が込められており、申請者の経歴や家族状況、納税や犯罪歴、交通違反など、生活のあらゆる部分で規制対象になっているものがあります。
この章では、帰化申請したにもかかわらず、不許可になってしまった代表的な事例をご紹介していきます。
ぜひご自分の場合と照らし合わせて、条件をクリアできているかどうか参考にしてみてくださいね。
4-1.税金・年金の納付が滞っている場合
税金をきちんと納付していない場合は、帰化申請の許可がおりにくいでしょう。
具体的には、住民税や個人事業税(個人事業主向け)、法人税(法人向け)などがあてはまります。
特に住民税で気を付けたいのは、会社員の方です。
住民税が会社から天引きされているのか、それとも自分で払い込まなければならないのか、いま一度確認しておきましょう。
天引きになっていれば、毎月給与から自動的に住民税を収めているわけですから、まったく問題ありません。しかし、万が一ご自分で納める状況になっているようならば、これまで未納がなかったかどうかをチェックすることが重要です。
4-2.過去に交通事故を起こした場合
これまでに交通事故を起こしたことがある場合も、要注意です。
とはいえ、審査対象になるのは、過去5年間の違反経歴です。
目安として、過去5年で軽い違反(駐車違反や携帯電話使用など)5回以内であれば、そこまで重く見られることはないでしょう。
一方、飲酒運転などの重大な違反は、かなりの期間が過ぎてからでないと、帰化申請の対象とならないでしょう。
4-3.安定した仕事についていない場合
無職や安定した仕事につかないまま、帰化申請をしても成功率が下がります。
日本国籍を取得する条件として、日本で経済的に自立し、安定した生活を送れることが条件となっているわけですから、正社員が難しければ、契約社員や派遣社員としてでも働ける口を確保することが重要です。
というのも、安定した生活=月々きちんとした収入が入ってくるというのがポイントだからです。
そのため、現在の総資産がたとえ少なくても心配することはありません。
定期的な収入があることを重視します。
目安としては、毎月最低でも18万円以上の収入があれば問題ないでしょう。
4-4.借金がある場合
借金の返済が滞っている場合は注意が必要です。
反対に言えば、住宅ローンや自動車ローン、クレジットカードの借り入れなどがあっても、きちんと返済ができているのであれば、まったく問題ありません。
自己破産したケースです。
この場合でも、7年間経過しているのであれば、帰化申請が可能となります。
5.実はあまり知られていない帰化申請の注意点
帰化申請の許可が下りるのは、通常10か月〜1年程度かかるとお伝えしましたが、そんな中、少しでもスムーズに審査が進むために、あらかじめ準備しておけるポイントをご紹介しましょう。
5-1.未納付の税金はあらかじめ納めておく
「4-1.税金・年金の納付が滞っている場合」でもお伝えしましたが、住民税や年金、その他税金など納めていないものがあれば、あらかじめ払っておきましょう。
納税していないなど、審査に引っかかる要素を少しでも減らすことで、手続きが滞らないよう準備しておくことが重要です。
5-2.帰化申請は家族全員で行うのがお勧め
帰化申請は、できるだけ家族と一緒に行うことをお勧めします。
もちろん、ご家族のうち1人だけ帰化したいといったケースもあるのですが、法務局との面談の際、なぜ他の家族は帰化しないのかについて、きちんとした理由を求められることが多いからです。
また、家族のうち一人だけが帰化申請をするとなっても、提出すべき書類として、他の家族についての源泉徴収票や住民票、納税証明書なども用意する必要があります。
そのため、もし他の家族もいずれ帰化しようと考えているのであれば、二度手間にならないよう同じタイミングで申請するのが、よりスムーズな流れになります。
6.帰化申請をするならプロに頼むべき2つの理由
帰化申請について知れば知るほど、手間のかかる申請作業に不安を募らせる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方には、帰化専門の業者に依頼することをお勧めします。
この章では、帰化申請専門の業者に依頼した方がいい理由を、2つご説明しましょう。
6-1.自力で申請して不許可になった場合、自力で再申請が難しくなるから
自力で帰化申請して不許可になった場合、再度自力で申請をし直すのが難しくなります。
なぜなら、再申請に出すにあたっては、1度目の申請で不許可だった理由をきちんと解決できていないと、また不許可になる恐れが高いからです。
しかし残念ながら、法務局では不許可理由を明示してくれません。
そのため、自分で不許可になった理由を探らないといけませんが、これが意外と見極めが難しいのです。
その点、帰化申請に慣れた専門家であれば、不許可になってしまった理由をある程度絞り込んで突き止めることができます。
結果、再審査をする際には、帰化許可を得られやすい書類作りと面接対策でしっかりとアドバイスをしてくれますので、前回よりも改善した状況で、申請作業に臨むことができるのです。
念のため、ここ2年間の帰化申請の不許可数を見ておきましょう。
【帰化申請の不許可の割合】
年度 |
帰化申請者数 |
許可が出た人数 |
不許可になった人数 |
不許可になった割合 |
---|---|---|---|---|
2020年 |
8,673 |
9,079 |
900 |
10.3% |
2021年 |
9,562 |
8,167 |
863 |
9% |
法務省サイトより表を作成
上記の表を見るとわかるように、2020年の不許可数は10.3%であり、翌年2021年は9%となっています。
約10人に1人の割合で不許可が出ていますので、よほど申請準備をしっかり行っておかないと、不許可が出てしまうことがあります。
こうしたデータから考えても、やはり難しい帰化申請の作業(しかも再審査)であるならば、きちんと帰化専門の業者にアドバイスをもらった方がいいことがおわかりいただけるでしょう。
6-2.自力でやるには申請が難しすぎる
そもそも帰化申請は、申請作業がとても複雑で大変です。
たとえば、大変さの理由としては、以下の点が理由が挙げられます。
帰化申請が大変な理由とは |
---|
・提出書類がとても多い(平均枚数は100枚以上。会社経営者であれば300枚を超えることもある) ・そのうち本国から取り寄せなければならない証明書には、日本語への翻訳が必要になる ・場合によっては、何度か法務局へ足を運ぶ必要がある ・書類を取り寄せる市町村役所などの開庁時間に間に合わない
など |
1人で初めて挑むにしては、時間も手間もかかる作業のため、途中まで進めてみたけれど放棄してしまったという経験がある方も、多いのではないでしょうか?
