在留資格「特定活動」のデジタルノマドビザの取得や要件、手続きを解説
コロナ禍の影響で、デジタルノマドという働き方は急速に広がりました。
インバウンドの獲得競争の中で、日本のデジタルノマドビザは注目されています。
デジタルノマドワーカーとして働く外国人の方の中には、
「日本版のデジタルノマドビザはある?」
「家族は帯同できる?」
「手続きの方法は?」
といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。
この記事では、日本のデジタルノマド向けの在留資格「特定活動」について詳しく解説します。
ぜひ、最後までお読みください。
在留資格「特定活動」のデジタルノマドとは?
ここでは、在留資格「特定活動」のデジタルノマドビザについて見ていきましょう。
コロナからの新制度・リモートワーク者向け在留資格
働き方が多様化する現代では、デジタルノマドワーカーのようなリモートワークの形が増えています。
デジタルノマドとは、「時間や場所にとらわれず、ITを活用してリモートワークをする人です。
ノマドは遊牧民という意味の言葉で、ノマドワーカーは遊牧民のように旅をしながら働く人を指します。
特にコロナ禍でリモートワークが広がり、人々の働き方に対する意識や生活スタイルは変化し続けています。
こうした流れの中で、日本でもリモートワーカー向けの在留資格が新設されました。
[小見出し]2024年3月に新しくできた日本版「デジタルノマドビザ」
世界では、リモートワーカー向けの査証を設けている国が多くあります。
日本でも2024年3月31日に、在留資格「特定活動」の1種としてデジタルノマドビザが新設されました。
日本版のデジタルノマドビザは、ビザ保有者の配偶者や子どもを対象とした家族滞在も可能です。
ビザの詳細については後述するので、ぜひ参考にしてください。
[小見出し]海外の優秀なリモートワーカーを受け入れるための資格
コロナ禍の影響により、会社に出社しない働き方であるリモートワークは、日本でも当たり前になりつつあります。
日本政府は現在、外国人のデジタルリモートワーカーの誘客に取り組んでいます。
誘客の取り組みの1つとして、2024年に「デジタルノマドビザ」が新設されました。
デジタルノマドビザは、海外の優秀なリモートワーカーを受け入れることを目的としています。
デジタルノマドの受け入れ増加によって、地域消費の拡大などビジネスによる経済効果が期待されます。
[小見出し]在留カード発行なしのお手軽ビザ
デジタルノマドビザは、在留カード発行の対象外です。
その代替として、入国審査時に許可証印がパスポートに貼り付けられる形で証明がなされます。
この許可証印は、日本への上陸が許可された際にパスポートに貼り付けられるシールとなっています。
許可証印には、以下の内容が記載されます。
- ● 許可年月日
- ● 在留期限
- ● 在留資格
- ● 在留期間
日本では、中長期在留者に対して、在留カードを発行しています。
外国人の方は滞在証明のために、日本に滞在中は常に在留カードを携帯しなければなりません。
このような点でも、デジタルノマドビザは在留カード携帯の義務がないので、お手軽なビザと言えます。
在留資格「特定活動」のデジタルノマドビザについて
以下で、デジタルノマドビザの基本情報について解説します。
[小見出し]概要
概要は、以下の表のとおりです。
|
ー |
デジタルノマド |
家族滞在 |
|
在留資格の種類 |
特定活動53号 |
特定活動54号 |
|
活動内容 |
国際的なリモートワーク |
53号の扶養を受けて行う日常的な活動 |
|
在留期間 |
6カ月 |
6カ月 |
|
更新 |
不可 |
不可 |
|
在留カード |
対象外 |
対象外 |
[小見出し]取得要件
要件は、以下のとおりです。
- ● 滞在期間が1年のうち6カ月を超えない
在留期間は6カ月で、更新はできません。
デジタルノマドビザを再取得するには、日本から出国後6カ月を経過してから申請する必要があります。
- ● 査証免除対象国・地域、かつ租税条約締結国・地域の国籍者である
対象国・地域については、後ほど詳しく紹介します。
- ● 申請時点での個人の年収が1,000万円以上ある
原則として、直近の年収で1,000万円以上が必要です。
昇級昇格などで、申請時から将来にわたる年収が1,000万円以上になると見込まれる方も、要件を満たしていると認められます。
個人事業主の方は、契約金額ではなく、諸経費などを差し引いた利益の額で評価されます。
複数企業と契約している方は、複数の収入を合算しての申請も可能です。
