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イギリスの就労ビザの難易度は?種類や条件、費用など気になる情報も解説

イギリスで働きたいと考えたとき、まずは就労ビザを取得しなければなりません。そのためにはさまざまな条件や手続きが必要となります。
また、イギリスの就労ビザには、申請者の年齢や国籍、資格、経験、収入、英語力といったさまざまな基準が設けられています。
そして、申請料や滞在期間なども異なり、イギリスのビザ申請はとても複雑です。
イギリスの就労ビザは取得難易度が高い?
イギリスのビザ申請は、他国と比較し厳格で競争率も高く、難易度も高いとされます。
これは、イギリスのEU離脱(ブレグジット)と無関係ではありません。EUを離脱したイギリスではEU市民であってもビザが必要となり、ビザ申請者の数が増えたことで、審査が厳しくなっています。
それに加え、テロや不法移民などの問題への対処から国境管理が強化されています。
さらに、先般の新型コロナウイルスの感染拡大による入国制限もいまだ影響しています。
イギリスの就労にかかわるビザは階層が5つにわかれている
イギリス政府から外国人に発行されるビザには、
- ポイント制(PBS = points-based system)
- ノン・ポイント制(non-PBS = non – points-based system)
の2種類の制度を用いたビザがあります。
このうち、就労にかかわるビザはポイント制でTier(ティア)と呼ばれる5つの階層にわかれており、それぞれ異なる条件や要件が設定されています。
イギリスで働くためには、目指す働き方がどの階層に該当し、ビザが取得できるかについて検討しなければなりません。
ただし、イギリスのビザ制度は頻繁に改変されていて、
- ポイント制が適用されなくなった就労ビザがある
- ポイント制については今後、別種のビザに置き換えられたりするなどしている
- Tier1の一部を残し、廃止される方向になっている
そのため、イギリスのビザには今後の動向に注意が必要です。
それも踏まえて、まずは従来のTierの階層の区分で就労ビザの種別を紹介します。
Tier1:特定の職種向けの難易度の高い就労ビザ
特定の分野で才能を発揮する起業家や投資家、科学技術者、芸術家などを対象とした就労ビザの階層です。
教育水準やスキルが高いとイギリス政府により認められた労働者に対し発給されます。
各分野で一定の成果を挙げていることが前提となるため、申請の難易度は高くなります。
発給の自由度が高く、実績があればITやテクノロジー関連の起業家や、デジタルノマドなどにも発給される可能性はあります。
【Tier1の条件】
- 18歳以上であること
- 英語圏の大学の学位を所持しているか、あるいはCEFR level B2程度の英語能力をテスト結果を有すること
- 過去90日間、銀行口座に945ポンド以上の貯金があること
Tier2:一般企業にお勤めの人向けの就労ビザ
『企業や団体から雇用されていること』が発給の条件となる就労ビザの階層です。
企業などに所属していれば、比較的取得しやすいビザといえます。
ただし、所属する企業がビザスポンサーシップのライセンスを所持していない場合は以下の点に注意してください。
- 法人がライセンス申請をおこなわないと、ビザの発給ができない
- ライセンスの取得には申請料や法的費用が発生する
- 雇用者の協力も得られるとは限らない
といった点もあることから、ビザサポートについての確認が必要です。
【Tier2の条件】
- 18歳以上であること
- 英語圏の大学の学位を所持しているか、あるいはCEFR level B2程度の英語能力をテスト結果を有すること
- 過去90日間において銀行口座に945ポンド以上の預金があること
Tier3:国内労働力不足を補う低スキル就労ビザ
現在は一時的に停止され、実際には存在しません。人手不足を解消するため、低スキルの労働者向けに発給されていました。
Tier4:学生ビザ
16歳以上の成人学生が対象となる、いわゆる学生ビザの階層です。
厳密には就労ビザではありませんが、取得が比較的容易で、アルバイトが認められています。
- 指定された教育機関に学費を納めている
- 英語力や収入の条件は特になし
- 教育機関に在籍していれば取得できる
基本的には、上記の条件を満たせていれば、誰でも申請可能です。
ただし就労ビザではないため、就業時間には制限がありますのでご注意ください。
Tier5:期間限定のビジネススポンサー付き短期就労ビザ
臨時労働者向けの就労ビザの階層です。
在留期間終了後は、イギリス国内での延長手続きが認められていないため、イギリスを離れなければなりません。
【Tier5の条件】
- 所属する団体がビザスポンサーシップのライセンスを所持していること
- 過去90日間において銀行口座に945ポンド以上の預金があること
イギリスの就労にかかわるビザの種類
ではここからはイギリスの就労ビザの種類について具体的にみていきましょう。
1.投資家、起業家、人材ビザ
ポイント制においては、高いスキルが求められる「Tier1」に相当するビザで、以下のような種類があります。
また、滞在可能期間はビザの種類によって異なります。
Innovator Founder visa(イノベーター創設者ビザ)
従来のStart-up visaやInnovator visaに変わるビザです。イギリス政府が指定した機関から「革新的な起業のアイディアがある」と承認されると発給されます。
