中国人技能実習生との結婚手続とビザ
外国人技能実習制度は日本の技術を開発途上国の人々に伝え、母国の経済発展に貢献することを目的としており、国際協力の推進を目的としています。
もちろん、中国からも技能実習生が数多く来日し活躍をしています。そんな中国人技能実習生との結婚についてこの記事ではお話をします。
<中国人技能実習生との結婚の方法>
技能実習制度は日本で学んだ技能や技術を母国へ帰国して活かして活躍するための制度です。そのため、「帰国」が前提の制度と言えます。
しかし、技能実習機関中に結婚や妊娠をすることで技能実習制度の趣旨を損なうような生活になる可能性を考えて、外国人実習生との交際や結婚を禁じている監理組合や実習生受入企業があるくらい厳しい制度になっていることがあります。
ですので、技能実習期間中に国際結婚手続きをしても配偶者ビザを取得することはできません。厳密に言えばよっぽどの事情があれば別ですが、ほぼ不可能とお考え下さい。
●技能実習から配偶者ビザへの変更要件
・夫婦が同居している
・実習離脱に係る監理団体による報告書の提出(技能実習終了後は不要)
・入管法19条の16第1号の離脱の届け出
これらの条件がなければ変更はできませんので、実質として変更申請は非常に難しいです。また、監理団体(派遣元の組合)が技能実習期間の間は結婚を禁止していることもあります。
派遣元の組合と契約を結ぶときに結婚禁止規定を明記しているケースがあります。約束を守らなかった場合は、ケースによって40万円以上の違約金を支払わなければいけないことにもなり、この視点からも現実的な方法ではありません。
では、中国人技能実習生の配偶者ビザ取得のための現実的方法というと、基本的には一旦帰国して、日本に再度呼び寄せる方法が現実的です、というかこの方法しかないとお考えください。
<在留資格認定証明書交付申請(呼び寄せ)>
1、中国人技能実習生が帰国→国際結婚手続き
技能実習を終えて中国人技能実習生が帰国すると、技能実習という在留資格はなくなります。いわゆるただの外国人に戻るわけです。
この段階で、日本と中国で国際結婚手続きを済ませます。配偶者ビザを取得する前提条件がお互いの国での結婚手続き完了です。
2、日本側で在留資格認定証明書交付申請を行う
国際結婚手続きが完了しましたら、日本側で配偶者ビザを取得する申請を行います。中国人配偶者はまだ中国に住んでいるので、この場合の手続きは、在留資格認定証明書交付申請いわゆる呼び寄せの手続きになります。
3、在留資格認定証明書の交付(配偶者ビザの許可)
無事に配偶者ビザを取得できましたら、その際に入管から発行される在留資格認定証明書を中国人配偶者へ国際郵便で郵送します。
4、査証の発給と日本への入国
在留資格認定証明書が中国人配偶者に届きましたら、それとパスポートを中国にある日本国大使館・領事館へ持参し、査証(ビザ)を発給してもらいます。この査証とは、正規に日本に入国できることを認められた証とも言えます。
在留資格認定証明書は交付後3か月以内に入国をしないと失効してしまいますので、入国日などにはお気を付けください。
(コラム:)中国人の技能実習での来日事情
中国の人口は世界第1位で、最近では目覚ましい発展を遂げ経済大国の1つとして数えられています。世界的に見ても豊かになりつつある中国からなぜ技能実習生が来日するのでしょうか?
理由としては中国の学歴社会と貧富の格差です。中国は前提として都市部と地方の農村では貧富の差が日本以上に差があります。さらに大卒以上でないと就職が厳しいとさえいわれています。
また中国の戸籍制度により農村部から都市に働きに出てもよい就職先を見つけづらいという特徴があるようです。技能実習制度はそのような地方出身の中国人にとっては日本で働けるというのが魅力的に映るわけです。
中国人技能実習生は「素直」が特徴だといえます。そのため、マニュアルに沿った業務には素晴らしい適性を持っているといえます。半面臨機応変さに欠ける面もあり、自分で率先して独自に業務を行うことをしない傾向があります。
また、中国人は情が深い人種といわれています。そのため、一度仲良くなるとビジネスやプライベートにわたる多方面において関係性を大切にしてくれます。
そういった情が深い反面、日本人よりも損得勘定で物事を考える人種です。特に報酬などにおいて不公平な対応をしている場合などは人材流出の危険もありますので、注意を払う必要があります。
このような、情が深くまじめで素直な中国人が日本人の心をつかんで恋愛関係に発展することも多々あります。
もちろん、恋愛は自由ですからそのような男女の交際の始まり方も素敵なことです。ただし、日本人同士の結婚とは違って、色々な文化的ハードル、手続き上のハードルを越えていかなければならないのが、中国人技能実習生との結婚です。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
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