- ● 死亡・負傷・疾病に係る海外旅行損害保険などの医療保険に加入している
以下の要件を満たした医療保険に加入しなければなりません。
- ● 滞在予定期間をカバーするもの
- ● 補償内容に滞在中の死亡・負傷・疾病に罹患した場合が含まれるもの
- ● 傷害疾病への治療費用補償額が1,000万円以上のもの
[小見出し]対象となる働き方
デジタルノマドビザは、国際的なリモートワークを対象としています。
具体的には、以下の活動が該当します。
- ● 外国の法令に準拠して設立された法人・そのほかの外国の団体との雇用契約に基づいて、日本において情報通信技術を用いて当該団体の外国にある事業所における業務に従事する活動
日本の公私の機関との雇用契約に基づく就労活動はできないため、注意しましょう。
- ● 外国にある者に対し、情報通信技術を用いて役務を有償で提供し、もしくは物品などを販売する活動
日本に入国しなければ提供、または販売ができないものは除きます。
例えば、以下のような職業が挙げられます。
- ● ITエンジニア
- ● デジタルデザイナー
- ● プログラマー
- ● デジタルマーケター
- ● ライター
- ● オンライン秘書
- ● オンライン語学講師
[小見出し]対象となる国
対象となる国・地域は、以下の表のとおりです。
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アイスランド |
アイルランド |
アメリカ |
アラブ首長国連邦 |
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イギリス |
イスラエル |
イタリア |
インドネシア |
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ウルグアイ |
エストニア |
オーストラリア |
オーストリア |
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オランダ |
カタール |
カナダ |
クロアチア |
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シンガポール |
スイス |
スウェーデン |
スペイン |
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スロバキア |
スロベニア |
セルビア |
タイ |
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チェコ |
チリ |
デンマーク |
ドイツ |
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トルコ |
ニュージーランド |
ノルウェー |
ハンガリー |
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フィンランド |
フランス |
ブラジル |
ブルガリア |
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ブルネイ |
ベルギー |
ポーランド |
ポルトガル |
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マレーシア |
メキシコ |
ラトビア |
リトアニア |
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ルーマニア |
ルクセンブルク |
韓国 |
香港 |
|
台湾 |
ー |
ー |
ー |
配偶者と子の帯同の要件について
以下で、デジタルノマドビザの家族滞在について解説します。
[小見出し]ビザ取得要件
要件は、以下のとおりです。
- ● 査証免除対象国・地域の国籍者である
対象となる国・地域は、以下の表のとおりです。
デジタルノマドビザ(特定活動53号)とは異なる国・地域も含まれるため、混同しないように注意しましょう。
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アイスランド |
アイルランド |
アメリカ |
アラブ首長国連邦 |
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アルゼンチン |
アンドラ |
イギリス |
イスラエル |
|
イタリア |
インドネシア |
ウルグアイ |
エストニア |
|
エルサルバドル |
オーストラリア |
オーストリア |
オランダ |