こちらは個人が対象となっており、英語力をはじめとした要件を満たせば、何度でも延長可能な3年間の在留許可が与えられます。
また、在留の3年後、永住権の申請も可能です。
Global Talent visa(グローバル人材ビザ)
科学をはじめ、医学、エンジニアリング、人文科学、芸術、文化、デジタルテクノロジーといった各分野で、世界的レベルの才能をもつ人材を対象としたビザです。
イギリス政府が指定した機関や団体から「才能がある」と承認されることで、発給されます。
在留期間は最長5年間で、延長申請も可能です。
在留の3年あるいは5年後に永住権を申請できます。
2.長期就労ビザ/Long-term work visas
ポイント制においては「Tier2」に相当するビザで、長期の滞在を目的とした滞在者が対象となります。滞在期間は1年以上となり、以下のようなビザがあります。
Skilled Worker visa(技能労働者ビザ)
英国定住者だけでは充当が難しい人材を外国から雇用するためのビザです。
こちらは高校卒業レベル以上が対象で、ライセンスを持つ企業によって発行されたスポンサー証書(CoS)が必要となります。
最長5年の在留期間が与えられ、延長申請も可能です。
また、在留5年後には永住権を申請できます。
Health and Care Worker visa(医療・介護ビザ)
医師や看護師、医療専門家、あるいは成人の社会福祉専門家が対象となるビザです。
イギリス政府が指定した雇用主から発行されたスポンサー証書が必要となります。
最長5年の在留期間が与えられ、延長申請も可能です。
また在留5年後には永住権を申請できます。
Senior or Specialist Worker visa(上級または専門労働者ビザ)
従来のIntra-Company Transfer ICT visaに変わるビザです。
グローバル企業がイギリス以外で採用したシニアマネジャーや専門職などの人材を、駐在員などとしてイギリス国内に異動させる際に発給されます。
ライセンスを持つ企業によって発行されたスポンサー証書(CoS)が必要となります。
在留期間は年間報酬額によって異なり、最長5年から9年です。
永住権の申請は認められていません。
International Sportsperson visa(国際スポーツ選手ビザ)
世界最高レベルのエリートスポーツ選手や監督が対象となるビザです。
イギリス政府が指定した機関や団体がスポンサーとなって才能を承認し、かつイギリスにおける競技レベル向上に多大な貢献をすることを前提として発給されます。
最長3年の在留期間が与えられ、延長申請も可能です。
また在留5年以上で永住権を申請もできます。
3.短期就労ビザ/Short-term work visas
就労を目的としていますが、滞在期間は最長1年間に限られます。
ポイント制においては「Tier5」に相当し、以下のようなビザがあります。
Charity Worker visa(チャリティー労働者(ボランティア活動)ビザ)
Tier5のTemporary Worker-Charity Worker visaに代わるビザです。
慈善団体のために無給のボランティア活動をする際に発給されますが、認可を受けた雇用主からスポンサー証書(CoS)を取得する必要があります。
- 最長12か月
- スポンサー証書に記載された期間に14 日を加えた期間
上記のいずれか短い期間内での滞在が可能です。
Creative and Sporting visa(クリエイティブおよびスポーツビザ)
スポーツやクリエイティブ系の業種での仕事に従事する場合、発給されるビザです。
取得には、認可を受けた雇用主からスポンサー証書(CoS)を割り当てられている必要があります。
- 最長12か月
- スポンサー証書に記載された期間に14日を加えた期間
上記のいずれか短い期間内での滞在が可能です。
Seasonal Worker visa(季節労働者ビザ)
「Tier5」のTemporary Worker-Seasonal Worker visaに代わるビザです。
果物や野菜、花の摘み取りなどの園芸、家禽に従事する場合に発給されます。
取得には承認された制度運営者によるスポンサー証書(CoS)を割り当てられている必要があります。
- 園芸作業では最長6か月
- 養鶏作業は毎年10月18日から12月31日まで
上記の滞在が可能です。
いわゆる「ワーキングホリデービザ」について
イギリスの場合、いわゆる「ワーキングホリデービザ」は2008年に廃止され、「Youth Mobility Scheme」と呼ばれるビザが設けられています。
ただし、その目的は、正確には「ホリデー」ではなく「就労」のため、就労ビザの一種となります。このため、イギリス滞在中は働くことが活動内容に含まれていることが重要です。
また、階層としては従来の「Tier5」に相当しますが、現在はポイント制が適用されるビザではありません。
最長2年間
Youth Mobility Schemeの滞在期間は最長2年間で、この期間内であれば就労期間に制限はありません。
取得条件
申請の条件としては以下のように定められています。
- 年齢:ビザ申請時点で18~30歳
- 国籍:日本、オーストラリア、カナダ、モナコ、ニュージーランド、香港、大韓民国、台湾
- 滞在場所:イギリス国外(申請時)
- 必要資金:2,530ポンド相当
- 扶養家族:同伴不可
