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ビザで企業登録を行い、アメリカで事業を始めるには?徹底ガイド
はじめに
アメリカで投資を行い、事業を運営するためにはE2ビザ(条約投資家ビザ)が有力な選択肢の一つです。
アメリカと通商航海条約を結んでいる国の国民(日本など)が、米国内で「リスクある投資事業」を立ち上げる際に申請できる非移民ビザで、正しい手順で企業登録を行い、投資額・事業計画・経営権などの要件を満たす必要があります。
本記事では、「E2ビザ 企業登録」にフォーカスして、具体的な法人設立手続きの流れや注意点、審査を通過するためのポイントを約3,000字で解説します。
1. E2ビザと企業登録の関係とは?
1.1. E2ビザの基本概要
E2ビザは、アメリカ合衆国が通商航海条約を締結している国の市民向けに発給される投資家ビザです。日本はこの条約国に含まれるため、日本国籍者であれば申請資格を持ちます。E2ビザは非移民ビザであり、永住権取得を目的としない一時的な滞在として扱われます。ただし、事業が継続される限りは更新を繰り返すことで長期間の滞在も可能です。
- 投資額の下限: 明確な最低ラインは定められていませんが、事業を安定運営できる水準の投資が必須
- 経営・管理権の確保: 投資家本人が過半数以上の株式・持分を保有し、経営判断に関与している形であること
- 非移民ビザ: 期限があるため、更新時には事業継続や帰国意思を示す必要がある
1.2. なぜ企業登録が必要か?
E2ビザ審査の核心は、「どの会社に、どのような投資を行い、どんな事業を経営するのか?」という点です。つまり、投資先の企業が存在しないと審査自体が成り立ちません。事前に法人を設立・登録しておかないと、「実際には投資先企業がないのでは?」と疑われる可能性が高くなります。
2. アメリカで企業登録をするメリット・注意点
2.1. 州による法人税・手続きの違い
アメリカは州ごとに法律が異なるため、どの州で企業登録を行うかは重要な意思決定です。税金の優遇や手続きの簡易さで有名なのはデラウェア州やネバダ州ですが、実際の事業拠点が別の州にあると「外国資格(Foreign Qualification)」の手続きが追加で必要になる場合もあり、メリットが薄れることがあります。
- デラウェア州: コーポレートガバナンスが整備され、企業訴訟実績が豊富
- ネバダ州: 法人税の優遇措置があるが、実務面では拠点のある州での登録も必要になる
2.2. 法人設立に必要なコスト・期間
会社の種類や州により異なりますが、設立登録費用や年間フランチャイズ税、Registered Agent(代理人)の報酬などがかかります。
- 登録費用: 数十~数百ドル程度が目安
- Registered Agent費用: 年額100~300ドル程度
- 設立完了までの期間: 数日~数週間
2.3. 設立エージェントの活用方法
アメリカでの法人設立は、自力で行うことも可能ですが、書類不備や住所要件の問題などでトラブルになる例が少なくありません。専門家(法人設立エージェント)を活用するとスムーズに進む一方で、追加費用が発生する点には留意しましょう。
