事業を行っていく上で必要な資金は「運転資金」と「設備資金」に大別されます。
ここでは、そのうち運転資金の使用目的で融資を受ける場合はどんなコツがいるか?という疑問にお答えすべく解説をしていきます。
まず、運転資金についての概要をみておきましょう。
運転資金とは設備資金以外の資金すべてを言います。細かく分けて見ると、日々の買掛金や支払手形決済、人件費の支払や家賃などの形状運転資金、売上が伸びていることに伴い人件費等の支払いが増加し、売上金回収までのやりくりのための増加運転資金、ボーナス支払いや一括でまとめて仕入れをする場合などの、一時的な資金としての季節運転資金などに分類されます。
運転資金を申し込む際には、これらの運転資金のパターンも踏まえ、自分の場合はどのような理由で運転資金が必要なのか、また、具体的にはいくら必要なのか、そして、その後はどのように返済していくのかなど、具体的な説明を出来るように準備しておかなければなりません。
運転資金の融資をうけるコツ
では、ここから実際の運転資金の融資を受けるためのコツについて説明していきます。
極論は運転資金を借りるにあたっての具体的な根拠と計画を持っておく、ということになるのですが、ざっといくつかの項目に分けて見てみると、次のような点に気をつけることになります。
- なぜ借入が必要なのかを明確にする
- 1を基にいくら借入が必要なのか明確にする
- 1を基にいつまでに借り入れが必要なのか明確にする
- 返済計画についても明確にする
1. なぜ借入が必要なのかを明確にする
まずは、ここが基礎となります。なぜ借入が必要なのか、これがなんとなくではなく明確にあることで、この後の借入希望額やいつまでに借り入れが必要なのか、といった具体的な話に発展させることが出来ます。
単純に、売上の入金が手形になってしまったから人件費や原料仕入れ等の支払いのための経常運転資金として借入をしたいのか、売上を上げるために仕入れ数を増やしたいから借入が必要なのか、はたまた売上は伸びたが入金までに期間があり、その間に一緒の増加した支払いに充てるために借入が必要なのか、、など
なんとなくお金が足りていないから、ではなく、具体的に○○の原因で資金繰りが苦しくなるので融資をお願いしたい、と説明できるように把握しておきましょう。
2. 1を基にいくら借入が必要なのか明確にする
1を具体的に把握していればここもおのずとはっきりとしてくるかと思います。
まず、運転資金は「売掛金+棚卸資産-買掛金」で計算することが出来ます。例えば、売掛金300万円、棚卸資産300万、買掛金100万の場合は、300万+300万-100万で500万円が必要な運転資金となり、
通常の運転資金として借入を行いたいのであればこれを目安に申込みをすればいいですし、売上拡大のための仕入れ費用に500万円が必要であればそれが希望額の根拠となります。
3. 1を基にいつまでに借り入れが必要なのか明確にする
これも目的が定まっていれば、困ることはないかと思います。例えば売上拡大の為の新商品仕入れ資金として借入を希望しているのであれば、その仕入れを希望する日までに融資が実行されている必要がありますからその計画を伝えましょう。
4. 返済計画についても明確にする
返済計画については、将来の借入可能性を考慮しながら返済期間を考えましょう。
季節運転資金のように一時的な支払いのために資金を借りる場合には、短期で返済をすることが多いですが、そうでなくても最長の返済期間で設定をするのではなく、3年後に別で融資を受ける可能性があるのであれば4年払いで設定しておくなどすれば後々の借入のときにも、今回の融資が弊害になることを防げるでしょう。
メモ
さて、ここまでいかがだったでしょうか?
運転資金は、日々の色々な支払いや一時的に多くなった支払いなど、設備資金以外の資金を指します。この目的で融資を受ける際には、融資の目的から具体的に把握をして、具体的に必要な金額、時期、返済計画を示すことで、融資担当者の印象アップにも繋がります。
利益が出ているはずなのに、資金がショートしてしまい、黒字倒産となってしまうといったこともめずらしい話ではありません。
上記のコツを意識して、将来の借入も視野に入れながら、確実に運転資金を調達できることを願っています。
もし自分で融資を申し込むのが不安というかたは、融資サポートを行なっている専門家に相談することも検討してみて下さい。