- 条件:過去に旧ワーキングホリデービザ、Youth Mobility Schemeを取得したことがない
なお、2023年までYouth Mobility Schemeは抽選方式でしたが、2024年1月31日よりこの仕組みが廃止され先着順となります。
また、定員も従来の4倍となる6,000名に拡充され、取得難易度も緩和されることとなります。
就労ビザの取得・申請について
では、ここからは、イギリスの就労ビザの取得・申請の方法について詳しくみていきます。
申請の流れ
イギリスの就労ビザを取得する場合には、オンラインによる申請後、ビザ申請センターでの手続きが必要です。
|
手順1 |
ビザの種類を確認する |
滞在目的や期間に準じたビザの種類および必要書類を事前に確認しておきます。 これらは「UK Visas and Immigration」において、国籍と滞在目的から検索することができます。 |
|---|---|---|
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手順2 |
オンラインで申請する |
UK Visas and Immigrationよりビザを申請します。 申請料が必要となります。 |
|
手順3 |
ビザ申請センターを予約する |
事前予約が必要です。 |
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手順4 |
ビザ申請センターで手続きする |
必要書類を持参し、ビザ申請センターに出頭します。
の2つを行います。 ※18歳未満の場合、保護者の同伴が必要です。 |
|
手順5 |
審査結果が通知される |
ビザが発行されるとEメールによって申請者に通知されます。 パスポートなどの必要書類の返却は
のどちらかを選択します。 |
必要書類
必要書類については、申請するビザの種類によって異なります。
各種ビザで提出が求められる書類としては、主に
- 戸籍謄本
- 滞在費用証明書
- 往復航空券
- 滞在先証明書
- 入学許可書
- 就労許可書
などが挙げられます。
また、英語以外で作成された各種提出書類はビザ申請の際に、翻訳文の添付が必要となる場合があります。
詳しくは、事前にUK Visas and Immigrationなどで確認が必要です。
申請にかかる費用
費用についても、その金額はビザの種類により異なります。
就労ビザの場合、費用に関する注意点は以下のようになります。
- およそ20,000円〜50,000円程度
- 申請費用は英国ポンドで支払わなければならない
- 為替レートによって大きく変動する可能性がある
- 有効期間や申請方法によっても費用は変動する
- 申請の際の代金はクレジットカード・デビットカードでオンラインで支払う
申請方法による変動については、よりはやく申請の結果を知りたい場合、「優先サービス」や「超優先サービス」を利用できますが、これらサービスには追加費用が必要です。
なお、申請代金はカード登録になるため、現金や小切手での支払いは不可となるため注意してください。
申請にかかる期間
就労ビザを含む一般的なビザは、上記の手順で申請を進めることで、審査を通過すれば、およそ3週間でビザが発行されます。
最近では3週間でビザが発給されない事案が起きている
しかしながら、緊急事態や祝日などの影響により、申請にかかる期間は遅れが生じる可能性もあるため、余裕をもって申請する必要があります。
特に直近では、審査機関の人員をウクライナ危機への人道的支援対応に割いたことにより、手続き完了から結果受領まで1~2か月ほどかかるという状況も発生しています。
有料の優先サービスを利用する
日程通りにビザが受け取れないと困るときに利用したいのが、「優先サービス」や「超優先サービス」の有料優先サービスです。
優先サービスを利用すれば、審査にかかる時間を予測・判断することが比較的容易になるとともに、審査期間の大幅な短縮が可能です。
優先ビザサービスは赴任日や勤務開始日が特定されている就労ビザ申請者には特に需要が高く、利便性も高いサービスとして認知されています。
ただし、利用には以下の点に注意しましょう。
- 申請先のアポイントの当日以前にオンラインで申し込みが必要
- 支払い手続きを完了しておかなければならない
なお、優先ビザサービスについても、ウクライナ危機の影響により利用が一時停止されていましたが、現在は再開されていますので、ご安心下さい。
ビザの申請先
イギリス就労ビザの申請は下記のビザ申請センターで行います。
なお、日本国内では東京と大阪の2カ所に限られます。
ビザ申請センター(東京)
|
所在地 |
〒105-0021 東京都港区東新橋2-3-14 エディフィチオトーコー4F |
|---|---|
|
開館日時 |
月曜日~金曜日(8:00~14:00) |
|
休館日 |
土曜・日曜・祝日 |
ビザ申請センター(大阪)
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所在地 |
〒542-0081 大阪府大阪市中央区南船場1-3-5 リプロ南船場ビル10F |
|---|---|
|
開館日時 |
月曜日~金曜日(8:00~14:00) |
|
休館日 |
土曜・日曜・祝日 |
ビザを取得するにあたって気になること
ここからは、イギリスの就労ビザ申請にあたってのポイントをみていきましょう。
以下のような点に留意しておけば、ビザの取得はよりスムーズになります。
イギリスのビザ取得は今後も他国に比べて難易度が高いのか?