その点、プロにお任せすることで作業の負担量だけでなく、心的なストレスが大幅に軽減されます。
なによりも、行き詰った時にすぐに正解を聞ける専門家がいるというのは、本当に心強いものです。
特に、日中は仕事で時間の取れない方ほど、プロにお任せすることをお勧めします。
7.帰化申請を依頼できる3つの相談先
帰化申請を依頼できる先としては、以下3つの相談先があります。
それぞれ帰化申請を依頼した際の費用についても、合わせてご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。
いずれにしても、「法律の専門家」という立場で、帰化申請の正しい書類作成や有益なアドバイスをしてくれます。ただし、「帰化申請を専門にしているかどうか」というのは、プロ選びをする際、とても重要なポイントになります。
相談先によってそれぞれの得意分野が分かれており、「帰化申請」についてはあまり数を扱っていないことも考えられます。
プロ選びの際は、できるだけ帰化申請の実績を多く持ち、数々の現場経験を積み重ねてきたプロを選ぶようにしましょう。
【帰化申請を依頼できる相談先】 |
---|
・行政書士 ・司法書士 ・弁護士 |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
7-1.行政書士
費用の目安:約10~25万円 |
---|
行政書士は、官公署に提出する書類作成や提出手続きの代理をしたり、契約書、事実証明などの作成を行います。
帰化申請についても請け負っており、特に帰化申請を専門にしている行政書士は、年間を通じて数多くの帰化申請の案件を抱えており、実績も豊富です。
当然、多くの帰化申請パターンを心得ており、申請者一人一人に応じた細かな対応が期待できます。
そのため帰化申請を依頼するならば、様々な帰化申請のケースを経験してきた行政書士に依頼するのがお勧めです。
7-2.司法書士
費用の目安:約18~25万円 |
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司法書士とは、不動産の登記や法人登記の申請などを行い、また検察や裁判所、法務局などへ提出する書類を作成します。
こちらもやはり、法務局へ作成する書類などに長けている関係で、帰化申請の手続きについてもサポートを依頼することが可能です。
7-3.弁護士
費用の目安:約18~30万円 |
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裁判所刑事事件の弁護人、民事事件の代理人として裁判業務を幅広く扱っています。
裁判に関する書類作成や、法律相談などを請け負います。
帰化申請に関しても、相談や書類作成などをサポートできます。
どの専門家に依頼しても費用はほとんど変わらない! |
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行政書士・司法書士・弁護士などどのプロに依頼しても、費用はほとんど同じであることがわかります。
それよりも気にしたいのは、帰化申請の依頼者が会社員なのか、個人事業主なのか、会社経営者なのかによって、かかる費用が異なってくることです。
会社員と違って、個人事業主と会社経営者は提出すべき書類も多く、書類準備に時間がかかるため、一般的には会社員より多くの費用がかかると考えておきましょう。
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8.お勧めは帰化申請専門の行政書士に依頼しよう
少しでもスムーズに帰化申請の作業を進めていきたいのであれば、帰化申請を得意としている行政書士に依頼するのがお勧めです。
普段から官公庁などに提出予定の書類作成を数多く行っているため、帰化申請についても経験豊かな行政書士が多いからです。
そこで、行政書士に依頼した場合の流れと、サポートしてくれる内容が一体どういうものなのか、詳細を見ていきましょう。
8-1.行政書士が帰化申請を行うまでの流れ
まず始めに、行政書士に帰化申請を依頼した場合の、実際の流れについてご紹介します。
依頼から書類提出に至るまでの流れは、下記の通りです。
比べてみるとわかるように、流れは両者ともほとんど変わりません。
しかし、徹底的な違いは、行政書士に依頼した場合は、書類作成や取り寄せを行政書士が代理で行ったり、書類作成の際は徹底的にサポートしてくれる点です。
また、たびたび法務局へ足を運ぶ際も、同行してくれますので(審査の時は同行不可)、初めての帰化申請でご心配な方にとっては、とても安心できることがわかりますね。
次項で詳しいサポート内容をご紹介していきましょう。
