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国際結婚をすると苗字はどうなる?手続きやダブルネームについても解説

国際結婚をすると苗字はどうなる?

 

現在の日本では、結婚した際に苗字は統一するように法で定められています。その際、女性が男性側の苗字に変更することが多いですが、近年は女性の苗字を使用する例も増えてきました。苗字を変更するのが男性・女性のどちらであるかはともかく、苗字を統一するのは「戸籍法」という法律が根拠となっています。

 

日本では結婚した際に戸籍を登録することになっており、その時に苗字をひとつに統一するように法律で決められているのです。そのため、日本人の苗字が夫婦同一姓であることは、単なる習慣や個人の好みで選択されているわけではありません。

 

選択的夫婦別性については国会などでもたびたび議論となっていますが、2022年現在、日本ではまだ法的に認められていません。しかしそんな中で、日本人と外国人が結婚する、いわゆる「国際結婚」をした場合は、夫婦別姓の選択が可能であり、同一の苗字を選ぶために相手の苗字に変えたり、相手に苗字を変えてもらったりすることもできます。

 

この記事では、外国人と結婚したときに苗字をどう扱うかについて、ケースごとに詳しく書いていくのでぜひ参考にしてください。

 

 

国際結婚の苗字は、原則として夫婦別性

前述したように、日本国籍を持つ人同士が結婚する場合は、男性か女性のどちらかが相手の苗字に合わせることが義務付けられています。一方、日本で日本人と外国人が結婚する場合は、夫婦別性であることが一般的です。

 

なぜなら、戸籍に名前が登録されるには日本国籍を持っていることが要求されるからです。戸籍は家族関係を示すとともに、国籍の証明としても使用される大切な役割を持っています。

 

結婚したことによって国籍を取得できる国もありますが、日本の場合は異なります。外国人と結婚した場合、日本人の戸籍にはパートナーとして相手の名前などの情報が記載されますが、パートナーである外国人は戸籍に登録されるわけではありません。

 

このような背景から、日本人と外国人が結婚する場合には、日本国籍を持つ人同士の結婚のように、同じ苗字に統一することを要求されることはないのです。

 

ちなみに、海外では日本のように「戸籍」の制度がない国が圧倒的多数です。(2022年現在、戸籍を制度化しているのは日本と台湾のみです。以前は韓国にも戸籍制度がありましたが、現在は無くなっています。)

 

このような事情から、外国人と日本人が婚姻する場合は、そもそも同じ苗字に統一する法的な根拠は存在しませんし、海外にも苗字を統一する習慣がない国が多いので問題にもなりにくいのです

 

 

ダブルネーム(複合姓)とは?

この項目では、外国人と結婚して「ダブルネーム(複合姓)」を選択するケースについて解説します。

ダブルネーム(複合姓)とは、結婚する前のもともとの苗字と、結婚する外国人パートナーの苗字の両方を複合した苗字を名乗るための制度です。

 

山田 花子という日本人がオリバー トーマスという名前の外国人パートナーと結婚する場合に、山田トーマス 花子とする、というような例が挙げられます。ダブルネームを公的に使えるようにするための手続きや、メリット・デメリットは後の項目で記載します。

 

ここではまず、外国人と結婚する場合はどちらか一方の苗字を名乗る方法に加えて、ダブルネームという選択肢が存在することを知っておいてください。ほかに、トーマスを苗字として、名前を山田 花子とする方法もあります。この場合は、名前と苗字を一括して変更することになります。

 

 

国際結婚のケース別に見る必要な手続き

ここからは、国際結婚をきっかけとして苗字を変更する際に、必要となる手続きをケースごとに記載していきます。これから国際結婚をするなら、どの方法を選択するかを検討する材料になりますし、選択した方法の手続きをするにはどんな準備が必要かを確認する資料にもなるでしょう。

日本人が外国人の苗字にする場合

ここで説明するのは、まず日本人が外国人のファミリーネームを名乗るために変更を行うケースです。

 

例えば、山田 花子という人がオリバー トーマスという苗字の外国人パートナーと結婚する際に手続きをすれば、氏名がトーマス 花子となり、公の場でもパートナーのファミリーネームを名乗ることができます。この場合、結婚から6ヶ月以内に、本籍または住民票がある地域の役所で苗字変更の手続きを行う必要があります。

 

必要な書類は「外国人との婚姻による氏の変更届」というものだけなので、大きな手間は発生しません。届出を行うのが本籍地の役所でない場合は、戸籍謄本を1部提出しなくてはならないので、事前に本籍地の役所から取得してください。