冒頭でも触れているとおり、イギリスのビザ申請は、EUからの離脱や新型コロナウイルスの影響により以前より難易度が上がっています。
また、イギリスは独特なビザ制度となっていることから
- イギリス特有のポイントベースのビザ制度
- 申請者に高い水準の条件を求めている
- 申請手続きも煩雑で時間がかかる
など、一概にはいえないものの、他国と比較した場合でもイギリスのビザは取得の難易度が高いといえます。
しかしながら、イギリス政府では国外の優秀な人材を積極的に受け入れるため、ビザ制度を改善するさまざまな取り組みを行っています。
このため、高い能力や高品質な事業を展開できるのであれば、一概にイギリスのビザ取得の難易度が高いとはいえない面もあります。
ビザ取得に英語力はどれくらい必要?
イギリスで就労ビザを取得するためには、ポイント制の各階層で条件が示されているように、一定の英語力を示さなければなりません。
ここで、要件として設定されているのは「IELTS for UKVI」の受験です。
そのため、日本で一般的に認知されているTOEICやTOEFLのスコアでは要件を満たすことはできません。
そして、IELTS for UKVIで求められるのは、言語の枠や国境を越え、外国語の運用能力を同一の基準で測ることができるCEFR(Common European Framework of Reference for Languages)の基準です。
なお、Tier1やTier2の階層で規定されている CEFR level B2程度とは、
- 抽象的あるいは具体的な話題の複雑な文章において要点が理解可能
- ネイティブとの会話で緊張せず、対話できる程度で流暢かつ自然
- 幅広い話題を明確で詳細な文章にできる
といった、アカデミックな環境やビジネスシーンでも、コミュニケーションが十分にとれるレベルをいいます。
2025年の新制度ETIAS(エティアス)の開始によるイギリス渡航への影響は?
ETIAS(European Travel Information and Authorisation System)とは、2025年より導入が予定されているEU域内でのビジネスや観光などの短期滞在に必要となる事前登録制度です。
イギリスはEUから離脱しているものの、渡航の際には必要となるケースがあります。
これはETIASが空路をはじめ、陸路や海路でのEU各国の入国にかかわる渡航認証制度だからです。
このため、イギリス在留中にイギリスからEU域内へビジネスや観光などの短期滞在が目的でEU各国に入国する際には、ETIAS事前登録が求められます。
就労ビザの取得は行政書士に申請代行するのがおすすめ
ここまでのように、イギリスの就労ビザの申請は、手続きが複雑で時間もかかります。そこで、就労ビザの代行申請を行政書士に依頼するという方法もあります。
特にビザ申請に精通した行政書士であれば、制度や申請手続きに詳しく、必要な書類や条件についても把握しています。
このため、行政書士に申請代行を依頼すれば、
- 就労ビザの申請に関する相談やアドバイスの提供
- 予算やスケジュールも提示してもらえる
- ミスなく書類や手続きがすすめられる
- 今後のビザに関しても相談できる
事前に不安や疑問を解消し、渡航の計画も立てやすくなるでしょう。
このようにイギリスの就労ビザ取得を行政書士に依頼するメリットは少なくありません。
ただし、ビザ申請の際、ビザ申請センターではバイオメトリクスの登録が求められることから、
- 本人が直接出頭しなければならない
- 同行者の入館が認められていないため、ビザ申請センターには自ら足を運ぶ必要がある
といった点は知っておきましょう。
まとめ
イギリスの就労ビザ申請は難易度が高いものの、適切な対策を講じることで、取得の可能性は高まります。
とはいえ、就労の目的によって特徴や条件が異なるため、申請の際には自分の目的や状況にあわせたビザを選定することが重要になってきます。
また、イギリスはEU離脱の影響で移民政策が刻々と変化しています。
就労ビザについても、今後は各種の変更がなされていく可能性が少なくありません。
こうした点から、イギリスにおける就労ビザの取得では、最新の情報を常に確認しておくことも重要になってきます。