8-2.行政書士がサポートしてくれる内容
行政書士が帰化申請の際にサポートしてくれる内容は、下記6種類になります。
①提出書類を取り寄せてくれる
②書類作成を代行してくれる
③申請者本人の書類記入では的確なアドバイスをくれる
④必要に応じて法務局へ同行してくれる
⑤面接への事前準備もしっかり行ってくれる
⑥審査中に発生した追加書類や質問にも相談に乗ってくれる
「8-1.行政書士が帰化申請を行うまでの流れ」の図と合わせてご覧いただきながら、それぞれのサポート内容をお伝えしていきましょう。
8-2-1.【メリット1】提出書類を取り寄せてくれる
帰化申請で揃えなければならない書類は、市区役所の窓口や本国の役所、職場、人によっては以前住んでいた地域の役所など、様々な場所から手配する必要があります。
こうした書類をきちんと取り寄せてくれるのが、もっとも助かる点でしょう。
特に日中仕事をしている方にとっては、市区役所の窓口が開いている時間に行こうと思うと、早退やお休みなどを取らないと難しい場合があります。
その点、行政書士が代理で書類の手配をしてくれるので、書類集めの負荷から解放されて、仕事にも支障なく申請作業を進めることができます。
8-2-2.【メリット2】書類作成を代行してくれる
申請者本人が記入しなければならない一部の書類を除いては、行政書士が書類作成を代行してくれます。
書類も多種類あるため、初めての方が一人で記入しようと思うと、用語が難しかったり、どのように記入すればいいのかがわからず、なかなか記入作業ができないことがあります。
一方行政書士においては、このような書類作成は常日頃から業務として行っているものですので、間違いなくスピーディに書類を仕上げてくれるのです。
8-2-3.【メリット3】申請者本人の書類記入では的確なアドバイスをくれる
「帰化動機書」など申請者本人が記入しなければならない書類については、どのように記入すればいいのか的確なアドバイスをしてくれます。
「自分のことは自分で書ける」とつい思いがちですが、たとえば「帰化動機書」はA4用紙1枚にきちんと収まるように書いていきます。
その際、直筆で、要点を押さえてコンパクトにまとめる必要がありますが、いざやってみるとなかなか難しいものです。
こうした書き方についても、多くの事例を見ている行政書士なら、どの点をまとめていけばいいのか役立つ助言ができます。
8-2-4.【メリット4】必要に応じて法務局へ同行してくれる
申請書類の用意などで法務局へ赴く際、必要に応じて行政書士も同行してくれます。
慣れない法務局へ自分一人で行くのは不安ですが、帰化申請の作業に慣れたプロがついてきてくれるので、心的負担も少なくて済みます。
8-2-5.【メリット5】面接への事前準備もしっかり行ってくれる
帰化申請に面接はつきものですが、こうした面接に備えて事前準備をしっかり行ってくれます。
具体的には、よく面接で聞かれる質問をリストにしてお渡しするので、そちらを参考にしてあらかじめ準備しておくことが可能です。
まったく予備知識もなく、面接に挑むのは不安も大きいものですが、どのような質問が来るのか想定して臨めるのであれば、気持ちの余裕も生まれ、当日も落ち着いて対応できるにちがいありません。
8-2-6.【メリット6】審査中に発生した追加書類や質問にも相談に乗ってくれる
帰化申請の審査期間中、新たな書類提出の依頼や、追加質問が法務局から寄せられることがあります。
その際、どのように対応すればいいのか、都度行政書士が相談に乗り、的確なアドバイスをすることが可能です。
初めての帰化申請では、追加質問や書類提出を求められると、とても緊張してしまい、どのように対応すればいいのか悩む方も多いものです。
その点、多くの帰化申請の事例を見てきた行政書士であれば、申請者にとっても安心できるサポートがしっかり行えます。
9.まとめ
今回は、帰化申請についてご紹介してきました。
その中でも特に大切なのは、帰化申請する方に求められる7つの条件です。
【帰化に必要な7つの条件】
上記の条件を一度ご確認いただき、帰化申請をする前にすべての条件を満たしているかチェックしてみることをお勧めします。
さらに、1人でこなすには申請作業が煩雑で難しい帰化申請ですが、帰化申請専門のプロ(行政書士・司法書士・弁護士など)に依頼することで、作業量や心的なストレスが大幅に軽減されることもご紹介しました。
もちろん自力でも可能な申請作業ですが、無事日本国籍を取得するまでは、想像以上の時間と手間がかかることを理解しておいた方がいいでしょう。
なかなか時間の取れない方や、帰化申請に大きな不安を抱えている方は、最初から迷わず帰化申請専門のプロに依頼しましょう!
今回の記事が、あなたの負担を軽減する参考になればうれしいです。