3. E2ビザ申請に向けた企業登録の流れ【LLC編】
3.1. LLCとは?
LLC(Limited Liability Company)は、米国で人気の法人形態です。株式会社(Corporation)に比べ、柔軟な運営が可能で、パススルー課税による二重課税回避がしやすい点が特徴。E2ビザ申請者が投資額や出資比率を明確にするうえで、比較的とり扱いやすい形態です。
3.2. 設立手順(Articles of Organizationの提出、Registered Agentの指定など)
- 州政府への提出書類: LLC設立の基本書類はArticles of Organizationと呼ばれ、州ごとにフォーマットが異なる。
- Registered Agent: 州内で郵便物を受け取る代理人を指定。専門の代理人会社を利用する例も多い。
- Operating Agreement作成: 出資者の出資比率、利益配分、投票権などを明記。E2ビザ申請者が経営をコントロールできる形を示すことがポイント。
3.3. Operating Agreementでの出資・経営権の明示
E2ビザ審査で重要なのは、申請者が「実際に事業を経営する立場」にあることの証明です。Operating Agreementにおいて、申請者の持分が過半数である、または重要な意思決定に関与できる条項を盛り込むと、審査官に対して経営権が明確になるでしょう。
4. E2ビザ申請に向けた企業登録の流れ【Corporation編】
4.1. C-CorpかS-Corpか?税制上の違い
Corporation(株式会社)を選択する場合、C-Corpとして登録した後、要件を満たせばS-Corpを選択することも可能です。
- C-Corp: 法人と株主が別々に課税される(二重課税)
- S-Corp: パススルー課税で、株主レベルでのみ課税。ただし株主人数や国籍等に制限がある
E2ビザの場合、日本国籍の投資家が過半数株式を保有するケースが多いため、S-Corpの国籍制限(原則米国人株主のみ)が障壁になる可能性があります。必ず条件を事前に確認しましょう。
4.2. Articles of Incorporationの提出
LLCと同様に、Corporation設立時にはArticles of Incorporationを州に提出し、Registered Agentを指定します。提出先は州政府機関(Secretary of Stateなど)であり、オンラインまたは郵送で手続きできる場合が多いです。
4.3. 株式発行と議決権の設定
E2ビザ申請者が過半数の株式を持つのか、あるいは49%以下でも「特別議決権」で経営をコントロールできる形にするのかを設計します。どちらにしても、最終的に申請者本人が投資のリスクを負っていると審査官が認める形が必要です。
5. 資金トレースと企業登録の関係
5.1. 資本金のデポジット方法
銀行口座開設ができる段階まで法人設立を進め、投資家個人→法人の銀行口座へ資本金を移し、その動きを明示するのが一般的です。資金の出所(給与貯金、不動産売却、贈与など)を示すことで、**Source of Funds(資金トレース)**がクリアになるでしょう。
5.2. 銀行口座開設と資金の合法性説明(Source of Funds)
アメリカで銀行口座を開設するには、**法人登記証明(Articles of Organization/Incorporation)やEIN(Employer Identification Number)**が必要です。資金移動の記録を整備し、不正資金ではないことを審査官に示すことが大切です。
5.3. 出資額と企業形態の整合性を示す
LLCでもCorporationでも、出資額が少なすぎると審査官から「事業運営が困難では?」と疑われる可能性があります。逆に大きな出資を見せても、実質的に使われていないと判断されると疑念が生じるため、適正な投資額をしっかり明示しましょう。
6. 企業登録後に必要な書類・手続き【税務・ライセンス編】
6.1. EIN(Employer Identification Number)の取得
法人として**IRS(内国歳入庁)**に登録する際には、EINを取得しなければなりません。オンライン申請やFAXで手続き可能で、法人が税務申告や従業員を雇用する際にEINが不可欠です。
6.2. 州・市レベルでの営業ライセンス・業種許可の確認
州や市(郡)によっては、**一般事業ライセンス(Business License)**や、特定業種(飲食、建設、美容など)向けの許可が必要です。E2ビザ申請にあたっては、ライセンスを取得済み、または取得見込みであることを示す必要があるケースもあります。
6.3. 会計・税務処理体制の整備
きちんとした会計ソフトや会計事務所を利用し、財務諸表を作成しておくと、後の審査や更新申請時にスムーズです。Payroll(給与計算)やSales Taxなど、州によって異なる税務処理に対応できる体制を整えておきましょう。
7. E2ビザ審査で評価される企業登録のポイント
7.1. 申請者が過半数の株式(または経営権)を握る構造
非移民ビザであるE2ビザの場合、投資家が実質的に事業を管理・運営しているかが審査の核心となります。過半数株式保有がわかりやすい方法ですが、特別議決権による支配も可能です。ただし、書類で明示しないと認められません。
7.2. 事業計画書における「企業登録完了の証拠」
事業計画書の段階で「すでに法人を設立済みである」ことを示せると、ビザ審査官の安心感につながります。Articles of Organization/IncorporationやOperating Agreementなどを添付し、企業が形だけでなく、実態として成立していることを強調します。
7.3. 別州登録・バーチャルオフィス利用のリスク
拠点がカリフォルニア州にあるのにデラウェア州で法人登録する場合、Foreign Qualificationという追加手続きが必要です。バーチャルオフィスしかない場合は、「実際に事業運営を行う場所が本当にあるのか?」と疑われるリスクがあります。
8. 実務でよくあるFAQ
8.1. デラウェア州やネバダ州で法人設立するメリットは?
