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在留資格の更新は海外(出国中)からできる?更新に必要な書類も解説!
在留資格の更新をしたいけれど、海外にいることが多くてできるか不安・・・。
海外出張が多いと、そういった悩みもありますよね。そこで今回は、海外からでも在留資格の更新ができるのかについて解説します。更新の流れや必要な書類についても説明しますので、ぜひ最後までご覧ください。
在留資格の更新は海外からでもできる?
とても残念な話ですが、海外から在留資格を更新することはできません。更新できない理由として、更新の際に必要な書類の1つに、パスポート(旅券)原本があることが挙げられます。
出国するためにはパスポートが必要です。出入国管理局では出入国のデータを管理しているため、出国した記録が残っています。たとえ出国先から日本へパスポートと在留カードを郵送しても、日本にいないことがバレてしまいますので、更新申請を行うことはできません。
これらのことから、更新をするためには日本にいる必要があります。もし出国しているのなら、日本へ再入国して必要書類を提出して申請を進めなければなりけません。
審査中の出国は可能
とはいえ、更新の審査中はパスポートを回収されることはありません。そのため、審査中に出国は可能です。ただし、出入国管理局からの連絡を受けられる状態にしておかなくてはなりません。
行政書士などの専門家に依頼をしていない場合、更新申請中に長期の海外出張などで日本を離れていると、出入国管理局からの審査結果通知に気づかない可能性があります。万が一のために、あらかじめ通知先を専門家に伝えておきましょう。
審査完了後も更新時は日本への入国が原則
審査が完了し更新が認められると、申請者の在留カードの更新をしなければなりません。在留カードの更新には、在留カードの原本が必要です。そのため、申請者が外国に出国している場合は一度日本へ入国します。在留カードの更新手続きさえ完了すれば、すべての更新手続きが終わり、更新前と同じ在留資格の範囲内で活動を行うことができます。
出国しているときに更新許可が出ているにもかかわらず、なかなか日本に帰れないパターンです。更新申請は出入国管理局で許可が出れば良いわけではなく、在留カードまで更新して1つの流れになります。
そのため、日本に帰れず、現在の在留期間の満了日を2ヵ月過ぎると、再度在留資格の申請を行わなければいけません。今までやってきた申請の手続きがすべて無駄になってしまいますので、出国するときは期限に気をつけましょう。
更新申請の代理手続きは行政書士などの専門家に依頼可能
海外出張などで忙しく飛び回っている方の中には、「更新の申請を行う時間がない」という方もいらっしゃいます。そういった方は、行政書士などの専門家に相談しましょう。書類の収集・作成のサポート、出入国管理局への申請手続き、審査中に追加で書類の提出を求められたときの対応、審査通知の受け取り、在留カードの更新手続きなどを申請者の代わりに任せることができます。
ただし、依頼には費用がかかりますので、すべて任せるのには金銭面で不安があるという方は、一度金額やどこまで対応できるのかなどを相談してみるのも良いでしょう。
在留資格の更新に必要な書類
ここでは、在留資格の更新に必要な書類をご説明します。申請者が現在所持している在留資格によって、収集しなければいけない書類が異なりますので、自分にあった項目を確認しましょう。
申請書
申請書は「在留期間更新許可申請書」を使用します。用紙は地方出入国在留管理官署で受け取るか、法務省のホームページからダウンロードすることで入手できます。
申請書に記入する基礎情報は、下記の項目があります。
〈基礎情報〉
- ●国籍・地域
- ●生年月日
- ●氏名
- ●性別
- ●配偶者の有無
- ●職業
- ●本国における居住地
- ●居住地
- ●電話番号
- ●旅券(番号・有効期限)
- ●現に有する在留資格
- ●在留期間の満了日
- ●在留カード番号
それでは、ここからは記入の際に注意していただきたい内容を見ていただきましょう。
申請書の記載内容 |
特記事項 |
---|---|
職業 |
【就労関連の資格を更新する場合】 ・業務内容が申請時と同じ →「更新」の手続きを行う
・業務内容が申請時と異なるが在留資格の活動範囲内 →「更新」の手続きを行う
・業務内容が申請時と異なり在留資格の範囲外 →「変更」の手続きを行う |
更新の理由 |
記入欄が1行しかないため、詳細な説明が必要な際は別途「理由書」を作成する
理由書を添付する場合、申請書の記入欄には「別紙の通り」と記す |
犯罪を理由とする処分を受けたことの有無 |
入国管理局では在留状況をすべて把握しているため、犯罪の事実を隠すことは不可能
虚偽の申請をすることで起こる影響 ・申請が不許可になる ・現在所持している在留資格の取消 ・逮捕の対象になる
出国命令による出国や退去強制の場合、一定期間(1〜10年)あるいは期間に定めなく日本に上陸不可になる |