また、苗字変更の届出に行くときには名前を変更する日本人の印鑑も持って行きましょう。

 

もし結婚後6ヶ月を過ぎてから苗字の変更を希望する場合は、家庭裁判所への届け出が必要です。変更するのであれば6ヶ月以内に済ませてしまうことをおすすめします。

 

また、日本の戸籍には漢字、ひらがな、カタカナの3種類でしか記入できないことに注意が必要です。わかりやすく言うと、パートナーの国で使っているアルファベットやハングルなどの文字は、日本で名前を登録する際には使用できないということです。

 

例えばパートナーのファミリーネームが「Thomas」であっても、アルファベットでの届け出はできません。そのためカタカナを使用して、例えば「トーマス」や「トマス」と日本語的な音を割り振る必要があります。日本語的には発音しにくい苗字もあるでしょうが、出来るだけ違和感が少ないカタカナにすることをおすすめします。

 

また、漢字が使えるので、中国や台湾の人と結婚する場合はパートナーと全く同じ文字を使用できると考えがちですが、繁体字、簡体字は使用できないので、その点も注意してください。

ダブルネーム(複合姓)にする場合

ここでは外国人パートナーと結婚して、ダブルネーム(複合姓)を使用したい場合に必要な手続きを記載していきます。ダブルネームとは、考え方として日本人と外国人双方の苗字を組み合わせるというものです。

 

例えば山田 花子という人がオリバー トーマスという名前の外国人パートナーと結婚する際に、山田トーマス 花子、またはトーマス山田 花子と名乗ることになります。

 

このとき、日本人の苗字と外国人の苗字のどちらを先に配置するかについては、特に法律などで制限されることはありません。ほかのバリエーションとしては、苗字はパートナーのトーマス、名前を山田花子と変名する方法もあります。

 

さらに、外国人パートナーがミドルネームを使っている場合、ミドルネームも含めてダブルネームにすることも可能です。ダブルネームにするための手続きは、地域の役所だけでは完結せず、申し込む人が居住する地域を管轄する家庭裁判所への申し立てをしなければなりません。

 

必要なものは、

・申立人の戸籍謄本

・氏の変更申立書(家庭裁判所にあります)

・外国人パートナーのパスポートの写し

・外国人パートナーの同意書

・800円分の収入印紙と郵便切手(地域によって切手の額は異なるので家庭裁判所に確認してください)

などです。必要な期間はケースによって異なりますが、1~2ヶ月はかかると考えてください。

 

また、外国人パートナーとの結婚が理由であれば認められやすいとはされていますが、家庭裁判所への申し立てをすれば全ての例で許可されるというわけではありません。

 

家庭裁判所にて、「改名する動機が適切でない」、「改名することで社会に大きな影響がある」、「解明することで子どもにとって大きな不都合がある」といった判断がなされた場合は不許可となることもあります。

 

ダブルネームを選択するということは、ニックネームのように名乗るだけというわけではなく、本名そのものを変えることになります。そのため、パスポートや運転免許証、クレジットカードなどもすべて変更する必要があること、もし元の名前に戻す場合は同等の手続きが必要なことなどは理解しておきましょう。

外国人が日本人の苗字にする場合

ここからは、外国人パートナーが日本人の苗字を名乗る場合の手続きを記載します。

 

例えば、山田 花子という日本人女性とオリバー トーマスという外国人男性が結婚する場合に、山田 花子はそのままで、外国人男性が山田 オリバーとなるパターンです。この場合、外国人は本名が変更されたわけではなく、日本だけで使用可能な「通称名」という扱いになります。

 

もし本名まで変えたいという場合は、外国人パートナーの国の決まりに沿う必要がありますが、ここでは国の限定ができないので記載しません。

その場合は出身国の大使館や領事館に相談するなど、国籍国の決まりを確認してください。また、本名を変更した場合は日本で出入国在留管理庁(入管)にも届出を出す必要があるので忘れないようにしましょう。通称名については、ほかの苗字変更方法と異なる説明をする必要があるので、次の項目で詳しく解説します。

通称名とは?

