1 創業融資の種類
まず、創業時に利用できる融資にはどのような方法があるでしょうか。
(1)日本政策金融公庫からの融資制度を利用する方法
日本政策金融公庫からの創業融資制度としては、次の2パターンがあります。どちらの制度も無担保・無保証なので、創業融資として多くの方が利用しています。
①新創業融資制度
②中小企業経営力強化資金
(2)地方銀行や信用金庫の制度融資を利用する方法
事業規模にも拠りますが、メガバンクから創業融資を受けるには、とてもハードルが高い傾向にあります。
そこで、地方銀行や信用金庫から融資を受ける方法があります。地方銀行・信用金庫によっては、スタートアップローンなど創業融資を積極的に行っているので、そのようなプランを利用するのもおすすめです。
では、創業融資として人気である日本政策金融公庫の融資制度の必要書類について見てみましょう。
2 日本政策金融公庫の「新創業融資制度」を利用する場合
(1)対象者
この新創業融資制度は、その名の通り創業時又は創業間もない方が対象です。
具体的には、次のすべての要件に該当する方が対象となります。
①新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方
②新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金)を確認できる方
(2)必要書類
新創業融資を申し込むときの必要書類は、基本的には以下の6種類です。
・借入申込書
申込人名や借入れしたい額、用途、返済期間などを記入します。公庫の支店またはホームページから入手できます。
・創業計画書
創業計画書は、事業の見通しなどを通じて、融資が回収可能なのかを判断する上でもっとも重要な書類といえるでしょう。したがって、担当者が最も重視します。
創業計画書には、事業の見通しの他、創業の動機や経営者の略歴、取扱商品・サービス、必要な資金と調達方法なども記入します。
こちらの書類も各支店で入手、またはホームページからダウンロードできます。
・月別収支計画書(資金繰り計画書)
こちらの書類は作成は任意ですが、作成によって練り上げられた創業計画であることを担当者にアピールできるので、作成するのが望ましいと言えます。
この計画書には、創業後の月別売上高や売上原価、人件費や家賃などの経費、利益とその算出根拠を記入します。
・履歴事項全部証明書の原本(法人の場合)
法人の名称や本店所在地、代表者などの登記事項が記載された書類です。法務局で直接入手またはネット上で請求することが可能です。なお、法務局で入手する場合は、法人の所在地とは関係なく、全国どこの法務局でも構いません。
・不動産の登記簿謄本または登記事項証明書(不動産担保希望の場合)
不動産担保を希望する場合に必要になります。法務局又はネット上で入手します。
・見積書(資金使途が設備資金の場合)
必要な資金のなかに設備資金がある場合、その設備に関する見積書が必要です。
・都道府県知事の「推せん書」
旅館業や、美容室、飲食店などの生活衛生関係の事業を営む方で、借入申込金額が500万円を超える場合
3 日本政策金融公庫の「中小企業経営力強化資金」を利用する場合
新創業融資制度と同様によく利用されているこの「中小企業経営力強化資金」は、融資上限額が新創業融資制度に比べ高く、利率も約1%低いことがメリットです。また、創業時でなくとも利用可能です。
ただし、認定支援機関を通す必要があるため報酬が発生してしまうことや、事業計画の進捗報告等が必要になることなどがデメリットといえるでしょう。
(1)対象者
この制度を利用できる方は、次の①または②に該当する方です。
①次のすべてに該当する方
・経営革新または異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓等により市場の創出・開拓(新規開業を行う場合を含む)を行おうとする方
・事業計画の策定を行い、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関による指導および助言を受けている方
②次のすべてに該当する方
・「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」を適用している方または適用する予定である方
・事業計画書を策定する方
(2)必要書類
申込みには基本的に、次の書類が必要です。
・借入申込書
代表者名や会社名、所在地、借入希望額、借入希望日、家族構成などを記載します。
・履歴事項全部証明書の原本(法人の場合)
法人の名称や本店所在地、代表者などの登記事項が記載された書類です。法務局で直接入手またはネット上で請求することが可能です。
・定款(法人の場合)
会社の基本ルールをまとめたものです。法人設立の際に作成しています。
・設備の見積書
工事会社や設備会社にあらかじめ見積りを取ってもらいましょう。
4 まとめ
創業融資の際に必要な書類を解説しましたが、この他にも業態などによって追加書類を求められる場合があります。不安がある方は、専門家に早めに相談をしてサポートをしてもらうことをお勧めします。