写真
写真は縦4cm×横3cmのものを用意します。有効な写真は、申請前の3ヶ月以内に正面から撮影されたもので、無帽・無背景で鮮明に写されたものです。
日本での活動に応じた資料
日本での活動とは、在留資格に定められた活動内容のことです。在留資格は就労関係が16種類、留就学・文化活動・研修関係が6種類、日本人の配偶者・永住者の配偶者・定住者関係が3種類の計25種類あり、それぞれ必要な資料が異なります。
就労関係の在留資格を所持している方は、下記から該当する項目を選び、必要な書類を確認してください。
- ●「教授」(例、大学教授等)
- ●「芸術」(例、作曲家、画家、著述家等)
- ●「宗教」(例、外国の宗教団体から派遣される宣教師等)
- ●「報道」(例、外国の報道機関の記者、カメラマン)
- ●「経営・管理」(例、企業等の経営者、管理者)
- ●「法律・会計業務」(例、弁護士、公認会計士等)
- ●「医療」(例、医師、歯科医師、看護士等)
- ●「研究」(例、政府関係機関や私企業等の研究者等)
- ●「教育」(例、中学校、高等学校等の語学教師等)
- ●「技術・人文知識・国際業務」(例、機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師等)
- ●「企業内転勤」(例、外国の事業所からの転勤者)
- ●「介護」(例、介護福祉士)
- ●「興行」(例、俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手等)
- ●「技能」(例、外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機等の操縦者、貴金属等の加工職人等)
- ●「特定技能」(※特定技能1号、2号共通)
- ●「技能実習」(例、技能実習生 ※技能実習1~3号イ及びロ、いずれも共通)
留就学・文化活動・研修関係の在留資格を所持している方は、下記から該当する項目を選び、必要な書類を確認してください。
- ●「文化活動」(例、日本文化の研究者等)
- ●「短期滞在」(例、疾病等、人道上やむを得ない理由がある場合)
- ●「留学」(例、大学、短期大学、高等学校、専修学校等の学生)
- ●「家族滞在」(例、在留外国人が扶養する配偶者又は子)
- ●「研修」(例、実務作業を伴わない研修生)
- ●「特定活動」(例、外交官等の家事使用人、アマチュアスポーツ選手及びその家族、インターンシップ、特定研究活動、特定情報処理活動、医療滞在、観光目的等の長期滞在者、本邦大学卒業者及びその家族等)
日本人の配偶者、永住者の配偶者、定住者関係の在留資格を所持している方は、下記から該当する項目を選び、必要な書類を確認してください。
活動に応じた書類で必要になるのが、主に会社関連や納税関連の書類です。就労関連のビザなら、勤務先の企業のカテゴリーがわかる資料や、勤務先会社の直近の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表などが求められます。
そして、在留資格の種類を問わず提出が必要になるのが、「課税証明書」、「納税証明書」などです。
在留カード
在留カードは申請人の基本情報から、在留資格・在留期間・就労の可否などが記載されたカードです。証明書や許可証の役割を持っています。
申請者以外の方が申請手続きを行う場合、申請人に在留カードの写しを携帯させ、手続きをする方は原本を持っていかなければいけません。
資格外活動許可書を提示
取得している在留資格の範囲外で活動を行うときは、資格外活動許可書を申請する必要があります。これは留学や家族滞在ビザでアルバイトをするときなどに必須です。
許可書の交付を受けている方は、許可書の掲示をしてください。交付を受けていない方は、許可書の掲示は不要です。
旅券又は在留資格証明書を提示
申請者の旅券または在留資格証明書の提示が必要になります。
旅券や在留資格証明書を掲示できない場合は、掲示できない理由を書いた理由書の作成をしなければいけません。
身分を証する文書等の提示
申請取次者が申請を提出する場合は、申請者との関係を証明するために身分を証する文書等の掲示をしなければいけません。身分を証する文書は、申請取次者証明書や戸籍謄本などが挙げられます。
在留資格を更新する際の注意点
在留資格を更新する際は、注意しなければいけない点があります。次の項目から確認し、審査がスムーズに進められるようにしておきましょう。
在留期間が満了する前に更新の手続きを行う
在留期間の更新は、在留期限の3ヶ月前から申請できます。更新を忘れていて在留期限を過ぎてしまった場合、強制退去手続きがとられる可能性もありますのでご注意ください。
更新審査にかかる期間は、標準処理期間で2週間〜1ヵ月です。書類に不備があったり、入国管理局が混雑していると、通常より審査に時間がかかります。万が一、不許可になったときのことを考慮し、再申請までの時間がとれるように、なるべく早いうちから申請の手続きを進めておきましょう。
