連れ子の在留資格認定証明書は?日本に呼び寄せるためのビザの種類と要件
日本人と外国人が国際結婚した場合、外国籍の連れ子を日本に呼び寄せたいというケースがあるでしょう。
外国人の連れ子が取得する在留資格認定証明書は、「定住者」になることが多いです。
今回は、連れ子が定住者ビザを取得するために求められる要件や、必要書類について解説します。
申請手続きの手順やベストタイミングについてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。
連れ子の在留資格認定証明書は「定住者」
日本人と外国人が国際結婚し、外国人の連れ子を日本に連れてくる場合、その連れ子の在留資格は「定住者」が該当するケースが多いです。
ただし、連れ子の親である外国人の在留資格が「永住者」だと、連れ子の在留資格は「永住者」または「永住者の配偶者等」になります。
外国人の親が就労ビザを持っていれば、連れ子は「家族滞在」で日本に在留できる可能性もあります。
さらに、日本人の親と特別養子縁組をしている場合は「日本人の配偶者等」となります。
このように、連れ子の在留資格の種類は個別の事情によって異なりますが、最初にお伝えしたように多くのケースでは「定住者」が該当します。
以下の項目では、外国人の連れ子が定住者ビザを取得するケースについて、要件や手続き方法を解説していきます。
定住者ビザとは
定住者ビザとは、法務大臣が個々の外国人について、特別な理由を考慮して居住を認める在留資格です。
外国人の連れ子をはじめ、難民や日系人に関するケースなど、出生の事情や人道上の理由で取得することが多くなっています。
ここでは、定住者ビザと他のビザの違いや、定住者ビザの種類について解説します。
永住者ビザとの違い
定住者ビザと似た在留資格に、永住者ビザがあります。
まず、定住者ビザと永住者ビザの共通点は、日本国内での就労制限がなく、日本人と同じように自由に就労や職種の選択ができることにあります。
異なる点は、定住者ビザには在留期間の定めがあり、永住権には期間の定めがないということです。
定住者ビザには5年、3年、1年、6ヶ月のいずれかの在留期間が定められていて、期間の満了時にはビザの変更または更新か帰国を選ばなければいけません。
基本的に永住者ビザは、他の種類のビザで入国したあと、10年以上の在留などの条件を満たして取得するものです。
しかし定住者ビザは出生の事情などに対して付与されることが多いため、入国時の最初のビザとして取得できる人もいます。
定住者ビザの種類
定住者ビザには、「定住者告示に該当するもの(告示定住者)」と「定住者告示に該当しないもの(告示外定住者・非告示定住者)」の2種類があります。
これらの意味は、以下の通りです。
・定住者告示に該当するもの:日系人やその配偶者、定住者の実子、日本人や永住者の配偶者の実子(連れ子)、日本人や永住者・定住者の6歳未満の養子、中国残留邦人やその親族 など
・定住者告示に該当しないもの:日本人や永住者と離婚または死別後、引き続き在留を希望する者、日本人との間の実子を扶養する者 など
告示定住者は、本人の出生の事情や、日本人・日系人・永住者・定住者などとの関係性によって定住者ビザが取得できる人のことをいいます。
非告示定住者は上記の条件に当てはまらないものの、日本に生活の基盤があって母国に帰っても生活が成り立たない人や、日本に引き続き在留するべき事情がある人を指します。
定住者から永住許可申請は可能?
定住者から永住許可申請をすることは、可能です。
定住者から永住者にビザの種類が変わると、在留期間の定めがなくなり、ビザ更新の手間がなくなるというメリットがあります。
定住者から永住許可申請をするための条件は、以下の通りです。
・定住者ビザを付与された後,引き続き5年以上日本に在留している
・独立した生計を営むに足りる資産または技能を持つ(年収250〜300万円が目安)
・素行が善良である
ちなみに、年収については世帯年収で審査されるため、親や配偶者に十分な収入があれば本人の経済状況は問われないこともあります。
定住者ビザで日本に5年以上在留し、その間の素行が善良であれば、永住権を取得できる可能性があるということです。
連れ子の在留資格認定証明書(定住者ビザ)取得の要件
ここでは、連れ子が在留資格認定証明書(定住者ビザ)を取得するための4つの要件について解説します。
①親が配偶者ビザを保有している
連れ子が定住者ビザを取得するには、まずその親が「日本人の配偶者」ビザを保有している必要があります。
連れ子がビザを取得するためには、一般的に以下のステップで手続きを進めます。
1.日本人と外国人が婚姻
2.親が日本人の配偶者ビザを取得
3.連れ子が定住者ビザを取得
配偶者ビザの取得は、正式な婚姻関係にあり、偽装結婚でないことを示せれば、あまりハードルは高くありません。
ただし、内縁関係など日本で正式な婚姻関係と見なされない場合、親が配偶者ビザを取得できず、連れ子のビザ取得も難しいと言えます。