「通称名」とは外国人が本名は変更しないまま、日本人パートナーの苗字を名乗りたいと考える場合に有効な日本の制度です。外国人は帰化しない限り日本の戸籍に名前が登録されることはありません。また、帰化するには条件もありますし、多数の手続きが必要です。

 

一方、通称名を使用するのであれば、帰化申請するより圧倒的に負担が軽く済みます。さらに公的にも日本人パートナーの苗字を使用できるため、おすすめの方法です。

通称名を使用する際は、住民票がある地域の役所に申請します。記入が必要なのは「通称記載申出書」という書類1点のみです。

 

申し込みの際には、

・在留カード、パスポート等本人確認ができるもの

・婚姻を証明するもの

を持参してください。

 

婚姻の事実を証明するには、日本人同士であれば戸籍の写しを取る方法もありますが、外国人は戸籍に登録されないため「婚姻届受理証明書」が有効です。婚姻届受理証明書は、婚姻届けを出した役所などでさほど手間をかけずに取得できます。

 

通称名は運転免許証や住民票、健康保険証でも使用される法的に有効な名前ですが、本名が変わったわけではないので在留カードは元の名前のままです。

 

 

国際結婚でダブルネームにするメリット、デメリット

この項目では、国際結婚をする際にダブルネームを選択するメリット・デメリットを記載します。

なお、ここで記載するメリット・デメリットは、「ダブルネームを選択した人の感じ方、考え方」に左右されるものが多いので、個人差があることはご理解ください。

メリット

外国人パートナーと結婚した際に、ダブルネームを選択するメリットは複数あります。

 

例えば、相手の苗字を名乗れる数少ない方法なので、「国際結婚をした」、「自分には外国人パートナーがいる」という実感が持ちやすい点です。

 

また、夫婦別性の場合、さまざまな場面でパートナーが正式な結婚相手であることを説明しなければならず、これを面倒に思う人もいます。

 

一方、ダブルネームを選択していれば運転免許証などを見せるだけで外国人パートナーがいることがすぐにわかり、説明する負担を軽減できます。

 

さらに、子供に両親それぞれの苗字を引き継ぐことができるのも、ダブルネームを選択した場合だけに得られる大きなメリットという意見もあります。ほかには、日本人としての旧姓を残せるため、仕事上のキャリアや過去の交友関係が継続しやすいことをメリットと考える人も少なくありません。

デメリット

外国人パートナーと結婚した際にダブルネームを使う場合、メリットだけでなくデメリットもあります。

 

ダブルネームを登録するには、結婚してからの期間に関係なく家庭裁判所への申し立てを行わなくてはなりません。そのため、今回紹介した手続きの中では一番手間がかかる選択です。

 

また、婚姻した後にそれぞれ別姓を使っているケースと比較すると、健康保険証やクレジットカード、運転免許証や生命保険など、多数の変更手続きを行わなくてはならないことを面倒に思う人もいます。さらに、もし離婚することになった場合には、再度同様の手続きが必要となる点も念のため記憶しておいた方が良いでしょう。

 

ダブルネームを使っていることで、日常的に困ることもいくつかあります。ダブルネームにすると、ふたつの苗字をつなげることから、多くの場合フルネームが長くなります。そのため、姓名を記入するときに指定の欄に書ききれないこともありますし、記入に時間もかかります。また、名前を口頭で伝えたいときに相手にとって聞き取りにくく、面倒が増えるという体験談も多数あります。

 

 

国際結婚で苗字を変更する時の注意点

ここまでの解説と重複する面もありますが、大切なことなので、国際結婚して苗字を変える際の注意事項をまとめて記載します。

 

まず知っておくべきなのは、日本では結婚するだけで外国人が日本国籍を得られるわけではないという点です。配偶者であることによって在留許可を得られる場合は多いですが、在留許可と国籍は全く異なります。日本国籍を取得したうえでパートナーと同じ戸籍に入るには、手続きを踏んで帰化する以外の道はありません。

 

また、日本で名前を登録する場合、アルファベットやハングルなどの文字は使用できず、使えるのは漢字、ひらがな、カタカナの3種類のみです。中国や台湾など、漢字を使用している国の出身でもそのまま使えるわけではなく、日本では繁体字や簡体字を名前として登録することはできません。

 

さらに、日本人が外国人の苗字に変える場合は、6ヶ月過ぎると地域の役所では変更できず、家庭裁判所に行く必要があります。

苗字を変えた後に離婚した場合、手続きをしないと変更した苗字のままなので注意が必要です。

 

ここまで書いてきたように、国際結婚をして苗字を変更する際には複数の選択肢があります。

どの方法にもそれぞれにメリット・デメリットがあるので、じっくり考えてライフスタイルに合う方法を選択することをおすすめします。

 

 

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 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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