日本政策金融公庫の融資は、創業したばかりの経営者の方から、既存の事業が軌道に乗ってきたので、事業拡大を図りたいという経営者の方、個人事業主の方など多くの方が活用されています。
事業資金の融資を検討されている場合、借入から返済完了までの流れをしっかりと確認しておかないと、返済計画に無理が生じて、結局返済できなくなってしまう・・・。そんな可能性もありますので、日本政策金融公庫から融資を受ける際には返済シミュレーションをしっかりとやっておく必要があります。
以下に日本政策金融公庫から融資をうける際の返済シミュレーションについて解説をしていきます。
融資の返済シミュレーションを行う際の考え方のポイント
①自社を検証し、借入から返済までの課程を事前に想定する。
事業資金などの融資を受ける際は、無理なく返済できるような返済計画を立てておくことがとても重要です。融資の申し込みをする前に、色々な角度から自社の事業を検証し、資金繰表等をみながらキャッシュフローを想定し、返済計画をたててみましょう。
その際に、うまくいった場合のみを想定するのではなく、業績が苦しくなった場合も視野にいれて想定し、返済計画を立てる様にしましょう。
様々な角度から自社を検討することで、経営上の課題などがみつかり、そのことによって
必要な資金の金額などが見えてきたりします。そういった具体的数字を積み上げて、返済までの流れを把握すれば、精度のよい返済計画がつくれます。
②無理のない資金計画を立てる
安定的に会社の経営をしていくためには、充分な事業資金を確保することが大切です。
新たに創業する場合でも、事業を拡大する場合でも、そのために事業資金がいくら必要になるのかを把握します。そして必要な事業資金のうち、どれくらいを自己資金でまかなえるかを計算します。
事業資金というものは、非常に重要で、あれあるあるだけ経営の資金繰りに余裕はできることになりますが、今手元にある事業資金がすべて融資によるものですと、いずれすべて返済しないといけなくなります。借入金の割合が多くなると、融資を行う日本政策金融公庫側としても、返済できないリスクがあると判断をして、融資してくれない可能性もあります。
借入と自己資本の割合を考えながら資金計画を立てる必要があります。
③融資を受ける額を考える
会社を経営していると、取引先への支払いや、人件費などの経費、税金の支払いなど手元から離れるお金が沢山あります。これらの支払いが滞ったりした場合は、会社の信用低下を招いて、売上が下がり、更に会社の経営状況は厳しくなってしまいます。
事業資金はあればあるだけ会社の資金繰りには余裕がうまれますが、借入金が多いと、利息の支払の負担も大きくなるので、自己資金や自社の今後の収入、例えば、売上の予測などを考慮しながら、いったいいくら融資を受ければよいのかを考える必要があります。
以上が日本政策金融公庫から融資を受ける際に事前に返済シミュレーションを行う際のポイントですが、必ずしも上記全てを実践する必要はありません。あくまでポイントです。
日本政策金融公庫のホームぺージを確認してみると、「事業資金用の返済シミュレーション」ができるようになっています。これを活用すれば、様々な条件での毎月の返済金額の概要は把握できますので、事前に返済計画などをたてるうえで役立ちます。
ただし「返済金額の把握」だけでは単なる数字でしかありません。その数字を利用して、返済計画や資金計画を作成していく必要があります。
重要なのは、自社の経営状況を検証し、今後の売上予想や自己資金はいくらあるのか、融資を受けようとする事業に今後どれだけのお金が必要なのか? 毎月いくらなら余裕をもって返済できるのか?
それら自社の経営状況をなるだけ詳細に把握したうえで、資金計画や返済計画を立てて、事業計画の用意をして融資の申し入れをするべきだと思います。
融資をする側である日本政策金融公庫も、融資の金額が大きくなれば、それだけ返済計画や事業計画の正確さ、簡単にいうと、本当にこのとおりに事業が進み、計画通りに返済をしてくれるのかの実現性をみてきます。
そのため、返済計画が適当であったり、融資の希望額が極端に大きくなったりしていた場合に返済をすることができないという理由で融資審査に通らない場合もあります。
返済計画をシミュレーションするうえでも実現性を考慮した、適度にゆとりのある返済計画にする必要があります。
メモ
融資の申し込みをするうえで、事前のシミュレーションや、準備は非常に大切な物です。自社だけで行うと、客観的に検証できないこともあります。その様な場合は融資の専門家に相談をするのもひとつの方法といえます。