年金滞納でも配偶者ビザは許可される?
「年金滞納でも配偶者ビザを取得できますか?」というご質問をいただくことがあります。
結論としては、年金を滞納していても、差し押さえまで受けるほどでなければ、配偶者ビザは取得できています。
ただし、年金未納のままでは数年後に後悔してしまう事態も…
年金の滞納によるビザへの影響について見てみましょう。
1 配偶者ビザへの影響
配偶者ビザ取得に際して、法務省のHPにある在留資格認定証明書交付申請の必要書類は以下のようになっています。
1 在留資格認定証明書交付申請書 1通
2 写真(縦4cm×横3cm) 1葉
3 配偶者(日本人)の方の戸籍謄本(全部事項証明書) 1通
4 申請人の国籍国(外国)の機関から発行された結婚証明書 1通
5 日本での滞在費用を証明する資料 (1) 申請人の滞在費用を支弁する方の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 各1通 (2) その他 a 預貯金通帳の写し 適宜 b 雇用予定証明書又は採用内定通知書(日本の会社発行のもの) 適宜 c 上記に準ずるもの 適宜
6 配偶者(日本人)の身元保証書 1通
7 配偶者(日本人)の世帯全員の記載のある住民票の写し 1通
8 質問書 1通
9 スナップ写真(夫婦で写っており,容姿がはっきり確認できるもの。アプリ加工したものは不可。)2~3葉
10 返信用封筒(定形封筒に宛先を明記の上,404円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの 1通
11 その他 (1) 身元保証人の印鑑 (2) 身分を証する文書等 提示 |
上記は必要最小限の必要書類ですが、この必要書類リストを見ると、(非)課税証明書は提出しますが、年金を収めているかに関しての書類は提出する必要がありません。
これは、既に日本に在留していて、年金を収める義務がある外国人が配偶者になったという場合の「在留資格変更許可申請」においても同様です。
つまり、年金を収めているかどうかは現在のところ、あまり問題にしていないということが言えるでしょう。
2 永住権取得には、年金の納付は必須!
配偶者ビザが取得できれば夫婦一緒に生活できるということで、年金はそのまま滞納しておいてもよいでしょうか。差し押さえの危険はありますが、ビザの観点から問題はないでしょうか。
配偶者ビザを取得すると、通常、最初にもらえる在留期間は「1年」です。次の更新でも「1年」となる方がほとんどです。その次の更新で問題がなければ、ようやく「3年」がもらえます。そのまま何もしなければ、3年後にはまた更新申請をしなくてはいけません。
ずっと夫婦で日本暮らしをしていくのに、今後ずっと更新をしていかなければならないのは、面倒ですよね。
そこで、多くの外国人配偶者は、在留期間3年が出たタイミングで永住権の申請手続きに取り掛かります。
日本人、永住者と結婚していると、原則10年の在留が必要な永住権が、1年以上の在留と3年以上の婚姻生活があればよいことになるからです。
ところが、永住権審査においては、年金を収めているかどうかは重要視されます。
以下が、法務省のHPにある年金に関する永住権の必要書類です。
申請人又は申請人を扶養する方の公的年金及び公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
(1) 直近(過去2年間)の公的年金の保険料の納付状況を証明する資料 次のア~ウのうち,ア又はイの資料及びウの資料を提出してください。 ア 「ねんきん定期便」(全期間の年金記録情報が表示されているもの) イ ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面 ウ 国民年金保険料領収証書(写し) |
このように、配偶者ビザ取得に際して要求されなかった年金に関する資料が、永住権申請時には追加されています。
永住権申請時点で、年金を追納しても不許可となる場合があります。永住権の審査は厳しく、国民の義務を遅滞なく履行しているか、つまり年金も滞納なく納付しているかも重視される傾向があるのです。
3 将来的には帰化する可能性も出てくる場合に備えて
日本で家族ができ、日本に馴染むようになると、このままずっと日本で暮らし、日本人として生きていきたいという思いが将来的に出てくる方も多いです。
その場合は、「帰化」申請をして、日本国籍を取得することになるのですが、その帰化申請の際も、年金を収めているかの資料が必須となっています。
4 まとめ
このように、現在のところ配偶者ビザ申請時には、年金を収めているかは必要書類になっていませんし、年金滞納者であっても、配偶者ビザの許可は出ています(年金滞納で差し押さえまで受けていると不許可となるケースがあります)。
しかし、配偶者ビザ取得者の多くは、ゆくゆくは永住権申請や帰化申請を考えます。
したがって、現在年金を滞納をしている場合は、今のうちから年金を収めるようにし、永住権申請、帰化申請において障害をなくしていくことをおすすめします。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
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