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フィリピン人との婚姻関係をアナルメント(婚姻解消)する方法とは

フィリピン人との婚姻関係をアナルメント(婚姻解消)する方法とは?

フィリピンには、離婚のシステムがありません。代わりに、アナルメントという制度があります。フィリピン国籍の配偶者と離婚を考えている方の中には、

 

「アナルメントとは?」

「方法や費用は?」

 

と疑問をお持ちの方も多いでしょう。

この記事では、フィリピンの婚姻制度とアナルメントについて詳しく解説します。

ぜひ、最後までお読みください。

フィリピンの婚姻制度

ここでは、フィリピンの婚姻制度について見ていきましょう。

日本とは大きく異なる婚姻制度

国によって、婚姻に関する制度や考え方はさまざまです。

例えば、日本では法改正にともない、2022年4月1日から結婚できる年齢が女性18歳・男性18歳になりました。離婚をする場合は、両者の同意があれば成立する、いわゆる協議離婚が可能です。

 

日本とは大きく異なる婚姻制度を定めている国の1つに、フィリピンがあります。フィリピンには、離婚のシステムがないのが大きな違いです。加えて、婚姻の年齢(18〜25歳)に応じて両親の同意書や承諾書が求められます。

離婚の概念がない

フィリピンには、そもそも離婚という概念がありません。

 

フィリピンはキリスト教の信仰が深く、国民の83%がカトリック教徒の国です。カトリック教会では、結婚は一生にわたる神聖なものであるとされています。宗教的な観点から、フィリピンには離婚のシステムがありません。

死ぬまで婚姻関係が続く

結婚をすれば、死ぬまでその相手と婚姻関係が続くのが当たり前であると考えられています。フィリピンの婚姻に対する考え方は、カトリック教会の教えが強く影響しています。

 

カトリック教会では「結婚(子作り)とは神創造への協力」という考えがあるため、人工中絶や避妊について否定的です。旧約聖書には「産めよ、増やせよ」という教えもあります。結婚は神聖なものとされているため、離婚に対しては非常に厳しい見解をもつ宗教と言えます。

フィリピン国籍の人との婚姻の要件

婚姻は、異性間のみで同性同士は認められていません。婚姻が可能な年齢は、男女ともに18歳以上です。年齢によって、両親の同意書・承諾書が要件として定められています。下記の表で詳しく見ていきましょう。

 

年齢

要件

18歳未満

婚姻は不可

18歳〜20歳

両親の同意書

21歳〜25歳

両親の承諾書

26歳〜

同意書・承諾書は不要

 

相手の結婚歴にも注意する必要があります。初婚であれば問題はありませんが、相手に結婚歴があり、再婚する場合などは手続きが複雑になります。パターン別に詳しく見ていきましょう。

1.日本人と結婚して離婚したフィリピン国籍の人と再婚する

日本で成立した離婚を、フィリピンの裁判所で承認してもらうリコグニッション(Recognition)の手続きをしなければいけません。

2.配偶者が亡くなっているフィリピン国籍の人と再婚する

前の配偶者が日本人の場合は戸籍謄本、フィリピン人の場合はPSA発行の死亡証明書の提出が必要です。PSAとはフィリピンの国家統計局で、フィリピン国民の「出生・婚姻・死亡」に関する記録を取り扱っている機関です。

3.フィリピン人と結婚しているフィリピン国籍の人と再婚する

婚姻の取り消し、または無効の手続きであるアナルメントをしなければいけません。

フィリピン人とアナルメント(婚姻関係解消)するには

ここでは、アナルメント(Annulment)について見ていきましょう。

アナルメント(婚姻関係解消)とは

アナルメントとは、婚姻関係を解消する手続きです。離婚のシステムがないフィリピンにおいて、代わりとなる制度と言えます。通常の離婚とは異なり、結婚そのものを最初からなかったものとするのが特徴です。

 

手続きは裁判で行われ、婚姻の取り消しならアナルメント、無効ならディクラレイトの判決が申請者の状況に応じて決定されます。

 

そのほか離婚に関する手続きには、前述した「リコグニッション」もあります。

リコグニッションは、海外の法律で成立した離婚をフィリピン側で承認する裁判です。外国籍の配偶者と離婚をしたフィリピン国籍の方を対象としています。

アナルメントできる条件

条件は以下のとおりです。

1.アナルメント(婚姻の取り消し)

  • ・精神障害のある者との婚姻
  • ・婚姻継続のための身体的能力を欠いた者との婚姻
  • ・性病を音った者との婚姻
  • ・詐欺による婚姻
  • ・強迫による婚姻
  • ・一定年齢での両親の承諾なしでの婚姻

2.ディクラレイト(婚姻の無効)

  • ・未成年同士の婚姻
  • ・近親婚
  • ・重婚や一夫多妻婚
  • ・婚姻のために自己または相手の配偶者を殺害した
  • ・相手方を錯誤した上での婚姻
  • ・婚姻許可状なしでの婚姻
  • ・婚姻挙行担当官不在での婚姻
  • ・証人なしでの婚姻

