国際結婚で夫婦別姓は可能?
夫婦別姓の議論が長くなされていますが、国際結婚の場合はどうなっているでしょうか。
1 国際結婚で姓はどうなる?
日本人同士ではまだ認められていませんが、国際結婚場合は、基本的に夫婦別姓です。
もっとも、夫婦別姓より夫婦同姓がいい!という方は、氏を変えることができます。
つまり、外国人と結婚すれば夫婦別姓も夫婦同姓も自由に選択できることになります。
これは、外国人には戸籍が作られないことに拠ります。
ただ、苗字を変更したい場合は、婚姻の日から6ヶ月以内に市区町村役所に届け出ることが必要です。その際、必要な書類は「外国人との婚姻による氏の変更届け」となります。
2 外国人の戸籍?
外国人には戸籍が作られません。したがって、自動的に日本人配偶者は単独戸籍となります。「夫として入籍しないということは、結婚した事実も戸籍に載らないの?」と思われるかもしれませんが、戸籍には日本人の身分事項欄に、外国人配偶者との婚姻の事実が記載されます。
戸籍への記載例 【婚姻日】 令和◯年◯月◯日 【配偶者氏名】 ジェームズ ポール マッカートニー 【配偶者の国籍】 英国 【配偶者の生年月日】 西暦1942年6月18日 【婚姻の方式】 英国の方式 【証書提出日】 令和〇年◯月◯日 【従前戸籍】 東京都台東区◯◯番地 |
氏の変更をした場合は【氏変更日】と【氏変更の事由】も戸籍に記載されます。
3 夫婦同姓にする方法
国際結婚の場合は夫婦別姓が原則なので、夫婦同姓にするにはどうすればよいでしょうか。
方法としては、以下の方法があります。
①日本人の苗字を外国人配偶者の苗字に変更
②外国人配偶者の苗字を日本人配偶者の苗字で通称名登録する
③外国人配偶者が帰化して、日本人配偶者の苗字にする
それぞれについて見てみましょう。
①日本人の苗字を外国人配偶者の苗字に変更
戸籍法では、以下のように規定されています。
『外国人と婚姻をした者がその氏を配偶者の称している氏に変更しようとするときは、その者は、その婚姻の日から六箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出ることができる。』(戸籍法第107条2項)
つまり、6か月以内であれば、市区町村役所に届けるだけで氏の変更ができます。
6か月を過ぎた場合は、改名をしないと、日常生活に支障をきたす事情が必要ですので注意してください。
氏の変更では外国人の姓と日本人の姓をくっつける複合姓にすることも可能です。
例えば、鈴木花子さんとトム・ハンクスさんが結婚して、複合姓を選んだとします。
この場合、妻の名を「鈴木ハンクス花子」または「ハンクス鈴木花子」とすることが可能です。
このときに使える文字の種類は、次の3種類です。
・ひらがな
・カタカナ
・常用漢字+人名用漢字表
アルファベットやハングル文字等は使用できないので注意してください。
なお、子供の戸籍は、親の戸籍に記載されている「氏」が子供の姓になります。つまり、国際結婚した日本人配偶者が、日本姓のままで夫婦別姓の場合は、子供も日本人の親と同じ日本姓になります。
日本人配偶者が外国姓、もしくは複合姓に変更している場合は、子供も外国姓もしくは複合姓になり、家族は姓が親子全員同じになります。
日本人配偶者は日本姓のままで、子供は外国人配偶者の姓を名乗ることも可能です。その場合は、子供が単独の戸籍を作ることになります。子供が複数いるときは、人数分の単独戸籍を作らなければいけません。
②外国人配偶者の苗字を日本人配偶者の苗字で通称名登録する
通称名は、あくまでもペンネームなので、本来の意味での夫婦同姓ではありません。ただ、通称名を登録すれば、身分証明にも使うことができ、日常のほとんどを通称名で生活することが可能です。
通称名とは、法的な拘束力のあるペンネームのようなものです。もっとも、通称名は一度決めたら、基本的には変更することができないので注意してください。
通称名の登録手続きは、通称名記載申出書を市区町村住民窓口に提出します。運転免許証については、運転免許センターで手続きをします。
③外国人配偶者が帰化して、日本人配偶者の苗字にする
外国人が帰化する際に、日本人配偶者の苗字にすることができます。なお、名前も自由に変更できます。
ただこの方法は、帰化申請してから許可されるまで数か月~1年程度かかるので、すぐに夫婦同姓にできるわけではありません。
日本人と結婚している外国人は、帰化の居住要件が緩和されています。
①引き続き3年以上、日本に住所または居所を有し、かつ、現に日本に住所を有する者
結婚前に、留学や就労などの在留資格で、日本に引き続き3年以上住んでおり、その後に日本人と結婚した場合は、結婚した時点で要件を満たします。
②婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有する者
3年以上前に配偶者を日本に呼び寄せ、その後はずっと日本で生活している人はもちろんのこと、結婚当初は海外で婚姻生活を2年送り、その後に日本へ一緒に帰国し、1年以上引き続いて日本で居住している方も、要件を満たします。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
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