フィリピン人技能実習生との結婚手続とビザ
技能実習制度は日本の産業に関わる技術を開発途上国の人々に伝え、母国の経済発展に貢献することを目的としており、国際協力の推進を目的としています。
フィリピン人も多くの技能実習生が日本企業で活躍をしています。フィリピンは出稼ぎ大国としても有名で世界でも有数の外貨獲得国といえます。
そんなフィリピン人技能実習生と恋に落ちて結婚をするというケースも存在します。この記事ではフィリピン人技能実習生との結婚や配偶者ビザの取得までの流れを説明します。
<フィリピン人技能実習生との結婚の方法>
技能実習制度は日本で学んだ技能や技術を母国へ帰国して活かして活躍するための制度です。そのため、「帰国」が前提の制度と言えます。
しかも、結婚や妊娠をすることで技能実習制度本来の趣旨を損なうような日本での生活を送る可能性を考えて、実習期間中は結婚を禁じている監理団体や受入先企業があるくらい厳しい制度になっていることがあります。
ですので、技能実習生のまま結婚手続きをしても配偶者ビザを取得することはかなり難しいです。厳密に言えばよっぽどの事情があれば別ですが、ほぼ不可能とお考え下さい。
●技能実習から配偶者ビザへの変更要件
・夫婦が同居している
・実習離脱に係る監理団体による報告書の提出(技能実習終了後は不要)
・入管法19条の16第1号の離脱の届け出
これらの前提条件がなければ変更はできませんので、実質として変更申請は厳しいです。また、管理団体(派遣元の組合)が技能実習期間の間は結婚を禁止していることもあります。
派遣元の組合と契約を結ぶときに結婚禁止規定を明記しているケースがあります。約束を守らなかった場合は、ケースによって40万円以上の違約金を支払わなければいけないことにもなり、この視点からも現実的な方法ではありません。
では、フィリピン人技能実習生との結婚手続きから配偶者ビザ取得の現実的方法というと、基本的には一旦帰国して、日本に再度呼び寄せる方法が現実的です、というかこの方法が一般的であるとお考えください。
<在留資格認定証明書交付申請(呼び寄せ)>
1、 フィリピン人技能実習生が帰国→国際結婚手続き
技能実習を終えてフィリピン人技能実習生が帰国すると、技能実習という在留資格はなくなります。いわゆるただの母国に帰った外国人に戻るわけです。この段階で、日本とフィリピンで国際結婚手続きを済ませます。配偶者ビザを取得する前提条件がお互いの国での結婚手続き完了です。
2、 日本側で在留資格認定証明書交付申請を行う
国際結婚手続きが完了しましたら、日本側で配偶者ビザを取得する申請を行います。フィリピン人配偶者はまだフィリピンに住んでいるので、この場合の手続きは、在留資格認定証明書交付申請いわゆる呼び寄せの手続きになります。
3、 在留資格認定証明書の交付(配偶者ビザの許可)
無事に配偶者ビザを取得できましたら、その際に入管から発行される在留資格認定証明書をフィリピン人配偶者へ国際郵便で郵送します。
4、 査証の発給と日本への入国
在留資格認定証明書がフィリピン人配偶者に届きましたら、それとパスポートをフィリピンにある日本国大使館・領事館へ持参し、査証(ビザ)を発給してもらいます。この査証とは、正規に日本に入国できることを認められた証とも言えます。
在留資格認定証明書は交付後3か月以内に入国をしないと失効してしまいますので、入国日などにはお気を付けください。
(コラム:)フィリピン人の技能実習での来日事情
フィリピン人は海外出稼ぎが多い国として有名で、約3万人弱の技能実習生が日本国内でも活躍しています。国策として出稼ぎを推奨し、海外送金などで国のGDPを上げているくらい、世界に向けて積極的に出ていくというのがフィリピン人の特徴であるといえます。
非常に社交的な人種といわれるのがフィリピン人で、家族を大切にするため、家族と過ごすことを生活の中心に置くくらい家族思いです。そんな心優しいフィリピン人技能実習生は日本人から見ると真面目で真摯に取り組んでいて健気に見え、そんな姿に恋心を抱くということがあります。
さらにコミュニケーション能力も高く人見知りをしないフィリピン人が多くいます。その反面、プライドが高いため、技能実習の場面においても過度に怒られたり、叱られたりするとそのプライドが傷つけられてしまうという危険もあります。
ですので、フィリピン人技能実習生とのコミュニケーションの取り方には他の国とは違った、プライドにも配慮しながら行うことが関係性を良好に保ち、企業もフィリピン人技能実習生も気持ちよく働く秘訣とも言えます。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
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