これから事業を立ち上げるという方にとっては、何もかもが初めて、という場合も多いかと思います。ここでは、そのうち日本政策金融公庫における創業融資の審査について、よくある質問をまとめてご紹介します。
Q1 創業融資の審査上、個人で申し込みをするのと法人で申し込みをするのに違いはありますか?
A 結論から言うと、個人だから不利、法人だから有利ということはありません。基本的な考え方として、事業計画を吟味した上で、どれくらいの利益が残り、返済がきちんとなされるか?というところを見ていますので、実績のない個人も法人も同じです。強いて言うのであれば、法人顧客を想定している事業を計画しているのであれば、契約獲得という面では法人が有利ですので、間接的には審査においても有利になる可能性はあります。
Q2 創業予定地は必ず決めてからでないと申込みできませんか?
A 創業予定地は決めて下さい。どの段階まで決めないといけないかというと、物件の仮契約まではお願いをしたいところです。まず、創業予定地が全くの未定の場合、立地条件等を踏まえた売上予測や経費予測が立てられません。当然、あやふやな創業計画では審査が有利に働くことはありません。
なお、一般的には賃貸借契約まで締結しいる必要はありません。契約をしても融資が謝絶される可能性もありますので、仮契約を結んで他の事業者に横取りをされないようにだけ注意をして下さい。
Q バーチャルオフィスやレンタルオフィスを営業所としても審査に影響はありませんか?
A 事業の実績がある融資では、バーチャルオフィスであることやレンタルオフィスであることのみをもって不利になるわけではありません。しかし、こと創業融資においては、バーチャルオフィスは、稼働実態を把握できないということで融資を受けにくい傾向にあります。もちろん、事業計画の実行において支障ないことが事業計画等によって理解してもらえれば融資を受けられる可能性はありますが、確率は低くなります。
また、別問題として、返済口座として必要になる金融機関での口座の開設、というポイントにおいても事業所がバーチャルオフィス等であると足かせになるかも知れません。
Q 自己資金は必ず必要ですか?いくらあれば良いですか?
A これはかなり多い質問です。まず、「中小企業経営力強化資金」のように、制度によっては自己資金を要件としないものもあります。しかし、基本的には自己資金は必要と考えましょう。そもそも、一般的に自己資金は「開業への心構え、本気度」とみられますし、自己資金要件は1/10で良いとされている新創業融資制度においても、現実的には希望額の1/3程度の自己資金は必要となります。
とはいえ、やはりいちばん大事なのは創業計画そのものがしっかりしているかどうかですので、自己資金が1/3ないと絶対に無理、と諦めることはありません。
Q 親からの支援金は自己資金に含めていいですか?
A 融資額を上げるために、自己資金を増強しようと思うのは自然なことですね。答えを言ってしまうと、自己資金としてカウントして良いのは、自分で貯めたお金以外にも、親族からの支援金やクラウドファンディング、友人など積極的な事業協力者からのお金も含まれます。身近な人からお金を調達した場合には、返済不要であることの証明として贈与契約書や生計状況を添付した上で説明できることが大切です。
Q クレジットカードの利用があると審査上不利になりますか?
A まず、通常のショッピング枠での利用であれば、支払い遅れがなく、現実的に返せる範囲内であれば全く問題ありません。
Q 税金の滞納は審査に影響しますか?
A 税金の滞納や収入の無申告、公共料金その他、家賃の未払いは、否決理由となります。こういったものの支払いをきちんと行なっているか、という点の確認資料として通帳の提出が必要になっています。ちなみに、審査上、個人も法人も通帳の確認があり、一般的には6ヶ月~1年以上遡って通帳を見られることになります。
Q 面談ではどんなことを聞かれますか?
A よく聞かれる質問としては次のようなことが挙げられます。
- 自己資金をどうやって貯めたか?
- 公共料金や家賃等の支払いに問題はないか?
- なぜこの事業を始めようと思ったのか?
- これからする事業に関連する経験はあるか?
- これまでに経営経験あるか?
- 営業場所はどこか?なぜそこか?
- 営業時間は?定休日は?
- 主力商品・サービスは何か?
- 月の売上げや経費の想定額はいくらか?
- 計画達成の根拠は何か?
- 返済ができなくなったらどうするつもりか?
- 許認可は必要か?
- 信用保証協会融資への申込みもしているのか?
Q 国民生活事業へ創業融資の申込みをしてから融資決定までにどれくらいの期間がかかりますか?
A 平均的には3週間程度です。ただし、これはあくまで「審査期間」ですので、実際には事業計画書の作成等の書類の準備期間や、審査終了後融資が実行されるまでの期間のラグもありますので、最短でも1ヶ月、できれば2~3ヶ月の余裕を持って考えましょう。
メモ
さて、ここまでいかがだったでしょうか?
初めての事業立ち上げ、創業融資申し込み、わからないことや不安なことが沢山あるかと思います。
一人で抱えきれないときには、ぜひ専門家への相談も検討してみてください。