さまざまな事業によって、これまで個人事業主として事業を行ってきた方が会社を設立して法人になるということは多いと思います。
個人で開業した後に法人成り、つまり個人事業主から法人へ変更した場合に、事業拡大のために融資を受けたい場合、創業融資を受けられるのでしょうか。
法人成りをした事業者が受けることのできる融資制度について説明していきたいと思います。
法人成りとは?
法人成りとは、既に個人事業として事業を行っている方が、法人を設立して事業形態を個人から法人へと変更することを言います。
新しい会社を設立はするものの、事業の内容は個人の時のものを引き継いで行っていきます。
そのため、個人事業主の際に所有していた在庫や備金等の資産や買掛金や借り入れ等の負債も新会社が引き継ぐことになります。
また、取引先等との契約や買掛金、売掛金等も引き継ぎます。
日本政策金融公庫の創業融資は使えない
日本政策金融公庫の創業融資には「新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方」という条件があります。
法人成りの場合、この個人事業主時代からの事業経歴も引き継がれてしまいますので、日本政策金融公庫の創業融資を受けることができません。
中小企業経営力強化資金で日本政策金融公庫に申し込む
法人成りの場合、2期以上経ってしまっていると創業融資を申し込むことはできませんが、通常の融資であれば受けることが可能です。
法人になって創業融資を受けたい理由の一つは、「法人の場合、無担保で代表取締役の保証なしに融資を受けられる」ということではないでしょうか。
この、無担保・代表取締役の保証なしという点を創業融資でなくても実現できるのが、中小企業経営力強化資金です。
中小企業経営力強化資金とは、日本政策金融公庫の実施する、経営革新又は異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓等により市場の創出・開拓を行おうとし、また認定支援機関のサポートを受ける方が借りられる融資です。
中小企業経営力強化資金を利用すれば、無担保・無保証人で最大2000万円までの融資をうけることができ、7期以内の企業であれば利用することができますので、2期を超えて法人成りをした場合に無担保・無保証人で融資を考えている方にはお勧めの制度です。
ただ、認定支援機関によるサポートや事業計画書の作成、またその後の報告義務がある等のデメリットもありますので、慎重に検討すると良いでしょう。
地方自治体の創業融資制度を利用も検討
もう一つの法人成りの際に融資を受けられる方法は、地方自治体の創業融資制度です。
日本政策金融公庫の場合、事業開始から税務申告を2期終えてしまっている場合は創業融資を受けることができませんが、地方自治体の創業融資制度であれば、「創業した日から5年以未満」であれば創業融資を受けることが可能です。
地方自治体ごとに融資制度の内容が異なりますので、ご自身の企業がある都道府県または市区町村の融資制度を調べてみると良いでしょう。
信用保証協会の保証付きで中小企業にとってメリットのある融資を受けられる可能性があります。
ただ、この場合には、ほとんどの場合経営者の保証が必要になりますので、経営者保証を付けたくないという場合には利用できません。
いかがでしたでしょうか。
個人事業主の期間と合算して2年以上経っていたとしても別の融資制度を利用すれば融資を受けることが可能です。
ただ、法人成りのタイミングや、希望の条件によっても選ぶべき融資制度は異なります。
ご自身の状況でその融資制度を利用することは可能なのか、また金利や保証人等の融資条件は希望に即しているものなのか等、慎重に検討しながら検討すると良いでしょう。
メモ
もしご自身でどの融資制度を利用したらよいかわからない場合や、申し込みや事業計画の作成をご自身で行うことが難しい場合には、融資の専門家に相談してみると良いでしょう。