国際結婚の子供の戸籍はどうなるの? 複合姓についても解説
「国際結婚をして子供が生まれたけど、子供の苗字ってどうなるの?」
「そもそも国際結婚をした場合、子供の戸籍はどうなるの?」
国際結婚をすると、後からわからないことがどんどん出てくると思います。
今回は、国際結婚をした際の子供の戸籍について解説します。
1 戸籍の役割
まず、戸籍について見てみましょう。
戸籍の役割は、家族関係と身分関係、そして日本人であることを明らかにする点にあります。
戸籍は、家族を1単位として作られます。したがって、結婚すると自動的に親の戸籍から除籍されます。
そして、戸籍は、同じ苗字の人しか記載できませんし、日本人のみが持てるものになります。
2 外国人の戸籍
先ほど述べたように、日本人と外国人が国際結婚をしても、外国人には戸籍が作られません。したがって、「外国人と入籍した」という表現は、実は正しい表現ではありません。
外国人と結婚すると、日本人側が筆頭者となった単独の戸籍が作られ、外国人配偶者については、日本人の戸籍の身分事項欄に記載がなされます。
3 外国人の苗字
国際結婚場合は、基本的に夫婦別姓です。もっとも、苗字を変更することは可能です。
苗字を変更したい場合は、婚姻の日から6ヶ月以内に市区町村役所に届け出れば相手の苗字に変更することができます。
その際、必要な書類は「外国人との婚姻による氏の変更届け」となります。
4 子供の戸籍
外国人との間に子供が生まれたら、日本と外国人それぞれの国に出生届を出します。
両親のうち、一方が日本国籍を取得している場合は、子供も日本国籍を取得します。
日本で出産した場合は、生まれた日を含む出生後14日以内にお住いの市区町村役場に「出生届」を提出します。届出をする人は、父親または母親ですが、父母ができない時は、同居者、医師、助産師、立会人、公設所の長がします。
出生届を提出することで、子供が日本人の親の戸籍に編製され、日本国民として認識されます。したがって、国際結婚の場合は、日本人の親と、生まれてきた子供だけの戸籍になります。
子供の戸籍は、親の戸籍に記載されている「氏」が子供の姓になります。つまり、国際結婚した日本人配偶者が、日本姓のままで夫婦別姓の場合は、子供も日本人の親と同じ日本姓になります。
他方、日本人配偶者が外国姓、もしくは複合姓に変更している場合は、子供も外国姓もしくは複合姓になり、家族は姓が親子全員同じになります。
複合姓とは、国際結婚の場合のみに認められているもので、配偶者の苗字と自分の苗字をくっつけて作った新たな苗字のことです。
例えば、鈴木花子さんとトム・ハンクスさんが結婚して、複合姓を選んだとします。
この場合、妻の名を「鈴木ハンクス花子」または「ハンクス鈴木花子」とすることが可能です。
日本人配偶者は日本姓のままで、子供は外国人配偶者の姓を名乗ることも可能です。その場合は、子供が単独の戸籍を作ることになります。子供が複数いるときは、人数分の単独戸籍を作らなければいけません。単独戸籍のつくり方については、次の項目で説明します。
なお、外国で出産した場合は、出生後3ヶ月以内に在外大使館又は領事館に「国籍留保」の手続きを行うことが必要です。
まとめると以下のようになります。
国際結婚で生まれた子供
①日本人親の戸籍に入る。 ②日本人親の名字を名乗る。
ただし、氏変更手続きを行っていた(夫婦同姓)場合は、変更後の姓(外国姓) 夫婦別姓の状態なら、日本人姓 夫婦別姓のままで子供の名字を外国姓にしたい場合には、子供の単独戸籍を作る |
4 単独戸籍の作り方
単独戸籍を作るには、家庭裁判所の許可を受けることが必要です。
家庭裁判所に氏の変更許可の申立書を提出し、裁判所から変更許可を受けます。
必要書類は以下の通りです。
①裁判所所定の申立書
②申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)
③変更後の外国姓を名乗っている、外国人父母の住民票
家庭裁判所から氏変更の申し立てについて許可が下りたら、お住いの市区町村役場に行き、氏変更の許可を提出します。氏変更を提出後、外国人配偶者の姓での子供の新しい単独戸籍が編成されます。
5 外国人が戸籍を持つには
外国人が戸籍を持てるようになるには、「帰化」をするしかありません。
帰化をすると、外国籍は手放すことになります。
帰化は、出入国在留管理庁ではなく、住んでいる地域の法務局で行います。帰化するまでの審査期間は、ビザの取得より長く、半年から1年程度かかります。
帰化の居住要件として、通常5年間日本に住所があることが必要ですが、日本人と結婚している外国人であれば、次の2つのいずれかの要件を満たせば要件を満たします
。
(2) 引き続き3年以上、日本に住所または居所を有し、かつ、現に日本に住所を有する者
→結婚前から、日本に引き続き3年以上住んでおり、その後に日本人と結婚した場合は、結婚した時点で要件を満たします。
(3) 婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有する者
→外国で婚姻生活を2年送り、その後に日本で1年以上引き続いて居住していれば、要件を満たします。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
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