信用金庫と信用組合の違いについてよくわからないという方も多いのではないでしょうか?事業者としてどこの金融機関と取引したらよいかとお悩みの方もいらっしゃると思います。
今回は、信用金庫と信用組合の違いについてご説明していきたいと思います。
信用金庫と信用組合、どちらも似たような名前ですが違いは下記の4つになります。
1、根拠となる法律の違い
2、経営目的の違い
3、構成員の条件の違い
4、サービスの違い
それではそれぞれ具体的に見ていきましょう。
信用金庫と信用組合の根拠となる法律の違い
信用金庫と信用組合では、その設立の根拠となる法律がそもそも違います。
①信用金庫→信用金庫法
②信用組合→中小企業協同組合法と協同組合による金融事業に関する法律(協金法)
ちなみに銀行は銀行法というものが根拠となる法律です。
信用金庫と信用組合の経営目的の違い
信用金庫と信用組合はどちらも非営利の組織となります(ちなみに銀行は営利組織です)。
非営利の組織であっても、根拠となる法律が違えば当然ながら経営目的が異なります。
経営目的はそれぞれ下記になります。
①信用金庫
国民大衆のために金融の円滑化を図り、その貯蓄の増強に資することを目的とする。
②信用組合
組合員の相互扶助を目的とします。組合員の経済的地位の向上を図る。
ちなみに銀行は、国民、大衆のために金融の円滑化を図り、基本的には営利を最大の目的とする組織となります。
信用金庫と信用組合の構成員の条件の違い
信用金庫と信用組合ですが、どちらも利用するためには会員・組合員にならなければ利用できません。
会員や組合員になるためには条件があり、それは下記になります。
①会員になるための条件(信用金庫)
- 営業地域に住所または居住している人
- 営業地域に勤務している人
- 従業員300人以下または資本金9億円以下の事業者
②組合員になるための条件(信用組合)
- 営業地域に住所または居住している人
- 営業地域に勤務している人
- 事業者の役員と従業員300人以下または資本金3億円以下の事業者(卸売業は100人または1億円、小売業は50人または5000万円、サービス業は100人または5000万円)
また、信用組合は下記のコミュニティによって分類されているのも特徴です。
・地域信用組合
信用組合の営業地域内の事業者、個人で構成されている
・業域信用組合
特定業種の関係者で構成されている(医師、出版業など)
・職域信用組合
同じ職場の従業員で構成されている(地方自治体や鉄道会社)
どちらも条件を満たしていて、出資をすることで会員や組合員になることができます。
出資は1万円からであることが多いですし、追加で出資することも可能です。さらに脱退するときにはこの出資金は返還されます。
信用金庫と信用組合のサービスの違い
信用金庫と信用組合の基本的な業務は、他の銀行と同じく下記になります。
- 預金業務
- 融資(貸付)業務
- 為替業務
基本的に信用金庫と信用組合も会員や組合員向けに対してサービスを提供しており、特に利用者に制限を設けていない銀行とは違います。
その中でも信用金庫と信用組合の違いとしては、預金業務と融資(貸付)業務になります。
預金業務については、信用金庫では会員でなくとも利用することはできますが、信用組合では組合員でなければ利用できません。
融資(貸付)業務については、どちらも原則会員や組合員でなければ認められませんが、信用金庫では卒業生金融という制度により、一定期間会員であった場合には脱退後も期間限定ですが利用することが可能です。信用組合では、一部制限付きで組合員以外の融資も認められる場合もあるようですが、認められることは少ないようです。
信用金庫よりも信用組合のほうが、組合員重視の傾向が強いようです。
メモ
いかがでしたでしょうか。今回は、信用金庫と信用組合の違いについてご説明させていただきました。
そもそも根拠となる法律の違いから経営方針の違いもあります。銀行では無理だった資金繰りも信用金庫や信用組合では融資が通ることもありますので、どちらとも信頼関係を築いていくのはとても大切になります。
もし資金繰りで迷うようなことがあれば、行政書士等専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。
依頼するための費用は資金繰りの内容により数万円~数%程度かかりますが、自分自身でする場合の時間や手間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。