興行ビザ2号とは?他の興行ビザとの違いや申請条件、取得方法について紹介
外国人が日本でライブや演劇などの興行活動を行う場合は、興行ビザの取得が不可欠です。そのため、大規模な催しに携わる担当者の中には、外国人が取得する興行ビザ2号について詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。
この記事では、興行ビザ2号の概要や5つの申請条件、取得から入国までの流れなどを解説します。外国人を招聘して興行の予定しているという担当の方は、ぜひ参考にしてください。
興行ビザ2号とは
まずは、興行ビザ2号の条件に当てはまる外国人と、その他の興行ビザの違いについて見ていきましょう。
なお、興行ビザの概要については、こちらで詳しく解説しています。
興行ビザ2号の条件に該当する外国人
興行ビザ2号の条件に合致するのは、主に動員規模の多い興行を行うケースが一般的です。特に人気のあるバンドやアイドルグループ、演劇、オーケストラのコンサートなどは会場の規模も大きいため、これらの招聘される外国人は興行ビザ2号に当てはまりやすくなります。
とはいえ、採算を考慮せずに音楽や演劇の催しを開催するケースも少なくありません。例えば、演劇出演者の報酬が1日50万円を超えない場合は、興行ビザ1号で申請しなければならない可能性もあります。
また、興行としての収支計画がうまく立案できていないと、入国審査が通らないおそれもあります。演劇と併せて講演会を実施するなど、入国審査に通りやすいよう、収支計画をしっかりと立てておくことも大切なポイントです。
興行ビザ2号と他の興行ビザとの違い
興行ビザの種類は、興行ビザ2号も含めて大きく4つに分かれます。
興行ビザ1号
飲食を提供するライブハウスやクラブで、1日の報酬が50万円以下の興行を行う外国人が対象となるビザです。
興行ビザ2号
主に、飲食を提供しない施設で、1日の報酬が50万円以上の興行を行う外国人が対象となるビザです。大規模な音楽ライブやフェスなどが該当します。
興行ビザ3号
演劇や音楽、ダンス以外の公演に出演する外国人が対象となるビザです。主なイベントとしては、スポーツや格闘技、ゲーム大会などが該当します。
興行ビザ4号
商品や事業の宣伝、番組・映画の制作、商業用写真の撮影、レコーディングなどの活動を行う外国人が対象となるビザです。
なお、興行ビザ1号の詳細については、こちらを参照してみてください。また、興行ビザ3号・4号に関しては、こちらをご覧ください。
興行ビザ2号に関する5つの申請条件
興行ビザ2号を申請する際は、以下5つの条件のいずれかを満たしておく必要があります。
・学校等での興行活動かどうか
・公私機関主催の興行活動かどうか
・敷地面積10万m2以上の施設での興行活動かどうか
・客の接待をしない施設での興行活動かどうか
・報酬額が1日50万円以上の興行活動かどうか
それぞれの条件の内容について確認していきましょう。
1.学校等での興行活動かどうか
1つ目の取得条件は、以下のように定義付けされています。
我が国の国、地方公共団体の機関又は特殊法人が主催する演劇、演芸、歌謡、舞踊又は演奏の興行及び学校教育法に規定する学校、専修学校又は各種学校において行われる演劇等の興行に係る活動を行おうとする場合
※引用:出入国在留管理庁「在留資格『興行』」
この取得要件では、興行活動の主催者が日本の地方公共団体や機関、学校であれば、興行ビザ2号に該当するとしています。例として学園祭のゲストとして外国人を招聘する場合は、この条件に当てはまります。
2.公私機関主催の興行活動かどうか
2つ目の条件は、以下です。
文化交流に資する目的で、国、地方公共団体又は独立行政法人の援助を受けて設立された本邦の公私の機関が主催する演劇、演芸、歌謡、舞踊又は演奏の興行に係る活動を行おうとする場合
※引用:出入国在留管理庁「在留資格『興行』」
この条件に当てはまるのは、興行活動の主催者が、国や県の支援によって設立され、文化交流を目的とした機関の場合です。例えば、NHKが主催するイベントのゲストとして外国人を招くケースが該当します。
3.敷地面積10万m2以上の施設での興行活動かどうか
3つ目の取得条件は、以下のとおりです。
外国の情景又は文化を主題として観光客を招致するために、外国人による演劇、演芸、歌謡、舞踊又は演奏の興行を常時行っている敷地面積10万m2以上の施設において、興行活動を行おうとする場合
※引用:出入国在留管理庁「在留資格『興行』」