②親の実子である
2つ目の要件は、連れ子が外国人の親の実子であることです。
養子や、前の配偶者の連れ子を引き取った場合などは、定住者ビザの取得要件を満たせません。
③子供本人が未成年かつ未婚である
連れ子が未成年かつ未婚であることが、3つ目の要件です。
ここでいう未成年とは、日本の民法上の未成年、つまり20歳未満であることを指します。
外国籍の連れ子を日本に在留させる理由は、その子供を日本で養育するためです。
年齢が高かったりすでに就労しているなど、独り立ちしている子供は連れ子としてビザの取得ができません。
20歳以上であったり、すでに独立している子供が親と暮らすために日本に入国したい場合、別途で就労ビザなどを取得する必要があります。
④親の扶養を受けて生活する
上の要件と関連して、日本に入国後、親の扶養を受けて生活することも条件となっています。
あくまでも連れ子は養育のために呼び寄せるのであり、一家の稼ぎ手として日本に呼ぶことはできないということです。
連れ子を受け入れる日本側の家庭に十分な世帯収入があるかどうかなど、経済状況も審査の対象です。
また、連れ子と夫婦の同居も前提となっています。
さらに、外国人の配偶者が日本に在留しはじめてから連れ子を呼び寄せるまで期間が空いている場合、なぜ今呼び寄せるのかという合理的な理由を説明する必要があります。
連れ子の定住ビザを申請するには
最後に、連れ子の定住ビザを申請するために必要な手続きについてお伝えします。
申請に必要な書類
連れ子の定住者ビザ申請には、日本側で用意するべき書類と、海外側で用意するべき書類があります。
日本側で用意する書類
日本側では、連れ子や親についての以下の書類を準備します。
・戸籍謄本
・在留資格認定証明書交付申請書
・申請理由書
・住民票
・身元保証書
・採用内定通知書
・課税所得証明書
・給与明細書の写し
・納税証明書
・在職証明書
・確定申告書の写し
・預金残高証明書
・預金通帳の写し
・家族が写った写真
・メッセージ履歴(LINEなど)
・通話履歴
・嘆願書・反省文
・源泉徴収票
日本側で用意する書類には、日本人の親と外国人配偶者の関係性を証明する目的や、夫婦の経済状況を証明する目的があります。
上記のものは一例で、ケースによっては不要な書類があったり、追加の書類が必要になる場合もあります。
海外側で用意する書類
海外側で用意する書類には、以下のものがあります。
・証明写真(4cm×3cm)
・出生証明書(Birth Certificate)、日本語訳
・認知に係る証明書
・パスポートの写し
海外側では、連れ子自身の身分証明書や、親との関係を示す書類が必要になります。
申請のベストタイミングは?
連れ子の定住者ビザは、その親の配偶者ビザ申請と同時、または親が日本に入国後のどちらでも可能です。
配偶者ビザと同時申請
外国人の親に来日経験があったり、海外駐在時から家族で生活を共にしている場合には、配偶者ビザと連れ子の定住者ビザを同時に申請するのが良いでしょう。
入管側から見ても連れ子を伴って日本に入国する目的がわかりやすいですし、家族が一時でも離れることなく生活を続けることができます。
先に配偶者だけ日本へ呼ぶ
外国人の親が日本の生活に不慣れな場合、先に配偶者ビザだけ取得して、親が先に入国した方がスムーズなこともあります。
親自身が慣れない日本での生活をこなしながら、子供の養育までするとなると、想像以上の負担になることもあるためです。
ただし、連れ子が大きかったり、親の入国から連れ子を呼び寄せるまで期間が空きすぎると、就労など別の目的を疑われる場合もあるため注意が必要となります。
定住ビザの申請は専門家への依頼がおすすめ
連れ子の定住ビザの申請は自分で行うこともできますが、スムーズに入国するためには行政書士など専門家への依頼がおすすめです。
定住ビザの申請に必要な書類は一人ひとりのケースによって異なり、審査で重視されるポイントや、不許可になる理由も人それぞれです。
専門知識を持ち、これまで何人ものビザ取得をサポートしてきた行政書士は、様々なケースについて最適な対応やアドバイスをすることができます。
また、提出書類に不足やミスがあるリスクが低いため、より短期間でスムーズに在留資格認定証明書がもらえる可能性が高くなります。
まとめ
外国人の連れ子の在留資格認定証明書は、「定住者」ビザになるケースが多いです。
連れ子の定住者ビザ取得には、親との関係性や経済状況、子供の年齢など、一定の要件が求められます。
今回ご紹介した連れ子の定住者ビザ申請に必要な書類や手続きは、あくまでも一例です。
自分のケースではどのような準備が必要になるかは、ビザ申請の専門家である行政書士に相談してみましょう。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
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