事業を創業された方で創業融資を検討される方も多いと思います。創業融資を活用すれば、低金利で資金が調達でき、会社の資金繰りも楽になる事が多く、経営者からみれば是非活用したい融資になります。
創業融資は銀行や信用金庫等の民間の金融機関も取り扱ってはいますが、創業融資で一番に思いつくのは、「日本政策金融公庫」の創業融資と、地方自治体などが支援する「制度融資」になります。
「日本政策金融公庫」と「制度融資」について徹底比較
まず「日本政策金融公庫」は、日本政府が100%出資する政府系の金融機関の事で、政府系金融機関の代表格になっています。中小企業の支援、サポートを目的とした金融機関ですので、地方銀行や信用金庫といった一般の民間金融機関と比べ、実績のない起業したばかりの経営者に対しても、親身に融資の相談に乗ってくれます。
次に「制度融資」とは、都道府県や市町村といった地方自治体が、金融機関や信用保証協会と連携をして、中小企業向けに融資をするのになります。
地方自治体が行う融資ではありますが、実際にお金を出すのは、地方自治体ではなく、金融機関になります。地方自治体が企業に対して直接融資をするものではありません。
また地方自治体によって、融資の条件(融資を受ける為の条件や融資限度がくなど)が違ってくるので、融資を検討する前には確認が必要です。
日本政策金融公庫の「新創業融資」と地方自治体の「制度融資」の条件比較
①創業の要件
日本政策金融公庫の創業融資の方は、新たに事業を始める方、若しくは事業開始後2期以内の方が対象になっています。
制度融資の方の要件は、事業を営んでいない「個人」の方で、1ヶ月以内に創業を予定する方、若しくは創業した日から5年以内の個人事業主や法人が対象になります。
制度融資は地方自治体によって条件に違いはありますが、概ね「創業」の時期に関しては
地方自治体の方が「広く」みてくれていると思います。
②融資資金の使用用途
日本政策金融公庫と制度融資ともに、運転資金と設備資金両方に使用できます。
③融資限度額
日本政策金融公庫の新創業融資が3000万円であるのに対して、制度融資の方は3500万円と融資限度額においては「制度融資」の方が上になります。
④返済期間
返済期間に関しては、運転資金の方に関しては、日本政策金融公庫の新創業融資と、地方自治体の制度融資でほとんど差はないと思いますが、運転資金に関しては、日本政策金融公庫の方は最長20年ありますので、日本政策金融公庫の融資の方が返済期間としては楽かと思います。
⑤金利
金利については幅がありますので、一概には言えませんが、日本政策金融公庫の方が金利
2.5%から2.85%に対して、制度融資の方は1.9%から2.5%となっています。
これだけをみると、制度融資も方が一見金利は安くてお得と思えるかもしれませんが、制度融資の場合は、金融機関以外にも、信用保証協会に対しても手数料を支払う必要がでてきますので、一概に安いとは言えません。
⑥保証人、担保
日本政策金融公庫は無担保で保証人も不要ですが、制度融資の場合は会社の代表者個人が保証人になる必要があります。
⑦融資までの期間
融資を申し込んでから融資がされるまでの期間については、日本政策金融公庫の融資の方が期間は短いです。
日本政策金融公庫の創業融資の場合は、日本政策金融公庫に申し込めば、そこから審査が始まりますが、制度融資の場合は、金融機関だけでなく、信用保証協会や地方自治体も絡む為、
必然的に審査期間は長くなります。
地方自治体により制度融資の場合は条件など若干の違いはでるとは思いますが、以上が日本政策金融公庫の新創業融資と地方自治体の制度融資の比較になります。
日本政策金融公庫の「新創業融資」と地方自治体の「制度融資」のどちらがいいのか?
については、実際に融資を受けたいと思う方の状況により一概に言えませんが、私としては、日本政策金融公庫の方が利用しやすいと思います。
理由としては、まず融資を申し込んでから融資実行までの期間が短い、ようは早く融資をしてくれるのは点が挙げられます。やはり、資金繰りを考える上で、融資までのスピード感は非常に大事だと思いますので、その意味では日本政策金融公庫の方が有利であると思います。また担保や保証人が不要な点も大きいと思います。
また、日本政策金融公庫の融資の場合は、日本政策金融公庫側とのみ話をすればよいので、窓口が一本化されていますが、地方自治体の制度融資の場合は、地方自治体、信用保証協会、金融機関という3つの窓口と話をしないといけないので、少し手間がかかるといえば手間がかかると思います。その意味では窓口が1つというのは魅力ではないでしょうか?
以上が日本政策金融公庫の融資と、制度融資の徹底比較になります。