アナルメントの方法

アナルメントの手続きは、裁判によって行われます。

下記は、判決が出るまでの簡単な流れです。

1.弁護士を探す・相談・依頼

フィリピン人の弁護士を探して依頼する必要があります。中には、法外な費用を要求してくる弁護士もいるため注意しなければいけません。アナルメントの知識と経験がある弁護士に依頼するのがポイントです。

2.裁判費用の支払い

費用については後述します。

3.申立書の作成・各種書類の準備

担当弁護士との面談を行い、裁判に必要な申立書を作成します。

4.裁判所へ申し立て

申立書・必要書類を裁判所に提出してください。

5.裁判官の決定

6.離婚相手への出廷依頼

離婚を申し立てる相手へ出廷の依頼を出します。

7.地方検事による調査

協議離婚は認められていないため、双方が離婚に関して同意していないかが調査のポイントです。

8.精神鑑定士による精神鑑定

婚姻関係が、双方にとって精神的に苦痛なものであったかが診断されます。

9.予備協議

10.公判前協議

11.裁判

最低2回以上の公判を行い、判決が出ます。

12.判決

判決が出るまでに2〜3年かかると言われています。相手側から異議などがあった場合は、さらに長い期間がかかると予想されます。現状、短期間でアナルメントを成立させるのは非常に難しいです。

アナルメントにかかる費用

アナルメントの費用は高額です。最低でも30万ペソはかかると見積もっておいてください。1ペソは日本円にすると2〜2.5円のため、30万ペソは60〜75万円になります。

 

30万ペソの内、弁護士への報酬が大きく占めると予想されます。中には、法外な金額を要求してくる弁護士もいるため注意してください。

 

国際労働機関(ILO)の統計データによると、フィリピンの平均年収は約23万ペソです。平均年収よりも高い費用がかかるアナルメントは、フィリピン人にとって敷居の高い制度と言えます。

アナルメントしたフィリピン人の国籍はどうなる?

アナルメントをしても国籍に影響はありません。

 

子供がいる場合、日本で生まれて両親どちらかが日本人であれば、日本の国籍を保持できます。フィリピンは2重国籍を認めているため、20歳までは2重国籍の状態です。20歳までに、自分で日本かフィリピンどちらかの国籍を選ばなければいけません。

 

フィリピン人配偶者が日本に在住している場合は、在留資格に変更しなければいけないケースもあります。特に「日本人の配偶者等」で在留している方は、6カ月以内に適切な在留資格に変更する必要があります。

まとめ

この記事では、フィリピンの婚姻制度とアナルメントについて詳しく解説しました。

 

フィリピンでは、宗教的な観点から離婚のシステムがありません。代わりに、婚姻の取り消しや無効を認めるアナルメントがあります。

 

手続きは裁判で行われ、判決が出るまでに長い期間と高額な費用がかかります。現状、フィリピン人の生活水準を考えると、非常にハードルの高い手続きです。

 

アナルメントを成立させるには、優秀なフィリピン人弁護士を探して依頼するのがポイントと言えます。

【フィリピン婚姻無効裁判手続きサポートサービス】 報酬額一覧

婚姻無効裁判手続きサービス

報酬額(円表示)

フィリピン人と日本人の婚姻無効裁判及びサポート

当事務所の手数料  250,000+税

現地フィリピン弁護士手数料  

着手金150,000ペソ(約40万円)+難易度により100,000~300,000ペソ(要お見積もり)

フィリピン人同士の婚姻無効裁判及びサポート

当事務所の手数料  300,000+税

現地フィリピン弁護士手数料      

着手金150,000ペソ(約40万円)+難易度により100,000~300,000ペソ(要お見積もり)

※裁判手続きは現地フィリピン弁護士による業務提供を行います。

【フィリピン婚姻無効裁判手続きサポートサービスの内容 】

  • ・当事務所と連携しているフィリピン弁護士のご紹介&お顔合わせ※オンライン可
  • ・フィリピン弁護士による現地裁判手続き
  • ・裁判手続き完了までの現地フィリピン弁護士との英語での進捗確認
  • ・業務完了までの英語通訳を伴う総合的なコンサルティング及びサポート

※極力スピーディーに手続きを進めますが、フィリピン婚姻無効裁判は着手から1年~2年かかる場合も発生します。当事務所の費用はその分のサポート費用です。

※ケースにより、裁判にかかる期間や費用が異なる場合がございます。現地フィリピン弁護士による裁判手続き開始前に改めてペソにてお見積りを出させていただきます。

※裁判期間の延長に伴う費用や実費(精神科医が配偶者様などに精神鑑定を行うための交通費または現地弁護士が当該地区の役所に赴く交通費等)は別途請求させていただきます。

 

【フィリピンでの婚姻無効裁判について】

フィリピンでは、法律上離婚それ自体を認めておらず、すでに婚姻歴のあるフィリピン人女性と結婚したいと考えたときは、現地の裁判手続きで婚姻が無効であったと認定してもらう必要があります。

この手続は、完了するまでに2年~3年を要する大変な手続きとなっており、フィリピンの現地弁護士や裁判所とのやり取りですので、日本におられる方にとっては非常に困難な道のりです。

そこで、弊社では現地のフィリピン人弁護士と連携し、基本的な連絡や進捗状況の確認等、細かいサポートを提供させていただきますので、現地裁判手続きの完了まで安心してご依頼いただくことが可能です。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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