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国際結婚で子供の国籍はどうなる? 各国の基準を踏まえて解説

国籍とは?

国籍というのは、ある国の国民であるという身分や資格のことです。日本国籍を持っている人は日本の国民、アメリカ国籍を持っていればアメリカの国民、という具合です。そしてどの国も基本的に、自国の国籍を与える基準(国籍法など)を持っています。

 

人の国籍を決める方法には、大きく分けて二種類あります。ひとつは「生地主義」といい、出生した土地(国)の国籍が与えられるというもの、もうひとつは「血統主義」といい、親と同じ国籍が子供にも与えられるというものです。このうち血統主義は、さらに父親の国籍と母親の国籍のどちらかを選べる「父母両系血統主義」と、父親の国籍が優先される「父系優先血統主義」に分かれています。

 

日本が採用しているのは「血統主義(父母両系血統主義)」で、他にも日本と同様の方式を採用している国は以下の通りです。

スウェーデン、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、ハンガリー、ブルガリア、デンマーク、オーストリア、スペイン、イタリア、ギリシャ、チェコ、スロバキア、ポーランド、ルーマニア、トルコ、イスラエル、エルサルバドル、エチオピア、ガーナ、ナイジェリア、中国、韓国、タイ、フィリピン、など

 

一方で、「血統主義(父系優先血統主義)」を採用する国も少なくありません(以前の日本もかつてこの方式)。

アラブ首長国連邦、ウジアラビア、シリア、イラク、イラン、エジプト、クウェート、レバノン、オマーン、アルジェリア、スーダン、モロッコ、マダガスカル、セネガル、スリランカ、インドネシア、など

 

これに対し「生地主義」を採用しているのは、以下の国々です。

アメリカ、カナダ、ブラジル、アルゼンチン、アイルランド、グレナダ、ザンビア、タンザニア、パキスタン、バングラデシュ、フィジー、ニュージーランド、など

 

また、イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、オーストラリアなどのように、条件付きで「血統主義」「生地主義」を併用している国もあります。

 

たとえばイギリスは「生地主義」が基本ですが、外国籍の親がイギリスの永住許可を持っているなら、海外で生まれた子供にイギリス国籍を与えています。フランスでは両親が外国籍でも、子供がフランスで生まれ成人までの間に一定以上フランスで暮せば、フランス国籍を取得できる仕組みです。ドイツの場合、ドイツに定住する外国籍の親から生まれた子供にいったんドイツ国籍を与え、成人になったときに親の国籍とドイツ国籍のどちらかを選択できるようにしています。

国籍取得をめぐる問題点

上で説明した通り、国籍を決める仕組みは国によってバラバラです。このため両親が自国籍を持ったまま外国で子供を産んだ場合、国際結婚により互いに違う国籍の夫婦から子供が生まれた場合などは、その子供がどの国籍を取得するのか、あるいは国籍を選択する権利が与えられるか、そのための条件は何か、などをしっかり確認することが重要です。

 

複数の国の国籍を同時に所持した状態、いわゆる「重国籍(二重国籍・多重国籍)」についても注意が必要です。世界では重国籍を認めない「国籍唯一の原則」を掲げる国がある一方で、現に重国籍を認めている国も少なくありません。また原則として重国籍を認めていても、政治家や公務員など一定の立場に就く国民には重国籍を認めないケース、特定の国籍のみを対象に重国籍を認めるケース、またロシアのように「重国籍であることを届け出ない(隠す)」と罰金を受けるケースなど、重国籍の扱いは国によって様々です。

 

なお日本では、重国籍は禁止されています。仮に両親のどちらかが「血統主義」を採用する外国籍を持っていたり、日本国籍の親が「生地主義」の国で出産するなどして、「子供が一時的に重国籍を取得」していたりする場合、本人が22歳になるまでに、いずれかの国籍を選択する必要があります。

子供の国籍に関する各種手続き

【国際結婚をした夫婦(どちらか一方が日本国籍)の子供が日本国内で出生した場合】

日本は「血統主義(父母両系血統主義)」を採用しているため、両親のどちらかが日本国籍であれば、その子供も日本国籍を取得可能です。

 

まずは戸籍法に基づき、生まれた日を含む生後14日以内に「出生届」を提出します。提出先は居住地の市区町村役場ですが、同時に外国籍配偶者の国にも出生の届け出が必要です。この場合の届出先は外国人配偶者の国の大使館または領事館で、必要書類や届け出方法はその国の様式に従います。国によっては婚姻証明書や母子手帳の提出を求められる場合もあるので、事前に大使館・領事館に問い合わせておきます。

 

市区町村役場への届出者は、両親のどちらでも大丈夫です。事情により両親のどちらも届出ができない場合は、同居者、医師、助産師、立会人、公設所の長が代わって行うことが可能です。

◎必要書類

・出生届 ※産婦人科で出生証明書と一緒に取得。市区町村役所でも配布しているため、あらかじめ受け取ることも可能

・出生証明書 ※産婦人科の医師や、助産師、出産に立ち会った者が記入・署名押印して作成。記載内容は出生の年月日時刻、場所、身長・体重、単胎・多胎の別、母の氏名、妊娠週数、出産歴など

・母子健康手帳 ※妊娠時の届出に基づいて市区町村役場が発行

・印鑑 ※印鑑を持たない外国籍配偶者の場合はサインで代用

・身分証明書 ※免許証、健康保険証、外国人登録書など

 

【子供が外国で出生した場合】

外国で出産した場合は、生まれた日を含む生後3ヶ月以内にその国にある日本の在外公館(大使館または領事館)に「出生届」を提出します。これは国際結婚をした夫婦(どちらか一方が日本国籍)でも、日本人同士の夫婦でも同じです。

(参考)→ 在外公館リスト

 

またアメリカなど「生地主義」を採用する国で子供が生まれた場合は、日本国籍に加え出生国の国籍も自動取得することになるため(重国籍状態)、出生届と同時に「国籍留保」手続きをする必要があります。もし期限までにこの手続きを怠ると、子供は出生時にさかのぼって日本国籍を失うことになります。

 

ただし国籍留保の手続きを行わなず日本国籍を失った場合でも、子供が日本に居住するようになった際に「国籍再取得」手続きをすれば、日本国籍の取得が可能です。

 

なお「国籍留保」の手続きをすると、一時的に日本国籍と外国国籍の重国籍状態が続くことになります。この場合は22歳までに「国籍の選択」(日本国籍の離脱もしくは外国国籍の離脱)を行う必要があります。

 

【子供の名前に関する注意点】

出生届に記載する子供の名前には、ひらがな、カタカナ、漢字(常用漢字・人名漢字)を使用できます。アルファベットなどの外国の文字や、なかてん(・)、カンマ(,)、ピリオド(.)、変体かなは使用不可です。)

また戸籍法によると親の戸籍に記載されている「氏」が子供の姓になります。このため、国際結婚による子供の姓は以下のパターンに分かれます。

 

・日本人配偶者が夫婦別姓で日本姓を名乗っている場合:子供の姓は日本人の親と同じ

・日本人配偶者が外国姓や複合姓に変更している場合:子供の姓も外国姓や複合姓

 

※なお日本人配偶者が夫婦別姓で日本姓を名乗っているものの、子供には外国人配偶者の姓を名乗らせたい場合、子供ごとに単独の戸籍を作ることで可能となります。

 

※届出に関する法令は改正されることがあるため、実際に届出を行う際は外務省のホームページなどで最新情報を確認してください。

(参考)→ 外務省:戸籍・国籍関係届の届出について

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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