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カタール |
カナダ |
キプロス |
ギリシャ |
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グアテマラ |
クロアチア |
コスタリカ |
サンマリノ |
|
シンガポール |
スイス |
スウェーデン |
スペイン |
|
スロバキア |
スロベニア |
セルビア |
タイ |
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チェコ |
チュニジア |
チリ |
デンマーク |
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ドイツ |
ドミニカ共和国 |
トルコ |
ニュージーランド |
|
ノルウェー |
バハマ |
バルバドス |
ハンガリー |
|
フィンランド |
フランス |
ブラジル |
ブルガリア |
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ブルネイ |
ベルギー |
ポーランド |
ポルトガル |
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ホンジュラス |
マカオ |
マルタ |
マレーシア |
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メキシコ |
モーリシャス |
モナコ |
ラトビア |
|
リトアニア |
リヒテンシュタイン |
ルーマニア |
ルクセンブルク |
|
レソト |
韓国 |
香港 |
台湾 |
|
北マケドニア |
ー |
ー |
ー |
- ● 死亡・負傷・疾病に係る海外旅行損害保険などの医療保険に加入している
以下の要件を満たした医療保険に加入しなければなりません。
- ● 滞在予定期間をカバーするもの
- ● 補償内容に滞在中の死亡・負傷・疾病に罹患した場合が含まれるもの
- ● 傷害疾病への治療費用補償額が1,000万円以上のもの
[小見出し]帯同について
家族滞在として申請する場合、デジタルノマドビザの方と一緒に入国する必要はありません。
ただし、帯同者はデジタルノマドビザの当人よりも先に来日はできないため、注意しましょう。
加えて、デジタルノマドビザの当人が出国した場合も、家族の方もそれまでに出国しなければなりません。
帯同の場合は、単独で日本での滞在を続けることは許可されないので、注意が必要です。
[小見出し]「扶養を受ける配偶者または子」とは
家族滞在として申請できる対象者は、扶養を受ける配偶者と子どもです。
家族の方は、扶養者(デジタルノマドビザ保有者)の扶養を受けて生活する必要があります。
ここで言う「扶養」とは、以下の要件を満たした場合を指します。
- ●
扶養者に扶養の意思がある
- ●
扶養者に扶養できるだけの経済力がある
- ●
扶養される側が、実際に扶養者の扶養に依存して生活している
[小見出し]就労制限について
家族滞在の方は、日本での就労は許可されません。
加えて、資格外活動許可も対象外です。
例えば、アルバイトやパートなどの就労も認められないため、注意しましょう。
デジタルノマドビザの申請方法
ここでは、デジタルノマドビザの申請方法について見ていきましょう。
日本国内での申請方法
日本国内で申請する手順は、以下のとおりです。
- ●
準備
手続きに必要な書類の作成と収集をします。
書類に不備があると、審査で不許可となる可能性が高まります。
入念な準備をしてから、手続きに進みましょう。
必要書類については後述するので、ぜひ参考にしてください。
- ●
手続き
居住予定地を管轄する出入国在留管理局にて、「在留資格認定証明書交付申請」を行います。
手続きは日本で行うため、スケジュールを合わせて来日してください。
デジタルノマドビザを申請できる方は、査証免除国の対象者なので、来日の際にビザを取得する必要はありません。
手続きのためだけに来日するのが難しい方は、行政書士などの専門家に相談・依頼するのがおすすめです。
- ●
審査
提出した書類を基に、審査が行われます。
ただし、新設されたばかりのビザのため、想定以上に審査に時間がかかる可能性もあります。
スケジュールにゆとりを持って、手続きを行いましょう。
- ●
結果の通知
審査で問題がなければ、在留資格が交付されます。
海外からの申請方法
海外で申請する手順は、以下のとおりです。
- ●
準備
手続きに必要な書類の作成と収集をします。
- ●
手続き