外国人による演劇やライブが日頃から行われている「敷地面積が10万m2以上の施設」で、興行活動を実施する場合は、この条件に該当します。敷地面積のみでいうと、東京ドームの面積は4万6,755m2のため、およそ2倍以上の規模を持つような大規模なテーマパークで興行が開催された場合に該当します。
4.客の接待をしない施設での興行活動かどうか
4つ目の取得条件は、以下です。
外国人の方が、客席において飲食物を有償で提供せず、かつ、客の接待をしない施設(営利を目的としない本邦の公私の機関が運営するもの又は客席の定員が100人以上であるものに限る。)において、演劇、演芸、歌謡、舞踊又は演奏の興行に係る活動を行おうとする場合
※引用:出入国在留管理庁「在留資格『興行』」
この取得条件は、客席で飲食物の有償提供がなく、定員が100人以上である場合に該当します。例として音楽ホールやアリーナで開催されるコンサートなどが当てはまります。
5.報酬額が1日50万円以上の興行活動かどうか
5つ目の取得条件は以下となります。
外国人の方が、当該興行により得られる報酬の額(団体で行う場合は、当該団体が受ける総額)が1日につき50万円以上であり、かつ、15日を超えない期間本邦に在留して、演劇、演芸、歌謡、舞踊又は演奏の興行に係る活動を行おうとする場合
※引用:出入国在留管理庁「在留資格『興行』」
これは1日の報酬が50万円以上、かつ興行の活動日数が15日以内である場合に該当します。例えばコンサートを2日間開催して報酬額が200万円である場合は、この条件に当てはまるといえます。
興行ビザ2号の取得から入国するまでの流れ
続いて、興行ビザ2号の取得、および入国するまでの流れについて、順を追って見ていきましょう。
1.在留資格認定証明書の発行
興行ビザ2号をスムーズに取得するには、在留資格認定証明書を発行してもらわなければなりません。在留資格認定証明書の交付申請を行う際は、以下の書類が必要です。
1.在留資格認定証明書交付申請書
2.写真
3.返信用封筒
4.申請人の経歴書及び活動に係る経歴を証する文書
5.招へい機関に係る次の資料
・登記事項証明書
・直近の決算書(損益計算書、貸借対照表など)の写し
・その他招へい機関の概要を明らかにする資料
・従業員名簿
6.興行を行う施設の概要を明らかにする資料
・営業許可書の写し
・施設の図面(間取りなどが記載されているもの)
・施設の写真(客席、控室、外観など)
7.興行契約書の写し
8.雇用契約書、または出演承諾書の写し
9.その他の参考資料
・興行内容をPRする広告、ちらし
・滞在日程表
・興行日程業
※参考:出入国在留管理庁「在留資格『興行』2」
申請に際しては上記の書類が必要になるため、来日まで余裕を持ったスケジュールで準備することが重要です。
実際に、海外から来日するアーティストのビザ申請が間に合わず、公演を延期したという事例もあります。興行の主催者側にとっても大きな損失になりかねないため、興行ビザをスムーズに申請できるように準備しておくことが大切です。
2.興行ビザの発行
興行ビザの発行手続きに関しては、来日する外国人が居住する国の日本大使館、総領事館で行います。そのため、在留資格認定証明書の原本を受け取ったら、来日する外国人へと送付しましょう。
その際、ビザ申請書や身分証明書なども併せて提出することがポイントです。一般的には、3~5日前後で興行ビザの取得が可能です。
3.来日
興行ビザが発行されたら、外国人本人のパスポートに貼り付けることで来日資格を得られます。ただし、興行ビザの在留期間は、3年、1年、6ヵ月、3ヵ月、15日の5パターンに分かれています。特に興行ビザ2号の場合は、15日間の在留期間が一般的なので留意しておきましょう。
まとめ
興行ビザ2号には5つの申請条件があり、いずれかの条件を満たしているか確認しておくことが重要です。また、在留資格認定証明書を発行するためには、登記事項証明書や興行契約書の写しなど、複数の書類を準備しなければなりません。
スムーズな申請を実現するために、専門家へ依頼するのも1つの選択肢です。さむらい行政書士法人なら、興行ビザの取得に向けて丁寧にサポートいたします。
就労ビザの申請作業を月50~100件ほど手がけており、申請の許可率は99.7%という実績を持っています。不許可になった場合は返金保障も付いているため、安心してご依頼いただけます。
招聘する外国人の興行ビザ発行に困っているという担当の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
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