日本政策金融公庫の融資を受けたいと思ったとき、一定額以上の自己資金がないと融資を受けるのは難しいという話を聞いたことがあるかと思います。それでは、自己資金が少ない場合は日本政策金融公庫から融資を受けることはできないのでしょうか?
ここでは、自己資金が少なくても日本政策金融公庫から融資可能?という点について説明をしていきます。
日本政策金融公庫とは?
日本政策金融公庫は、100%政府が出資した金融機関であり、個人事業や中小企業の創業融資に力を入れています。他の金融機関と異なり、通常は融資を受けにくいとされるような人でも融資が受けられるため、個人事業や中小企業であっても創業期の融資を受けやすく、担保や保証人をつけずに低金利で融資を受けられるところにも特徴があります。
自己資金はなくても審査に通る?
このような日本政策金融公庫の特徴からすると、自己資金が少なくても融資を受けることができそうな気がしますが、やはり自己資金が全くないと審査には通らないのが原則です。
自己資金があるかどうか、という点は日本政策金融公庫の審査のポイントの一つです。
自己資金は、たくさんあればあるほど審査は通りやすくなります。自己資金を十分確保した上で事業を開始するのであれば、それだけで事業計画がしっかりしており、返済の信用性が高いと判断してくれます。
そのため、自己資金が全くないと事業計画の信ぴょう性がないと判断されて、審査に落ちてしまいます。
自己資金がない場合の例外
原則として自己資金がないと日本政策金融公庫の融資は受けられませんが、例外があります。これが、「新創業融資制度」です。新創業融資は新たに事業を始める方や事業を開始して間もない方を対象にしており、制度を利用できるのは、以下の創業要件、雇用創出等の要件、自己資金の要件の3つの要件すべてを満たしている人のみです。
創業要件(①②のいずれかに該当)
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- 新たに事業を始める場合
- 事業開始後税務申告を2期終えていない場合
雇用創出等の要件(①~④のいずれかに該当)
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- 雇用の創出を伴う事業を始める場合
- 現在勤務している企業と同じ業種の事業を始める場合
- 産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める場合
- 民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める場合
自己資金の要件
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- 創業資金総額(今回の創業に必要なお金。融資希望額ではありません)の10分の1以上の自己資金がある場合。ただし、「2.雇用創出等の要件」の②または③に該当する場合はこの要件を満たすものとして取り扱われます。
このように、新創業融資を受ける方も原則として創業資金の10分の1の自己資金が必要になりますが、「ただし」と例外規定があり、
・現在勤務している企業と同じ業種の事業を始める場合
・産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める場合
このいずれかの場合は自己資金の要件を満たすものとして取り扱う=自己資金がなくてもよい、とされています。
そのため、自己資金がない場合は現在会社で働いている業種と同じ内容で新規事業を行うか、認定特定創業支援を受けて事業を行うことで融資を受けられます。
認定特定創業支援とは、市区町村が行う創業者向けの支援制度で、セミナーに参加することで、証明書を交付してもらうことができます。
注意点は?
このように新創業融資制度を利用することで、自己資金がない場合でも例外的に融資を受けられる場合もありますが、融資を受けられる金額にはあまり期待しない方が良いでしょう。自己資金がないとせいぜい100~200万円ていどの融資額しか受けられないと思っておいた方がよさそうです。
自己資金はどれくらいあればよい?
それでは、自己資金はどれくらいあればよいでしょうか?この点については、融資を受けたい額の50%以上の自己資金があればまず問題ないと言えます。つまり、500万円融資を受けたいと思っているときに250万円の自己資金があれば、審査が通る可能性は高いです。
ただ、実際に融資を受けたいと考えている人が融資額の50%を用意するのは難しいことが多いかと思います。現実的には、少なくとも20%~30%程度の自己資金を用意してから申請を行うのがよいでしょう。500万円融資を受けたい場合は、100万円~150万円の自己資金です。
いかがでしたでしょうか。自己資金が少なくても日本政策金融公庫から融資可能?という点について見てきました。
メモ
もし、融資の代行を専門家に依頼したいと思っているときは、まずは相談してみるとよいでしょう。代行を依頼するための費用は融資額の3~5%程度が相場ですが、自分でやる場合よりも許可可能性が高くなり、かかる時間、手間等も短縮が可能です。これらの要素を比較しながら、利用を検討してみてください。