居住国にある在外日本大使館・領事館にて、ビザの申請を行います。
- ●
審査
申請内容を基に、審査が行われます。
- ●
結果の通知
審査で問題がなければ、ビザが発給されます。
デジタルノマドビザは、居住国にある在外日本大使館・領事館でも申請が可能です。
もし手続きのためだけに来日するのが難しい方は、居住国で直接手続きを行いましょう。
ただし、在外公館とデジタルノマドビザでは、管轄している省が異なります。
- ●
在外公館:外務省
- ●
デジタルノマドビザ:法務省
在外日本大使館・領事館で申請をした場合、外務省と法務省の間でやり取りが生じます。
申請の結果が出るまでに時間を要する可能性があるため、注意してください。
必要書類
53号・54号で必要な共通書類は、以下のとおりです。
- ●
在留資格認定証明書交付申請書
- ●
写真
上記の申請書に貼り付けて、提出してください。
写真を直接、申請書の写真添付欄に印刷したものを提出しても問題はありません。
ただし、規格外の写真を使用した場合は、撮り直しを指示されるので、注意しましょう。
- ●
返信用封筒(定形封筒)
宛先を記入し、必要額の郵便切手(簡易書留用)を貼り付けてください。
53号(デジタルノマドビザ本人)の方は、共通書類に加えて以下の書類を用意しましょう。
- ●
申請者の活動中の活動予定を説明する資料
申請書に詳細を記入した場合は、別途提出する必要はありません。
- ●
申請者の個人の年収額を証明する資料
申請者が就労した国において発行された納税証明書または所得証明書です。
- ●
現在の稼働状況を証明する資料
雇用契約書・在職証明書などです。
- ●
民間医療保険の補償内容に係る説明書
- ●
民間医療保険の加入証書および約款の写し
クレジットカードに付帯する保険で担保ができる場合は、当該補償内容を証明する資料を用意しましょう。
54号(配偶者または子ども)の方は、共通書類に加えて以下の書類を用意しましょう。
- ●
申請者の滞在中の活動予定を説明する資料
申請書に詳細を記入した場合は、別途提出する必要はありません。
- ●
申請者の配偶者または親との身分関係を証する文書
結婚証明書などです。
- ●
民間医療保険の補償内容に係る説明書
- ●
民間医療保険の加入証書および約款の写し
クレジットカードに付帯する保険で担保ができる場合は、当該補償内容を証明する資料を用意しましょう。
53号の方が加入する民間保険の家族補償による場合は、補償範囲などが確認できる資料を提出してください。
- ●
告示53号の方のパスポートの写し
デジタルノマドビザの注意点
ここでは、デジタルノマドビザの注意点について見ていきましょう。
更新不可で滞在期間も短いので、やや使いづらい
デジタルノマドビザの在留期間は、6カ月と短いのが特徴です。
加えて、更新も認められないため、長期滞在はできません。
この点から、長く日本に滞在したい方には、やや使いづらい査証と言えます。
再取得は可能ですが、1年間のうち6カ月以内という滞在期間の要件があります。
例えば、6カ月の在留期間を満了し、帰国後すぐにデジタルノマドビザの再取得はできません。
帰国後6カ月を経過しないと、再取得ができないため、注意しましょう。
滞在期間が短いため、定住場所を探しづらい
滞在期間が短いため、一般的な賃貸物件の契約は難しいと言えます。
定住場所の選択肢として、以下のような短期滞在向けの施設を利用するのがおすすめです。
- ●
民泊
- ●
Airbnb
- ●
週単位や月単位などの短期賃貸マンション
- ●
ホテル
場所や施設によっては、想定以上に滞在コストがかかる可能性もあるので注意しましょう。
新制度のため、今後変化がある可能性も
デジタルノマドビザは、2024年3月31日に新設されたばかりの査証です。
新制度のため、今後はビザの内容や要件などが変更される可能性もあります。
申請をお考えの方は、最新情報を把握できるように、こまめに出入国在留管理庁や外務省のホームページなどをチェックしましょう。
まとめ
この記事では、日本版のデジタルノマドビザについて解説しました。
デジタルノマドビザは、2024年に新設されたデジタルリモートワーカー向けの査証です。
在留資格は、「特定活動」の告示53号に分類されます。
要件を満たせば、配偶者と子どもの滞在も認められます。
滞在期間は、6カ月と短いのが特徴です。
デジタルノマドワークという働き方は、今後ますます増えていくでしょう。
時代の流れに応じて、日本版のデジタルノマドビザの需要も増えると予想されます。
申請をお考えの方は、行政書士などの専門家に相談・依頼するのがおすすめです。