- デラウェア州: 企業法制が整備されており、大規模企業向けの裁判例が豊富。
- ネバダ州: 法人税が低い(またはない)ことが魅力。但し、実際に拠点がない場合は、他州で“Foreign Qualification”が必要でコスト増になるケースあり。
8.2. 個人事業主としてE2ビザ申請できるのか?
厳密には個人事業主名義だけでの申請はハードルが高いと言えます。アメリカでは法人格を持たずに事業を行う形態(Sole Proprietorship)もありますが、E2ビザ審査でリスクある投資と認められにくい場合が多いため、法人設立を推奨する専門家が大半です.
8.3. ローンを用いた出資でも企業登録は進められる?
可能ではありますが、投資家本人がリスクを負っているかが重要視されます。投資先企業そのものを担保にしたローンだと、投資家がリスクを負っていない形とみなされる場合もあり、ビザ審査が厳しくなります。
8.4. 企業登録前に物件リースは必須?
理想としては企業登録完了→法人口座開設→投資実行→物件契約という順序が望ましいですが、物件の確保が先行しないとビジネスプランを立てにくい場合があります。契約時に法人名義が必要なら、少なくとも法人登録だけは早めに済ませておきましょう。
9. 家族帯同・ビザ更新時にも必要な企業登録情報
9.1. 家族のE2 Dependentビザ申請
E2ビザ保持者の配偶者や未成年の子どもは、E2 Dependentビザとして米国で一緒に暮らすことができます。家族帯同申請時にも、企業情報(法人登録証明、財務状況など)を提出するケースがあり、会社の実体が重要な要素となります。
9.2. 更新時に求められる法人の運営状況・財務諸表
E2ビザの更新では、「事業が実質的に運営され、利益を出す見込みがあるか」を示さなければなりません。最新の財務諸表や納税申告書を添付し、法人が継続的に活動していることを証明します。
9.3. 追加投資や事業拡大に伴う会社定款の改訂
事業拡大や他の投資家参入などにより、Operating AgreementやArticles of Incorporationを改訂する場合があります。更新時には改訂内容を整合性をもって提示し、E2ビザ保持者の経営権が維持されている点を明確にしましょう。
10. まとめ:E2ビザの企業登録をスムーズに進め、アメリカで事業を成功させよう
E2ビザでアメリカに投資・事業を行う上では、企業登録が必須のステップとなります。LLCかCorporationか、どの州で設立するか、どのように資金をデポジットするかなど、考慮すべき事項は多岐にわたりますが、以下の点に注意することで、審査通過率を高めることができます。
- 法人形態の選択と州の選定
- LLCなら柔軟性が高く、Corporationなら株式発行による資本増資がしやすい
- デラウェアなど税制上のメリットがある州か、実際の拠点州かを比較検討
- 資金トレースと経営権の明確化
- 個人資産から法人口座への資本金移動を記録し、合法性を示す
- Operating Agreementや株式構造でE2ビザ申請者が経営権を握る形を証明
- 事業計画書と連携
- 企業登録だけでなく、事業計画(ビジネスプラン)との整合性を保つ
- どのような業種・ビジネスモデルで、収益をどう得るかを具体的に示す
- 専門家の活用と最新情報の把握
- 法人設立エージェントを適宜利用し、手続きミスを防ぐ
- 州法やUSCIS規定の変更にも常に目を向ける
企業登録をしっかり行えば、投資先の実態が明確になり、E2ビザ審査官に対しても大きなアピールポイントとなります。綿密な準備と専門家の協力のもと、アメリカでの投資事業を成功に導きましょう。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の法的アドバイスを行うものではありません。E2ビザや米国内の企業登録制度は各州や連邦法の変更により随時アップデートされる可能性があり、最新情報の確認が不可欠です。
個別の状況に応じては、法人設立専門家に相談されることを強くおすすめします。
また、本記事を基に行動した結果について、当サイトおよび筆者は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応