審査期間中に在留期限を過ぎてしまっても、「特例期間」が適用されます。特例期間とは、在留資格の更新や変更をするときに審査が満了日までに終わらなければ、審査結果が出るまでまたは満了日から2ヵ月後のいずれかの早い時まで、適法に在留することができる特例の期間のことです。
特例期間に許可が出れば問題ありませんが、不許可の場合は在留期間が30日か31日、内容が出国準備の在留資格「特定活動」が付与されます。この場合は期間内に本国へ帰還しないと、不法滞在扱いになりますので注意しましょう。
天災、事故、疫病などの特別な事由があれば、満了日を過ぎていても事情を説明することで申請を行うことができる可能性があります。在留期間内に申請していた場合、確実に許可を得ることができると認められるのなら警備部門に連絡し、在留資格「短期滞在」への変更または更新を受け付け、満了日以降の期間を短期滞在として許可します。その後、改めて希望する在留資格へ変更の手続きを行います。
やむを得ない特別な事情がない限りは、満了日を過ぎると更新の手続きができないので気をつけましょう。
入社前に示された賃金と実際得ている賃金が大きく異なると不許可になる場合も
在留資格の更新が不許可になる原因の多くは、申請人本人ではなく会社側にあると言われています。1つの事例として、入社前に示された賃金が実際に得ている賃金と大きく異なる場合があります。
賃金の差は、課税証明書などの書類から確認することが可能です。入社前に高い金額で申請して、その後賃金が著しく変化する場合、正当な理由があるのであれば理由書を添付し説明しなければいけません。
在留資格の更新は、不許可になると原因を解決してから再申請を行うものでした。すぐに改善できれば問題ありませんが、そうでない場合、在留期限以内の更新ができないことも考えられます。
在留期限が更新できないと、日本に在留することができなくなります。そういったことにならないように、気をつけましょう。
在留資格更新の流れ
ここでは、在留資格を更新する流れをご説明します。流れを確認し、不安な部分は行政書士などの専門家に相談しながら進めていくと良いでしょう。
必要書類の準備,作成
在留資格によって準備する書類が異なりますので、申請者に必要な書類を確認し、収集・作成します。
書類に不備があると、追加で書類の提出を求められたり、不許可の原因になってしまう可能性があります。書類の収集・作成の際は、1つ1つ確認しながら作業を行いましょう。
虚偽の申請や書類の偽造が発覚した場合、審査は当然不許可になり、現在取得している在留資格も取り消しになります。虚偽の申請を行ったことで逮捕された事例もあるようなので、絶対にしないようにしてください。
出入管理局へ書類を提出
書類を一式準備できれば、申請者の住所を管轄する出入国管理局へ申請をします。申請者以外の方が申請にいく場合でも、パスポートや在留カードの提示が必要なため、申請者は日本にいなくてはなりません。申請が受理された後は、出入国管理局からの連絡が取れる状態であれば自由に出入国できます。
審査中に追加書類の提出を求められることもありますので、対応ができるようにしておきましょう。審査結果が出るまでの標準処理期間は2週間〜1ヵ月です。審査状況や出入国管理局の混み具合によっても審査期間が異なります。不許可になってしまったときのことも考慮して、早めに申請を行うようにしましょう。
審査結果が通知される
審査が完了すると、審査結果が郵送されてきます。
許可された場合は、審査結果の書かれた通知書と記載された持ち物を持って、出入国管理局へ新しい在留カードを受け取りにいきましょう。出入国管理局で在留カードを受け取る際に、手数料納付書にて入管手数料の支払いを求められます。
手数料は4,000円かかりますので、忘れずに持っていくようにしましょう。
在留期間が更新されれば、更新前と同じく在留資格の範囲内で活動をすることができます。
在留カードの受け取りの際にも、申請者のパスポートや在留カードが必要です。そのため、申請者が日本にいなければ新しい在留カードを受け取ることができないので気をつけましょう。
更新の申請が許可されても、在留カードの受け取りをせず現在の在留期間の満了日を2ヵ月以上過ぎてしまうと、再度申請を行う必要があります。できる限り、審査結果が通知される頃には、日本にいるようにしましょう。
まとめ
海外から在留資格の更新はできるのかについて説明しました。更新の申請をするときと、在留カードの受け取りをするときは日本にいる必要があるので、出国しなければいけない場合は計画的に物事を進めるようにしましょう。
仕事が忙しくて更新の手続きに時間が割けないときは、行政書士などの専門家に相談しましょう。行政書士に相談することで、書類の収集をサポートしてくれたり、申請者に代わって出入国管理局への書類の提出をしてくれたり、在留カードの受け取りの手続きを行ってくれたりします。時間と費用のバランスを考え、うまく活用していきましょう。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応